介護の専門家!ケアマネの本当の役割とは

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ケアマネは、介護保険制度で位置づけられた職種で、介護サービスの計画を立ててコーディネートする役割を担っています。介護の領域のみならず医療職との連携など、多くの関係者間で調整役としての役割が期待されています。この記事では、ケアマネの業務や役割について解説します。

そもそもケアマネとは

ケアマネがどのような仕事をしているのかご存知でしょうか?介護保険サービスの要であることは理解していたとしても、どのような資格で、どんな仕事をしているのかを詳しくは知らないかもしれません。

ここでは、ケアマネの資格や試験、給与事情から仕事内容までを解説します。

ケアマネの資格とは

ケアマネジャーは「ケアマネ」とも呼ばれるもので、正式名称は「介護支援専門員」といいます。一般的に話し言葉としては、「ケアマネージャー」と呼ばれる場合もあります。2000年の介護保険制度開始とともに出来た資格で、介護保険制度を円滑に運用していくためになくてはならない大切な存在です。介護を必要とする人に対して、その人らしい生活を送ることが出来るように支援することが主な役割となっています。

国家資格ではありませんが、各都道府県が管轄する公的資格で、受験するためには一定の実務経験が必要になります。

実務経験は、該当する資格に関わる業務、生活相談員や支援相談員などの業務に通算して5年以上かつ900日以上従事することとされています。これは、ほかの福祉系資格にはない特徴です。

受験資格を満たして試験を受けたとしても合格率がそれほど高くないため、介護福祉系における難関資格のひとつといわれています。

ケアマネ試験の合格率はなぜ低い?理由と対を徹底解説!

ケアマネ試験受験者数と合格率の推移

厚生労働省が報告した平成28年から令和2年における5年間の「介護支援専門員実務研修受講試験」受験者数の推移によれば、平成29年以降の受験者が激減しています。平成29年には13万人もいた受験者が、翌年の30年には5万人と前年度から一気に6割以上も減ってしまいました。その背景には平成30年の受検者資格要件の変更があるとされ、合格者数も平成29年の28万人から5千人に激減し、合格率は7.5%にまで落ち込んでいます。

ケアマネの給料事情

厚生労働省の令和2年度介護従事者処遇状況等調査(第80表 介護従事者等の平均給与額等(月給の者),職種別,勤務形態別(処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所))によるとケアマネの平均給与は357,850円で、介護従事者の中では看護職員379,610円、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員の358,560円に次いで、高い給与となっています。さらに主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)の資格を得ると、居宅介護支援事業所で重用されるため、給与が高く設定されるでしょう。

給与は、勤務先によって異なります。介護老人福祉施設や介護老人保健施設などで働く施設ケアマネと居宅介護支援事業所で働く居宅ケアマネとでは、施設ケアマネのほうが給与が高い傾向にあります。介護スタッフを兼務することもあり、夜勤手当がつく等が理由です。

ケアマネが行う仕事の内容とは?

ケアプランの作成と管理

ケアマネジャーにとって重要なのは、利用者さんが自立した日常生活を営めるように援助することです。そのためにケアプランの作成と管理を行うこと(ケアマネジメント)が主な仕事内容となります。介護サービスを利用してもらう前に課題の分析をしっかりと行って方針や目標を定め、利用者さんや介護者と相談しながら適切なケアプランを作成します。介護サービスを開始したあとには定期的にモニタリングを行い、必要があれば随時プランを見直します。

給付管理業務

ケアマネジャーは、介護サービス利用に伴って発生する金銭の管理も行います。これは、介護給付費の支払いを受けるために重要な業務です。1ヶ月の支給限度額の確認や利用者負担額の計算を行い、国保連に必要書類を提出します。

相談業務

ケアマネジャーは、利用者さん本人や介護者から様々な相談を受けることがあります。適切なケアプランを作るためには多くの情報を得ることが重要です。コミュニケーションを積極的に取り、利用者さんにとって役に立つ様々な情報を提供することも大切な業務のひとつです。

ケアマネの役割とは

ケアマネジャーに求められる役割には、以下が挙げられます。

利用者さんとご家族の相談援助

ケアマネジャーは、利用者さんやご家族から介護に関する不安や悩みの相談を受けます。一人ひとりの思いをくみ取った支援を前提として定期的に面談を行い、じっくりと話を聞く役割を担うわけです。もちろん、話を聞くだけではありません。契約に関することや事業所のケアに関すること、そして心身の状況や生活していく上での困りごとを解決出来る対応力が求められます。

サービス事業者との橋渡し

利用者さんが適切なサービスを受けられるように「利用者さんやそのご家族」と「介護サービス提供者」とをつなぐ橋渡しの役割を担います。もしもトラブルが発生した場合には、当事者たちの間に立って中立の立場で解決します。

利用者さんやご家族の困りごとについてサービス事業者側に情報を共有し、こまめに事業所と連絡を取り合うことで体調の変化に対して迅速に対応したりなど、調整役としてすばやく対応することが求められるのです。

要介護認定の書類作成を代行

利用者さんが要介護認定を受けるための手続きには専門的な知識が必要であり、書類作成も簡単ではありません。本人やご家族にかわって、要介護認定を受けるための申請を代行したり、利用者さん一人では窓口に行けない場合などには代わりに出向いたりして手続きを代行します。

働く場所で変わるケアマネの役割

ケアマネの主な勤務先としては、居宅介護支援事業所と特別養護老人ホームなどの入所系施設の2種類があります。ここでは、それぞれの仕事内容や役割について解説します。

居宅ケアマネの役割

居宅ケアマネとは「居宅介護支援事業所」に勤務するケアマネを意味し、自宅で介護を受ける方を対象とした業務を行います。利用者さんの自宅を訪問し、生活状況を把握しながら利用者さんの意向に合わせてケアプランを作成します。住み慣れた自宅で快適かつ主体的な生活を送れるように支援することが主な役割です。

サービス開始後も必要があればケアプランを見直し、利用者さんにあうサービスを提供出来るように調整します。担当者会議を開催し、調整役として医療機関やサービス事業所スタッフとの連携を密にするなど、積極的なコミュニケーションを図ることが求められます。

居宅ケアマネの人員配置基準は「利用者さん35人に対してケアマネ1人」となっており、一人の受け持ち数は35~40人程度が目安となっています。

施設ケアマネの役割

特別養護老人ホームなど特定の施設に勤務するケアマネを施設ケアマネといいます。施設内の入所者を対象とし、施設内で提供出来るケアプランを作成します。外部との調整業務はそれほど多くなく、施設のスタッフとの連携が主で仕事は施設内で完結することがほとんどです。

施設ケアマネの人員配置基準は「利用者100人に対して1人」となっており、受け持ち数は最大100件ほどとなっています。

ケアマネ業務以外の仕事を受け持つこともあり、生活相談員との兼務になることが多くあります。

利用者と介護サービスをつなげるケアマネの役割が重要

ケアマネは、ケアプランの作成や給付管理だけを行うのではなく、相談や調整などの幅広い業務を行います。介護を必要とする方が自分らしく生活出来るようにするために様々な調整を行わなければなりません。ケアマネジャーは利用者さんと様々な介護サービスとをつなげるネットワークの中心的役割を担っているといっても過言ではないでしょう。

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