職場内教育(OJT:On the Job Training)は、日常の仕事の中で教育・指導を行うことにより実践力を高める目的があります。
さまざまな介護の場面の援助技術を指導する上で大切なのは、正しい基本情報や手順書を基に教え、学ぶことが重要です。 今回は、『職員へのOJT~移動・服薬介助・サービス受入時のポイント~』についてご紹介しますので、皆様のサービスの質の向上にお役立て頂けたら幸いです。
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目次
援助技術のポイント
ここでは、一般的な要旨をご紹介します。各々の介助に関する詳細は、別途介助事項マニュアル等を併用しながらOJTを行うようにしましょう。
移動介助
移動介助は人間らしい生活をとり戻すことへの援助であり、社会性の回復への第一歩の介助です。
座位・端座位の介助
①患側に傾く、ふらつきやすい場合、補助具等を活用し座位姿勢を安定させます。
②ベッドの高さは深く腰掛け腫が床にきちんとつくように調節します。
③ベッド柵、移動バーは健側に設置します。
立位介助
①足回りの動きやすい服装にします。
②両足を肩幅に開き、両足底全体を床につけ、つま先は30度前後外向きにします。
③ふらつき、傾き、前屈、後屈、膝折れになっていないか確認します。
④立位は次の動作に移る為の行動ですが起立性低血圧などを起こしやすいため、観察と注意が必要です。
歩行介助
①立位保持が安定していることを確認します。
②歩行の状態を観察します。
③片麻痺の場合は、健足から踏み出し重心をおき、患足を添えます。
④両手引き・・・・・・胸より少し下に両手を出して頂き肘を軽く曲げて、介助者は下から肘を支えます。
⑥健側を支える・・・・・・杖、手摺りを使用しない場合健側を支えます。
⑦患側で支える・・・・・・利用者の患側斜め後方または、患側横で腰、患手を支えます。
車椅子介助
①車椅子の点検をします。
②麻痺側の手先が車輪に巻き込まれないように、両手は大腿部付近に置きます。両肘は、車イスから飛び出していないことを確認しましょう。
③両足はフットレストにきちんと乗っているか、確認をしてから操作をします。
④ブレーキは患側から、解除は健側から操作します。
⑤進行開始及び進行中の操作変更は、必ず声をかけ、確認後に行います。
⑥残存機能を活かす関わりを心がけ、上肢に不自由のない場合、自走の働きかけも検討してみましょう。
服薬介助
高齢になるといくつもの疾病を持ち、服用する薬の種類も多い傾向にあります。正しく服薬する援助とともに副作用の観察が重要となります。
服薬時の留意事項
①利用者本人のものであるか(服用までに3回確認する)
②服用方法に間違いはないか
食前・・・・・・食事を摂取する1時間~30分の間
食間・・・・・・食事摂取後2時間程度経ってから
食後・・・・・・食事摂取後30分以内
③用量に間違いはないか(1回の量と1日量)
④投薬日時に間違いはないか
(1/W・隔日 1回/1日)
⑤薬物アレルギーの有無
⑥利用者の訴え、変化を見逃さない
⑦服薬の目的、方法、効用、禁忌、副作用についての理解
⑧誤薬のあった場合は必ず医師の指示をあおぐ
サービス利用受入時のポイント
【受入の手順】
①ケアマネジジャー・本人家族からの利用希望の受付
②自宅または病院等への実態調査
③施設・事業所内での受入の検討審査会等の開催
【使用する帳票】
- フェイスシート(基本情報)
- アセスメント表
- 介護計画書(←ケアプランに基づいて作成する)
【留意点】
・施設・事業所内で開催する検討審査会等の参加者
施設長・該当サービスの管理者及びサービス提供責任者・生活相談員・看護師・介護職等で構成します。
・受入事の情報共有
フェイスシートに基づいた、チェック項目また身体的・精神的に配慮すべき点など、周囲からの情報も集約して審査会等を実施し、受入の可否を話し合います。
*医療面・感染症有無の確認
医療面⇒胃ろう・インシュリン・気管切開・経管栄養・在宅酸素・IVH・バルーン・透析・褥創などの有無やその対応方法について
感染症⇒疥癬・肝炎・結核・梅毒・HIV・MRSA・などの有無について
※審査会等での審査内容・審査事項については、必ず記録を残すこと。
特にケアマネネジャー・家族・本人・事業所にて共通理解、認識が必要な情報については、利用開始前に理解の相違がないよう充分に伝達を行いましょう。
・サービス利用契約締結ならびに重要事項説明書の説明
実際の契約行為は、主に、生活相談員が担うことになりますが、職員は一連の流れを把握しておくようにしましょう。
まとめ
介護現場では、「初めて関わるが、どのようなことに注意して介護をしたら良いのか分からずに不安です」という声が聞かれます。安全・安心の介護のためには、受け入れ時の基本情報の把握と情報共有が必要になります。特に人員に限りがある夜勤帯は、正しい情報共有が、適切な対応には必要となりますので、ご指導の際には、周知徹底されて下さい。