介護福祉士の給料・平均年収!給料アップの方法もご紹介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
介護福祉士の給料・平均年収!給料アップの方法もご紹介

介護業界で働く介護士のなかには、国家資格である介護福祉士の資格を目指している人も多いでしょう。キャリアを重ねて国家試験を受けて介護福祉士になると、どれくらいの給与がもらえるのでしょうか。

実は同じ介護福祉士でも、働く施設の形態によって給与の額は異なります。介護福祉士の平均給与や平均年収の実際、給与アップの方法についてご紹介します。

介護福祉士の給与・年収の平均

「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護福祉士の平均月収は329,250円です。平均年収にした場合は3,951,000円(平均月収×12ヶ月)となります。

この介護福祉士の平均給与額のデータは、介護福祉士16,542人を対象としたもので、平均年齢は44.2歳、平均勤続年数は8.9年、月の実労働時間数は158.8時間です。平成31年の介護福祉士の平均月収は313,590円、平均年収は3,763,080円であり、平成31年と比べると、令和2年の平均月収は15,660円、平均年収は187,920円アップしています。

パート、アルバイトの場合の平均時給

パートやアルバイトとして、時給で働いている介護福祉士も少なくありません。厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護職員の平均時給は1,110円です。看護職員は1,440円、理学療法士は1,660円であることからも、職場のなかでも低い水準といえるでしょう。

なお、時給だけを比較する場合、パートやアルバイトとして働くよりも派遣社員として働くほうが高くなることがあります。職場によってボーナスなどそのほかの処遇が変わることもあるので、年にどの程度受け取れるのかを考慮した上で働き方を決めるようにしましょう。

参考:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要

給与の金額、額面と手取りの違いとは?

給与には額面給与と手取り給与があります。

  • 額面給与
    会社から個人に対して支払われる金額の合計で、月給の総支給金額です。基本給(給料)に加えて資格手当や通勤手当、残業代などが合計された給与となります。
  • 手取り給与
    自分が実際に受け取ることのできる金額です。額面給与から所得税や住民税などの税金、社会保険料などが差し引かれた金額となります。求人票には額面給与が載っていることが多いため、実際にもらった給与額と差があるのはこのためです。

一般的に、手取り給与は額面給与の75~85%程度になるといわれています。そのため、介護福祉士の平均月収329,250円の場合では、手取り給与はおおよそ247,000~280,000円、手取り平均年収は2,964,000~3,360,000円(※)となります。

  • 介護福祉士の平均年収は3,951,000円
  • 手取りはおおよそ2,964,000~3,360,000円(※)

※ボーナスなどの給与外報酬は含めていません。

介護福祉士の給与・年収を決める要素とは

介護福祉士の給与や年収を決める要素として、資格手当を含む各種手当や施設形態が挙げられます。同じ施設形態であっても、キャリアのある介護福祉士などに対して賃金改善を行う制度である「介護職員等特定処遇改善加算」の取得状況によっても、給与に違いが出てきます。

介護福祉士の手当

平成27年度「社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果」によると、約半数の人に介護福祉士の資格手当があり、資格手当の平均額は月8,237円となっています。介護福祉士とそのほかの介護職員との平均給与について、厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」で比べてみましょう。

令和2年令和2年平成31年平成31年
平均給与平均年収(※)平均給与平均年収(※)
介護福祉士338,3404,060,080319,9503,839,400
介護職員初任者研修311,6903,740,280294,9703,539,640
介護職員初任者研修310,5603,726,720293,0303,516,360
保有資格なし282,2903,387,480269,9903,238,800

令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果 第127表より一部抜粋

介護福祉士の平均給与338,340円は、実務者研修や介護職員初任者研修、保有資格なしの介護職員の平均給与よりも高く、実務者研修とは26,020円、介護職員初任者研修とは28,040円、無資格者とは53,330円もの差があることがわかります。平均年収(※)にすると、312,240~639,960円の差が生じます。

※ボーナスなどの給与外報酬は含めていません。

施設形態による給与・年収の違い

介護福祉士は福祉施設介護員介護職員のなかでも平均給与が高いですが、同じ介護福祉士資格保有者でも施設形態によってその額は異なります。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、訪問介護事業所、通所介護事業所(デイサービス)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で働く介護福祉士の平均月収を比べてみましょう。

令和2年令和2年平成31年平成31年
平均給与平均年収(※)平均給与平均年収(※)平均給与平均年収(※)
全体338,3404,060,080319,9503,839,40018,390220,680
介護老人福祉施設363,8904,366,680344,3604,132,32019,530234,360
介護老人保健施設353,2104,238,520334,9304,019,16018,280219,360
介護療養型医療施設339,5504,074,600322,2303,866,76017,320207,840
訪問介護事業所327,0503,924,600303,2903,639,40023,760285,120
通所介護事業所304,9703,659,640290,4503,485,40014,520174,240
認知症対応型共同生活介護事業所311,9603,743,520294,7103,536,52017,250207,000

令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果 第127表より一部抜粋

厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると介護福祉士が勤務する施設形態のなかで、平均給与がもっとも高いのは介護老人福祉施設で、363,890円です。もっとも低いのは通所介護事業所で、平均給与は304,970円です。その差は月額で58,920円、年収(※)にすると707,040円の差となります。

施設形態による給与の差は、夜勤手当があるかどうかにもよります。もっとも給与が低い通所介護事業所は基本的に日勤のみで夜勤がありません。介護福祉士として勤務する際の施設形態の選び方は、給与を重視するか働き方を重視するかによって変わってくるといえます。

介護福祉士の給与は、資格手当や施設形態以外にも、事業所の給与規定によって勤続年数や経験年数で変わることもあります。また、勤務する地域によっても給与水準が変わります。

※ボーナスなどの給与外報酬については含めていません。

処遇改善の違い

勤務先の事業所がどのような介護職員処遇改善加算を取得しているか、どのように職員に配分を行っているかによって、給与は大きく変化します。対象の介護職員にのみ配分している事業所もあれば、不公平感をなくすために全職員に対して均等に配分している事業所もあるでしょう。

筆者の現場での感覚としては、処遇改善加算の恩恵を十分に受けているという実感があります。役職についている場合は額面も多く配分され、処遇改善手当としてしっかり支給されています。ただし、筆者の勤務先が訪問介護事業所であることを考えると、介護職員以外の配置はないため、他職種にも配分する必要がなかったという面も大きいようです。

たとえば通所介護事業所の場合、生活相談員や看護師、機能訓練指導員などの職種が配置されるので、法人や事業所が公平に配分する方針であれば介護職員への額面が減ってしまうことになります。逆に対象の職員のみに配分する方針であれば、手当として手厚く支給されることもあるでしょう。

所属する事業所や方針によって金額に差があるものですが、手当として毎月支給されることにより、介護職員全体の平均給与の上昇につながっていることは間違いありません。

勤続年数

多くの職場では、勤続年数が増えると基本給が上がります。年収を上げる方法としては、長期間同じ職場で勤務することも検討できるでしょう。また勤続年数が増えることで、介護主任などの責任ある役割を徐々に任されることになります。役職が上がって役職手当がつくこともあるかもしれません。

しかし、勤続年数が増えても初任給からあまり変わらない職場もあります。上がり幅が少ないときは転職を考えてみてもいいかもしれません。

夜勤の有無

有料老人ホームなどの24時間介護を提供している施設には夜勤があり、夜勤手当が支給されることがあります。1回5,000円ほどとすれば月に4回で20,000円の加算になり、年収にも大きな影響を与えるでしょう。

また夜勤専従として働くことで、より効率よく年収増を実現できるかもしれません。自分自身の健康や家族との生活も考慮し、納得できる形態で働くようにしましょう。

今後、介護福祉士のお給与はどうなる?上がる?

介護職の安定的な人材確保と質の向上のために介護職の処遇を改善する取り組みが行われていますが、今後、介護福祉士の給与はどうなっていくのでしょうか。2019年10月に主としてリーダークラスである介護福祉士の賃金アップを目指し、「介護職員等特定処遇改善加算」がスタートしました。

とはいえ、この介護職員等特定処遇加算を算定するには一定の要件を満たす必要があり、現状としてすべての介護施設が加算を算定できているわけではありません。介護業界で特定処遇改善加算がスタートすれば、10年以上勤続する介護福祉士の給与が月額にして平均8万円程度アップするとイメージする人も多かったはずです。

しかし、実のところ各職員への配分は各事業所に委ねられており、支給額すべてが対象とされる介護福祉士の収入になるとは限りません。そのため、介護職員内で支給額をどのように配分するかが難しいと感じている事業所も多く、「2019 年度介護報酬改定ー介護職員等特定処遇改善加算アンケート」によると、介護職員一人当たりの給与アップ額(計画額)は平均20,000円程度でとどまっており、対象外の職員とのバランスを考えて配分している事業所が多いという結果が明らかになりました。

制度が上手く活用されていないところもありますが、事業所が効率の良い介護サービスを提供するなど独自で工面して処遇改善を図ろうとしているケースもあり、今後はキャリアのある介護福祉士の待遇がより良くなることが予想されています。

介護福祉士からキャリアアップして、給与を上げる方法

介護福祉士が給与を今よりもアップするためには、介護福祉士からのさらなるキャリアアップという方法があります。その方法には次のような選択肢が挙げられます。

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)などの相談業務で介護のプロフェッショナルを目指す
  • 認定介護福祉など、介護現場でのプロフェッショナルを目指す
  • 施設長・ホーム長などの管理者として、マネジメント職を目指す

ケアマネジャー(介護支援専門員)の給与アップ額見込み

ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均給与額は380,210円であり、介護福祉士の平均給与額338,340円よりも月額41,870円高くなります。平均年収では432,720円の給与アップとなります。介護福祉士以外の福祉資格を取得することで、年収アップを目指すことも検討しましょう。

現在の処遇改善ではケアマネジャー(介護支援専門員)が対象外となっていますが、その専門性に見合った処遇にするべきという議論もあり、今後さらに収入がアップする可能性が十分にあるといえます。

認定介護福祉士の給与アップ額見込み

介護チームのリーダーへの教育や他職種との連携の中心となる能力を兼ね備えた認定介護福祉士になると手当などがつき、職場で待遇がアップすることも見込めます。

2015年に創設されたばかりの民間資格なのでまだ資格取得者も多くはありませんが、これからの地域包括ケアを考える上では重要な資格となることは間違いないでしょう。

>>認定介護福祉士とは?求められる役割や介護福祉士との給料の違いなど

施設長・管理者の給与アップ額見込み

現場での仕事から施設長やホーム長などの管理職となると、仕事を運営していく立場となり、責任も増すので給与アップが見込めます。事業所管理者の平均給与額は359,357円で、労働者全体の平均給与231,553円よりも月額で127,804円高くなっています。平均年収にすると1,533,648円給与が上がります。

>>施設長・管理者の仕事内容や給料についてはこちら

さらなる年収アップには

  • ケアマネや認定介護福祉士などのプロフェッショナルを目指す
  • 施設長などの管理者を目指す!

介護福祉士が給与アップするには転職するのも選択肢のひとつ

同じ介護福祉士であっても、介護職員としてのキャリアや職場が特定処遇改善加算を算定しているかどうか、地域における給与の相場などにより平均給与や平均年収は大きく異なります。給与アップを見込んで認定介護福祉士や介護支援専門員、管理職へのキャリアアップを図ろうとすると、資格取得やキャリアアップするまでに時間がかかります。

職場によって給与は異なるので、給与の高い施設を見つけて今のままのスキルで時間をかけずに転職することも選択肢のひとつです。