需要が高まる男性介護士の年収はいくら?

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男性介護士

日本では昔から介護士といえば女性のイメージがありました。ところが、現代では状況が変化し、男性介護士の需要が急速に高まっています。実際、昔と比べると男性の介護士の数は随分と多くなっています。そこで、本記事では男性介護士の数が増えている理由について解説しつつ、男性ならではの強みやどの程度の年収が期待できるかなどについて紹介していきます。

男性介護士が増えている?

かつては女性中心だった介護の職場にも、男性の姿が目にする機会が増えてきました。その理由の一つとして挙げられるのが2000年に施行された介護保険制度の影響です。この制度により、介護度ごとに入所できる施設が明確に定められることになりました。その結果、寝たきりの要介護者の利用が増え、業界全体で力のある男性スタッフが求められるようになったのです。また、介護の職種資格や専門学校などが増えたことによって、男性であっても介護士の仕事が職業選択の候補に入りやすくなったという事情もあります。

さらに、急速な高齢化社会の到来に伴い、施設を利用する人や施設自体の数が急増している点も大きな理由の一つです。今後はさらに介護が必要となる高齢者の数が増えていくため、男性介護士の需要はより一層高くなっていく状況にあります。

介護士の男性と女性の割合

令和元年度介護労働実態調査によると、介護業界で働いている職員全体の男女比は男性21.4%女性78.2%となっています。

職種別でみると訪問介護員は男性が10.9%、女性88.7%、施設介護員は男性が25.4%、女性が74.2%となっています。

このように訪問介護と施設で働く介護職員の男女比に差があるのは、訪問介護の場合は炊事・洗濯・掃除などをはじめとして、女性が得意としている仕事が含まれる点にあります。また、訪問介護は非正規雇用が大半を占めているため、家事や育児の合間の時間を利用して働きたいという女性スタッフが中心になるというのも一つの理由でしょう。

平成20年度介護労働実態調査では男性が15%、女性が80.5%という結果が出ていましたので、そこから比較しても男性の介護職員が増えていることが分かります。
そして、超高齢化社会の到来に向けて、今後も男性介護士の需要はますます高まっていくと考えられます。

男性介護士の強み

女性介護士と比較した場合、男性介護士には主に2つの強みがあります。この段落では、具体的にそれがどのようなものなのかを紹介していきます。

力仕事ができる

介護の現場では力を要する仕事が数多くあります。たとえば、利用者さんをベッドから車椅子、あるいは車椅子から車へ移乗させる移乗介助や入浴介助の場合、利用者さん体重を支えなければいけません。さらに日常の介助で欠かせないおむつの交換なども体位変換が必要になる場合は力を要します。

小柄な利用者さんであれば女性スタッフ一人でも対応することが可能ですが、大柄な体格の利用者さんの場合、女性スタッフは2人がかりでなければ介助できないといった事もあります。また、無理をするとスタッフと利用者さんの双方に怪我のリスクが生じてしまいます。その点、男性であれば基本的に女性よりも力が強いので、スムーズな介助が期待できるでしょう。

また、そうなると女性スタッフから頼りにされる場面も多くなるはずです。そして、頼られているという実感が、仕事に対するやりがいにもつながっていくのではないでしょうか。

長い間働ける

昔と比べて現代は女性の社会進出が顕著です。しかし、女性には結婚、出産などといった大きなライフイベントが多いため、職場が女性だけで構成されていると安定した人員確保が困難になりがちです。しかも、産休や育休後に働き方を変える人が少なくないという問題があります。その点、男性の場合は結婚後や子どもができたあとも基本的に転職はせず、女性よりも同じ職場に長く留まる可能性が高いといえます。これは男性ならではの強みであり、実際、人材の安定的な確保という観点から男性を積極的に採用する施設も少なくないのです。

そして、施設側から長く活躍することを期待されているという事実は、キャリアアップを積み重ねれば管理職を目指せる可能性が高いということを意味します。また、利用者さんの立場からすると、同じスタッフが対応してくれる方が安心感を得られるので、そういう意味でも介護現場では男性スタッフが求められています。

介護士の年収

介護士の給与は職種や勤務する施設形態、従業員数などによってある程度幅がありますが、令和元年賃金構造基本統計調査結果によると、福祉施設介護員の平均給与は24万4500円ホームヘルパー24万800円介護支援専門員27万5200円となっています。

しかし、そこに賞与などの上乗せがあるので、実際の年収は平均で福祉施設介護員346万5700円ホームヘルパー327万7000円介護支援専門員380万9200円といったところです。

さらに、キャリアを重ねて管理職や管理者といった立場になれば、年収500万円を超える人も少なくありません。この段落ではその事実を踏まえたうえで、厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査の結果をもとに、年齢及び職種と収入の関係を男女ごとに解説していきます。

男性

ケアマネージャー

経験年数計 所定内給与額 年間賞与 年収
全体 283,700 713,700 4,118,100
0年 288,500 435,400 3,897,400
1~4年 247,800 489,500 3,463,100
5~9年 282,000 787,600 4,171,600
10~14年 282,000 677,400 4,061,400
15年以上 307,600 885,600 4,576,800

福祉施設介護員

経験年数計 所定内給与額 年間賞与 年収
全体 243,500 588,300 3,510,300
0年 205,000 89,200 2,549,200
1~4年 223,000 484,100 3,160,100
5~9年 242,200 603,200 3,509,600
10~14年 260,300 732,100 3,855,700
15年以上 274,900 762,800 4,061,600

訪問介護員

経験年数計 所定内給与額 年間賞与 年収
全体 256,800 394,000 3,475,600
0年 249,400 175,500 3,168,300
1~4年 251,800 389,800 3,411,400
5~9年 251,700 409,200 3,429,600
10~14年 253,900 415,700 3,462,500
15年以上 291,700 411,100 3,911,500

女性

ケアマネジャー

経験年数 所定内給与額 年間賞与 年収
全体 258,000 595,100 3,691,100
0年 219,400 122,200 2,755,000
1~4年 254,500 508,700 3,562,700
5~9年 246,800 635,000 3,596,600
10~14年 262,700 579,300 3,731,700
15年以上 267,500 660,800 3,870,800

福祉施設介護員

経験年数所定内給与額年間賞与年収
全体221,700498,8003,159,200
0年193,10051,4002,368,600
1~4年208,100418,2002,915,400
5~9年217,000502,3003,106,300
10~14年228,200544,4003,282,800
15年以上242,000640,7003,544,700

訪問介護員

経験年数所定内給与額年間賞与年収
全体218,500385,6003,007,600
0年213,00020,5002,576,500
1~4年207,600296,8002,788,000
5~9年222,600413,8003,085,000
10~14年225,100406,9003,108,100
15年以上218,400451,1003,071,900

※所定内賃金には、残業代、夜勤手当などは含まれていません
※年収は「所定内賃金×12ヶ月+年間賞与」にて算出しています

給与が安いというイメージが強い介護士ですが、それは今まで女性中心の業界であったことも関係しているのではないでしょうか。男女を比較してみると、いずれの職種でも女性に比べて男性の方が数十万円程度年収が高いことがわかります。また、上記のつまり、男性なら従来のイメージよりも多くの収入を得ることも十分に期待できるというわけです。
上記の所定内給与額には残業代や夜勤手当などは含まれていませんので、実際に給与として支払われる額はこれよりも多くなる場合もあるでしょう。

男性の活躍が期待できる職種

男性が増えてきているといっても介護士の世界はまだまだ女性が中心で、両者の数には差があります。しかし、超高齢化社会を迎えるにあたり、男性介護士の需要はますます高まっていくはずです。そうなると、収入や待遇面での改善が期待できます。男性で就職や転職について悩んでいるという人は、将来性の期待できる介護士を選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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