頑張ろうとする前向きな気持ちは重要ですが、ストレスで疲れきってしまい、仕事の効率が落ちたり、ミスが多発したり、ましてや倒れてしまっては本人のみならず、周囲に負担がかかってしまいます。
職場におけるメンタルヘルスの重要性を認識し、意識的にストレス・マネジメントを心がける必要があります。今回は『メンタルヘルスの重要性とストレス・マネジメント』についてご紹介させていただきます。
皆様の適切な職員の健康管理にお役に立てれば幸いです。
ストレス・マネジメントとは
ストレス・マネジメントとは、分かりやすくいえば、「その人自身にとって苦痛な(悪い)ストレスを溜め込まないように管理しよう」ということです。
ストレス・マネジメントは意識的に行うことが必要なので、普段から心がけてみましょう。
以下に、仕事におけるストレス・マネジメントのうち重要なものを5つ紹介します。
休日はきちんと休む
休むことは悪いことだと考えず、仕事の効率と精度をあげるためのメンテナンスと考え、できれば3日間、少なくとも2日間の連続した休暇を時々取りましょう。
完璧な仕事の出来を期待しない
自分自身に対しても、職員に対しても、ケアや作業などで完璧さを求めないようにしましょう。
「泣き言」と「うわさ話」は避け、他者を非難しない
これらは、意外にもストレスを溜めてしまいます。
ストレスが多かった日は、入浴や十分な睡眠など、疲労回復の時間を十分にとる
飲みに行ったり、パチンコなどのギャンブルをしたりすると、逆にストレスを溜めてしまいます。
また、元気がない人を元気づけるために仕事が終わってから酒の席に誘おうとすることは、心身が疲れている人にとっては負担になってしまうことがあるのでやめましょう。
ストレスを発散する
ストレス発散の基本は、自分にとって心地良いことをすることです。
代表的なストレス発散方法としては(Sport運動, Travel旅行, Rest休息, Eating食べる, Speaking談話,Sleeping睡眠)が有名です。
職員に対するストレス・マネジメント
管理者等にとっては、職員に対するマネジメントも重要です。以下に、職員に対するストレス・マネジメントのうち重要なものを2つ紹介します。
作業管理をする(仕事の与え方/労働時間/休み取得/など)
職員は、一人ひとり違ったパーソナリティを持っています。また仕事に関しての強み・弱みは異なり、ストレスの感じ方や抵抗力も各々異なります。
職員一人ひとりをきちんと把握したうえでのマネジメントが必要です。
職員(部下)に対する相談対応
管理者(管理監督者)は日常的に、職員からの相談に対応するよう努めましょう。
毎日の業務の中で、部下の作業行動、出欠勤状況、態度などにメンタルな状況が投影されます。
管理者が、職員への気配りを行うことで、職員のメンタルな状況に「何かあるのでは?」と気付くことができます。職員の変化に気がついたときは、「どうしたの?」とか「元気がないようだけど?」と声かけをし、声かけに対する何らかの応答をじっくりと聴きましょう。話を聴き、適切な情報を提供し、医師などへ相談することや受診を促しましょう。
職員の変化に気付くポイント
管理者等は、気配り→気付き→声かけ→応答の受け止め→じっくりと話を聴くことが必要です。
職員の変化に気付くポイントは、「集団からのズレ」と「その人の常態からのズレ」です。
日常の気配りから気付く変化は、次のページのようなものがあります。
日常の気配りから気付く変化
- 勤怠
遅刻、早退、欠勤が増える/休みの連絡がない
- 業務
事故やミスが多くなる/業務の効率低下/残業・休日出勤が増える/対人トラブルや顧客トラブル
- 生活
元気がない、顔色が悪い、笑顔がなくなる/挨拶がなくなる/報告や相談、少なくなる
服装が乱れる、化粧や髪の毛に無頓着になる/飲酒の頻度や量が増える
【うつ病】
うつ病は心の風邪と呼ばれていて、誰でもかかる可能性のある、ありふれた病気で、ほとんどの場合、脳の神経伝達に障害が起きて発症します。要因としてはストレスや過労、性格などの要因が関与しており、遺伝病ではありません。うつ病の生涯有病率は10~15%で20代の後半でピークを迎えます。また、統計的に女性が男性の2倍かかりやすいことが分かっています。
症状
ゆううつ、不安感、焦燥感、頭がさえない、ボーッとする、考えがまとまらない、何をするのも“おっくう”になる、睡眠障害(熟眠障害・早朝覚醒) など
治療
うつ病は焦らずにゆっくりと休養をとり、完全に回復したと主治医が判断するまでは服薬を続けることが大切です。うつ病は、必ず治る病気で、仕事復帰の際も段階的に勤務時間を長くしていくことが大切となります。
対応
まず病気の症状や本人の辛さを理解し、受容的な対応を心がけるとともに、心身ともに十分な休養を保証することが必要です。次に、「がんばれ」などといった叱咤激励をせず、逆に「休んでいても大丈夫だよ」という安心感を与えることが大切です。
また無理に気晴らしに誘わず、まずは休養を十分にとり自分から動き出せる時期を待つことが大切です。
【燃えつき症候群】
人一倍活発に働いていた人が、なんらかのきっかけで、無気力・抑うつ・落ち着きのなさといった抑うつ状態に陥るのが「燃え尽き症候群」です。認知症の方やがん末期の患者などと接する時間の長い介護職や看護師が、自己の無力感に苛まれる減少として注目されています。その他にも現実の壁をまだ経験していない情熱的な初心者や、過剰な自意識を持ち、脅迫的なまでに期待にこたえようとする献身的な人ほど発症しやすいといわれています。
専門家への相談について
気になるときには、専門家に相談することも大切である。
精神科・神経科精神神経科 | 「心の病」を専門とする科である。うつ病や神経症、統合失調症などの精神障害を扱う。診療内容は全て同じである。 |
神経内科 | 心の問題ではなく、神経疾患の難病をはじめ、脳や脊髄、神経の障害を内科的に治療する診療科である。脳卒中、てんかん、認知症など |
心療内科 | 心の問題で起こる体の病気(心身症)を治療している内科である。うつ病や神経症などのストレス病を治療の対象としている。 |
カウンセラー | 心の問題や生活上の悩みについてサポートする。 |
分からないときや抵抗感がある場合には、まず内科や心療内科を受診したり、相談してみたりするとよい。
もしお仕事でストレスがたまったら?
ストレスと虐待の関係
ストレスコントロールの1つである『コーピング』について学びましょう。コーピング=ストレスを解消するための対処とは?一般的には以下のようなものがあります。
積極的な問題解決
問題の原因を明らかにして積極的に解決しようとするコーピング。
例)問題について情報を集め、解決方法を考えて実行する。
放棄・あきらめ
問題が起きた事はしょうがないこととあきらめるコーピング。
例)「この問題は自分のせいで起きたわけではないのでしようがない。」と納得する。
回避・休養
問題そのものから、一時的に距離をとるコーピング。
例)旅行に出かけてリフレッシュする。
相談
他者からの援助を求めるコーピング。
例)同僚に相談したり、愚痴を聞いてもらう。
見方を変える
問題を別の視点からみるようにするコーピング。
例)「今は大変だが自分にとって良い経験になる」とプラスに考える。
まとめ
虐待とストレスには因果関係があると言われています。
多くの人がなんらかのストレスを感じている場面があります。ストレスを上手く解消する方法について、日頃の申し送りや研修等で互いに学んでいきましょう。