有料老人ホームは運営する企業によって、様々な特色を打ち出しており、利用者さんの介護度やサービスの内容は様々です。仕事内容や施設の雰囲気、介護職に求められることも各施設によって異なるため、有料老人ホームを志望する場合には、各施設特有の特色や理念、介護方針を事前にしっかりとチェックしておくことが大切です。どいうったところに魅力を感じたのか、なぜ働きたいと思ったのかといった志望の理由と、そこで活かせる自分の強みを考える方もいるでしょう。採用担当者に自分の強みややる気を伝えるための志望動機の書き方を、例文付きで紹介します。
目次
有料老人ホームとは
食事、介護、家事、健康管理のサービスのうちのひとつ以上を高齢者に提供する介護施設です。タイプとしては、介護が必要な方が入居できる介護付き有料老人ホーム、介護が必要になれば外部のサービスを用いて介護を受けることのできる住宅型有料老人ホーム、自立している方が入居できる健康型有料老人ホームがあります。
利用者さんの特徴
有料老人ホームは、施設によって入居条件が異なります。健康型は自立している方のみとなり、住宅型は自立している方と介護が必要な方が両方入居しています。介護付きは自立している方も入れる施設や要介護1以上の方のみの施設などさまざまです。
それぞれの施設が力を入れている取り組みや特色は大きく異なり、それぞれの特色に合う方が集まりやすくなります。
仕事内容、ケアの特徴
有料老人ホームは「介護付き」「住宅型」「健康型」の3つに分けられます。
- 介護付き有料老人ホーム
自治体の許可を得て運営されており、介護保険制度上の「特定施設入居者生活介護」に分類されます。入居条件は施設によって異なりますが、介護職員が24時間常駐してサービスを提供します。具体的には入浴、排泄、食事、着替えなどの日常生活の身体介護や身のまわりの援助、レクリエーションの実施などです。
- 住宅型有料老人ホーム
介護が必要になれば外部の介護サービスを使用する仕組みのため、施設の介護職の仕事は食事の準備、掃除や洗濯などの家事援助、レクリエーションの企画・実施や外出援助が中心となります。
- 健康型有料老人ホーム
自立している方の身のまわりの援助として、掃除、洗濯、食事の準備などの家事サービス、イベントやアクティビティの企画・サポートなどを行います。健康な高齢者が入居しているため、快適に生活していただくためのサポート、サービスが中心です。
有料老人ホームの志望動機を考える事前準備
採用担当者の目に留まる魅力的な志望動機を履歴書に書くために、企業研究と自己分析で準備を整えましょう。
応募する事業所の特徴を理解する（企業研究）
応募する前に、その事業所が自分に合っているかどうかの見極めが重要です。とくに、有料老人ホームの場合は、施設の強みや特色を出すために施設によって多様なサービスに取り組んでいます。
健康型や住居型は身体介護の機会がなく、掃除や洗濯などの家事援助のみという場合もあるため、入職してから「思っていた仕事と違う」ということがないように、施設のホームページや求人情報から事業所の運営母体や理念・方針、特色などをよく調べ、どのようなサービスを提供している施設か、どのような仕事内容かを確認することが大切です。
自分の強みと弱み、今後の目標を明確にする（自己分析）
有料老人ホームに応募するにあたり、自分をどのように活かすことができるか、どのように成長していきたいかを明確にします。
多様なサービスがある有料老人ホームの仕事において活かせる経験や長所、得意な分野、今は弱みや不得意な分野であるがこれから改善していきたいところなどを考え、有料老人ホームで働く自分を客観的に捉えて掘り下げていきます。
有料老人ホームで働いて成長する自分を思い描き、どのようなことを大切に仕事をしていきたいか、将来どのような介護職になりたいかを具体的な目標と達成したい時期とともに考えていきましょう。
目標を考えるときには、仕事をするうえで絶対に譲れないこと、反対にとくにこだわらないところを最初にはっきりさせておくと、進むべき進路が見えてくるはずです。
採用担当者の目に留まる志望動機の書き方
今までの経験や自分の人間性と応募先の事業所で働く自分を結び付けて、採用担当者がイメージしやすい志望動機を示しましょう。内容は具体的に書くと働く意欲が伝わりやすくなります。
これまでの仕事や経験で得た強みをアピールする
仕事や人生において心に残っているエピソードや経験を通して学んだこと、強み、自分らしさを介護職としての魅力と結び付けてアピールします。
応募する企業や事業所を選んだ理由を明確にする
応募先の理念や方針、特色などを的確に捉えたうえで、自分の経験に落とし込んで根拠のある理由を示しましょう。「○○を経験し、△△したいと思ったから」など、具体的な経験と理由を明確に示すと説得力があります。
入職後に自分がどのように貢献できるかを具体的に説明する
実際に経験したエピソードを具体的に説明し、「○○の経験をして△△を学んだ。□□に活かしたい」など、やる気が伝わる動機にします。具体的に説明することで採用担当者が、一緒に働くとどのように期待できるかをイメージしやすくなります。
将来の目標やキャリアビジョンを伝える
どういったステップを踏んでいきたいかを、応募先の事業所で働く自分の将来像を示して伝えます。働いた先に見える目標をはっきりと採用担当者に示しましょう。将来のビジョンがはっきりしていると意欲が伝わりやすく、前向きな印象を与えます。
有料老人ホームを希望する場合の志望動機の例文
志望動機は「これまでの経験でアピールできること→志望する理由→自分が貢献できること→今後の目標」で構成しましょう。前職や志望理由別に例文を紹介します。
特養から介護付き有料老人ホームへの転職を希望する場合
経験
特養で介護職として働き、多様な症例を担当しました。介護度の高い方も多く、身体介護のスキルが身につきました。
理由
特養では担当する入居者の人数が多く、一人ひとりに時間をかけることができなかったため、一人ひとりと向き合った介護をしたいと考え、個別ケアを行う有料老人ホームへ転職したいと思いました。
貢献
要介護度が高い方を中心に介護をしてきたので、どのような症例の方でも担当できる自信があります。
目標
利用者さんが求めていることを把握して、その方に合った介護スキルを提供できるようになりたいです。
訪問介護員から有料老人ホームへの転職を希望する場合
経験
訪問介護で介護職として、身体介護や生活援助を行ってきました。
理由
相手の気持ちを汲み取る丁寧な対応がしたいと思い、接遇スキルを身につけられる貴施設を志望いたしました。
貢献
訪問看護を併設している事業所だったため、介護職員と看護師が連携をとりながら業務にあたってきた経験を活かせると思います。
目標
接遇スキルを身につけ、利用者さんの望む、より質の高いケアを提供できるようになりたいと思っています。
経営理念や介護方針に共感し、有料老人ホームから有料老人ホームへ転職を希望する場合
経験
有料老人ホームにて介護職として働き、その方のニーズに合わせた介護を行ってきました。
理由
貴施設の介護の質を重視しているという介護方針と、職員の研修制度が充実しているところに魅力を感じて、こちらで働きたいと思いました。
貢献
ホテルライクなサービスを提供するホームだったため、接遇マナーや利用者さんのご要望にお応えできる対応が身についています。
目標
介護の質を高め、ステップアップ制度を利用して介護職としてひとりの人間としても成長していきたいです。
健康型有料老人ホームから介護付き有料老人ホームへの転職を希望する場合
経験
健康型有料老人ホームでおもに、入所者さんの生活援助をしてきました。
理由
身体介護のスキルを磨きたいと思い、貴施設への入職を志望しています。
貢献
有料老人ホームの一日の流れは把握しており、利用者さんへの体操やレクリエーションにも関わってきました。
目標
身体介護スキルを磨き、対応できる症例の幅を広げたいです。
介護未経験からの有料老人ホームへの転職を希望する場合
経験
ホテルマンとして働いていました。
理由
親の介護をきっかけに、介護のスキルを磨きたいと思いました。介護業界未経験者で介護職を志望しています。
貢献
ご家族の気持ちがわかる介護職として利用者さんとそのご家族を支えていきたいです。ホテルマンとして培った接遇マナーも介護に活かせると思います。
目標
介護職として経験を積み、介護福祉士の資格を目指したいです。
応募前に施設の情報収集をしっかりと
有料老人ホームの介護職の仕事内容は、介護付き、住宅型、健康型のタイプによって、生活援助中心か身体介護中心かが異なってきます。施設によっても特色が違うので、応募前に施設についての情報収集をしておくことが大切です。自分がどのような仕事をしたいか、将来どうなりたいかを明確化し、目標を叶えることのできる職場を選択しましょう。
