介護福祉士の仕事内容

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介護福祉士とは

介護福祉士は、介護職として現場で働く方にとって最上位の国家資格です。社会福祉士及び介護福祉士法に基づいていた資格です。介護に関する高度な専門知識と技術を有しているという証明になるため、現場では利用者さんへの身体介助や生活援助のほかに、利用者さん家族からの相談対応や、他の介護職員への指導や教育にも携わります。

介護福祉士の仕事内容

介護福祉士の仕事は、大きくわけて3つあります。

  • 身体介助
  • 生活援助
  • 要介護者の家族に対するアドバイスや相談対応

介護福祉士は、利用者さんに合った介助をするという点では、資格取得前の業務内容と大きな変化はありません。しかし、初任者研修(ヘルパー2級)よりも専門的な資格として、ユニットリーダーや介護主任、サービス提供責任者などの現場責任者や、介護職員に対する指導を任されることもあります。

また、利用者さんやその家族からの相談対応や福祉用具の選定など、より専門的な知識が必要な仕事を担うこともあります。介護福祉士からケアマネジャーなどのキャリアアップも目指すことができ、介護福祉士を取得することで就ける仕事の幅が大きく広がります。

介護福祉士資格の取得方法

介護福祉士の資格試験を受験するためには、一定の条件を満たす必要があります。受験資格の取得方法は3つあり、このどれかを選択して受験します。
受験資格を手にする3つの方法には、どのような特徴や違いがあるのか比較してみましょう。

実務経験ルート

介護施設で3年以上の実務経験があり、かつ「実務者研修」を修了していることで受験資格が得られます。

養成施設ルート

高等学校を卒業後、指定された養成施設や専門学校へ2年以上通い卒業(修了)する。または、福祉系大学、社会福祉士養成施設や保育士養成施設などを卒業後、介護福祉士養成施設へ1年以上通い卒業(修了)すれば受験資格が得られます。

福祉系高等学校ルート

福祉系の高等学校へ入学(2009年度以降入学)し、定められた科目・単位を取得して卒業(修了)すると受験資格が得られます。

3つの方法の中でもっとも多いのは実務経験ルートで、実際に第31回介護福祉士試験合格者の約90%がこのルートです。
実務経験ルートは同一の施設でなくても問題ありません。勤務期間を正しく把握しておくと自分がいつから試験を受けられるのかわかるため、転職する場合は期間をしっかりメモしておきましょう。

介護福祉士の給料

2018年度の介護職員の平均月給を資格ごとにまとめると、次のような違いがあります。

介護福祉士
31万3,920円
無資格
26万1,600円
初任者研修(ヘルパー2級)
28万5,610円
実務者研修
28万8,060円

参考:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

介護福祉士と無資格では約5万円の給料の差があり、年間で60万円程度の違いになります。さらに、ユニットリーダーやサービス提供責任者などの役職に就いている場合には役職手当などが加わるため、より高額な給料を目指せます。

介護福祉士の処遇改善を求める声は年々増加しており、国も積極的に改善しようという方向で動いています。2019年10月には『介護職員等特別処遇改善加算』がスタートしました。従来の処遇改善に加え、介護福祉士などの専門的な技能や長い経験がある方がより快適に、長く働けるようにと厚生労働省が定めたものです。現状では制度が上手く活用されていないこともありますが、今後は介護福祉士の待遇がより良くなると予想されています。今はまだ取得するメリットが少ないと感じていても、将来的には給与面では欠かせない資格となるでしょう。

介護福祉士のやりがいと魅力

自分の介護が役に立つことを実感できる

介護福祉士になってリーダーなどの役職に就くと、言われたとおりの介助ではなく、自分が中心となって利用者さんに合った介助方法を考え実践していきます。利用者さんや家族から感謝を伝えられたときには、自分の理解力や介護への向き合い方が役に立ったと実感でき、大きな喜びが生まれます。

さらに、適切な介助の度合いやリハビリなどの計画を組み込むことで、できなかったことができるようになることがあります。少しずつでも前向きに変化していく利用者さんの姿を間近で感じられることが、もっと良いケアを提供しようと思えるやりがいにつながります。

就職先の幅を広げ、採用されやすい

介護福祉士は介護士だけでなく、生活相談員やサービス提供責任者など、就ける職種の幅が広がります。介護士としての現場仕事の多くは身体的な負担も大きいため、一定年齢を越えると続けていくことができるのかと不安になる方も少なくありません。身体的な負担が軽い職種へ転職したいと考えたとき、介護福祉士の資格が有利に働きます。

また介護福祉士の在籍は施設の体制強化につながり保険点数が増えるので、施設側は資格保持者を求めています。介護福祉士の需要は今後ますます高まっていくため、正社員としてはもちろん、結婚や出産をきっかけにパートタイマーとして働くときにも有利です。自分や家族の状態に合わせて最適な働き方が選びやすくなるでしょう。

介護福祉士の上位資格として認定介護福祉士という資格もあります。こちらは民間資格ですが、介護福祉士を所有している方だけを対象にしており、よりステップアップに役立つ資格です。給料アップにつながるだけでなく、一生使えてさまざまな可能性を広げてくれることが介護福祉士の魅力です。

介護福祉士に向いている人

仕事に前向きに取り組める人

介護福祉士として働くようになると、より高度な介護技術が求められたり、これまで経験したことのない業務を任されたりすることもあります。自分の知識や経験不足から上手く対応できず、落ち込んでしまうことも少なくありません。こうしたときに、前向きに仕事に取り組み新しいことをどんどん学んでいける方は、介護福祉士としてより成長できるでしょう。

介護福祉士になってリーダーなどの役職に就くと、業務に関わるすべての職員とも良好な関係を築く必要があります。しかし、介助中の注意やシフト調整など、他の職員から嫌われてしまいがちなことも担当します。人間関係などのストレスを発散できるような、切り替えが上手な方も介護福祉士として長く活躍できます。

細かな変化に気づける人

観察力が高い方や用心深い方も介護福祉士に向いているといえるでしょう。介護の現場は小さなことが大きなケガや事故につながる可能性があるので、些細なことでも見落とさない注意力が大切です。特に、介護福祉士は現場の中心的な存在となるため、他の職員が見落とすようなことでもチェックして、安心して利用できる環境を整えられる力が求められます。

また、利用者さんのわずかな変化から体調の異変や必要な介助を判断することもできます。手の震えが現れたり、足取りが悪くなったりと、高齢者はたった1日でも体調が大きく変わることがあります。しっかりと日々の行動を細かく観察できる几帳面な方ほど、現場で活躍できるでしょう。

自分の意見を押し付けない人

良いケアを実現するには、利用者さんや家族と話し合い、心配なことや要望をしっかり聞き出すことが必要です。そして、どうしたら改善・実現できるのかを相手の立場で考えることが大切です。相手の意見を否定するような方ではなく、相手の意見を尊重しながら、正しい道に導ける方ほど、信頼される介護福祉士になれるでしょう。

また、介護福祉士はリーダーとして介護方法の改善や提案をしますが、それを他の職員に押し付けてしまうと不満が生まれます。きちんと職員の声を聞いて、その中で実現できる方法を考えることが介護福祉士の仕事です。職員と利用者さん、両方の立場になって考えられる思いやりのある方も介護福祉士に向いています。

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