新型コロナウイルスの変異株感染が増加する中、一時落ち着いていた「高齢者施設」のクラスターなどが増加しています。ワクチン接種が進んではおりますが、変異ウイルスへの置き換わりも影響し感染は拡大の現況にあります。
一年半以上にわたり「絶対に感染させない、感染しない」という姿勢を介護施設・事業所の皆様は貫いておれるとは思いますが、特にデイサービスやショートステイご利用に際し、「ご家族から体調管理のヒアリングが適切に出来ていない」ことが原因で、ご利用中に体調を崩され、PCR検査の結果陽性になるケースも多いです。
また職員が陽性になるケースでは、「毎年冷房で喉風邪になるから、なんか咳き込むけど、熱がないから」「元々平熱が高いから」と思って働いていたら、PCR検査が陽性だった……というケースもあります。
陽性者の職員や利用者が出た施設の管理者に聞くと、「自己申告を信用してしまった」や「ご家族からきちんと利用日前の食欲がないなどのヒアリングが出来ていなかった」と入口を抑えれば、陽性者が出ても職員が媒介になり、感染させることもなく、また陽性者のご利用者が出たことで、他の利用者のケアマネジャーやご家族に不安を与え、PCR検査で陰性になっても以後、利用を控えられる方も出ておられます。
今回は、変異株増加に伴う「新型コロナウイルスの感染防止策」についてのご質問にお答え致します。皆さんの運営改善にご活用頂ければ幸いです。
目次
「新型コロナウイルスの感染防止策」についてのご質問
Q.コロナの急増で、うちも含め、福祉施設で陽性者が出ています。先月、職員に家族感染で陽性者が出てしまい、デイサービスを10日休み大打撃でした。今後の運営に心配が残りますので、あらためて介護施設・事業所における感染予防について職員に研修で周知徹底を行いたいと思いますので、ポイントを教えて下さい。
入口から抑える!介護施設・事業所における感染防止対策とは
全ての職員が意識する上で重要なのは、
- 施設へのウイルスの侵入を防ぐ
- 施設内にいるかもしれない無症候性感染者からの感染も拡大させない
ことです。
今一度、皆様の介護施設等の感染予防をご確認いただき、引き続き新型コロナウイルスを「持ち込まない」「拡げない」対策に施設等で務めて下さい。
施設へのウイルスの侵入を防ぐ
ウイルスの侵入ルートは?
- 職員
- 面会家族
- 出入り業者等の関係者
- 外出・外泊から帰ってきた入所
職員がウイルスを持ち込まないために
- 施設外(私生活)での行動制限(旅行や宴会など)
- 出勤時のチェック項目
- 体調、体温、同居家族の体調
- 欠勤すべき条件
- 「発熱」、「咳」、「味覚・嗅覚異常」など
汚染度の違いを明確にする
施設内を①汚染エリア②グレーエリア③クリーンエリアに区分する
①汚染エリア
外部から入ってきた人がいるスペース(エントランス、入り口の窓口の事務室など)
②グレーエリア
体温チェック、手指衛生などを行うスペース、更衣室、会議室、食事をとる休憩室
③クリーンエリア
入所者のいるスペース
やむを得ない面会では、面会者は感染対策の知識がないという前提で対応
面会のルール
職員が終始付き添って指導・監督する
- 体温測定
- 問診票(署名必要):過去2週間の体調確認、流行地域への立ち入り、風邪症状を呈する人との接触歴など
- 持参品は預かる.食品の持ち込み禁止
- 手指衛生(クリーンエリアに入る時、入室時、トイレ後など)
- マスク(着用法を含め)、長袖ガウン、手袋
- 食事介助、体位変換、移動介助など濃厚な接触は避ける
外出・外泊について
- 原則禁止
- やむを得ない場合は施設外での3密(密閉、密集、密接)を避け、マスク着用と手洗い励行の指導を行う
施設内の無症候性感染者からの感染を拡大させない
- どれだけ防御を固めても、無症状で感染性を有する人はクリーンエリアに入りうる
- クリーンエリアにいる職員や入所者の誰かが感染している前提で対応する
- 一旦侵入したウイルスを施設内で拡げない事が目標
無症候の感染者からのウイルス伝播
口からの飛沫
- マスクで予防可能
- グレーエリア(職員休憩室・更衣室など)での職員間の接触(会話や食事)に注意
- 食事時間をずらしてマスク無しの職員が複数休憩室にいるのを防ぐ
- 換気を良くする
高頻度接触面から
- 共有物品を含め多くの人が触る場所は汚染していることを意識して手指衛生を行う
(例えば、受話器、パソコンのキーボード、エレベーターのボタン) - 汚染している所を触ったらその都度手指衛生
- 手袋を過信しない 手袋を外す際に汚染するので手指衛生を行う
会議・ミーティングは極力行わない
行う場合の注意点
- 短時間で実施
- 換気の悪い部屋は避ける
- 少人数で距離を保つ
- 飲食禁止
- マスクを着用する
- グレーエリアで行う
- 会議資料等はクリーンエリアに持ち込まない
- 手指衛生でリセットしてからクリーンエリアに戻る
職員の行動は様々であると理解し、適切な指導を行う
感染対策の行動は同一ではない、定期的に確認しあう事が重要
- マスクの正しい着用法
- 鼻は出ていないか、
- 食事中にどこに置いているか、
- マスク表面や口・鼻を触っていないか
定期的に確認しあう事が重要
- 手指衛生のタイミング
- 体調管理
- 日常生活での感染対策に留意しているか
- 心身の疲れはたまっていないか
- 宴会を避けるなど自制しているか
感染対策の基本
ウイルスは口や鼻から出ている
- マスクで飛散を防ぐ
- 顔に付着したウイルスを手につけない
手についたウイルスを入所者や施設内環境に付けない
- 入所者に接触する前の手指衛生
- 手袋の有効活用
- 高頻度接触面を触らず、触った後は手指衛生
まとめ
感染予防には、入所者、利用者にウイルスを移すのは主に職員であることを自覚して行動することが、重要です。
「感染しない事に努める」ためには、
- 3密を避け、手洗いを励行する
- 規則的な生活、睡眠、食事に心がけること
が大事だと、あらためて職員に周知徹底しましょう。
全国には、新型コロナに感染されご逝去されたお客様、仲間がいることを忘れることなく、「絶対に感染させない、感染しない」ためにルール遵守徹底を貫き、今後も適切な運営をされて下さい。