「外国人介護人材」受け入れの課題と注意点

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「外国人介護人材」受け入れの課題と注意点

人手不足の解消を目的に外国人介護人材の受け入れを積極的に行っている介護施設は、増加傾向にあります。一方で外国人介護人材に対して様々な不安があり、採用まで至っていないという方もいるのではないでしょうか?

外国人人材の採用には日本人の採用とは異なる課題が存在します。

それらを事前に把握し、対策を講じることで、外国人介護人材受け入れの効果を最大化させることが可能です。

本記事では、外国人介護人材の受け入れに関する課題と注意点、その解決方法をお伝えします。


【外国人介護士のインタビュー動画を無料公開中!】
スタッフプラスなら送り出し機関と提携しているので、優秀&即戦力の特定技能外国人の採用が可能です。
⇒公式サイトにアクセスして特定技能外国人の資料を無料でダウンロード

外国人介護人材受け入れの現状

外国人介護人材受け入れの現状

日本での介護業務に従事できる在留資格は、EPA介護福祉士候補者・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4種類です。それぞれの在留資格には、取得の要件が定められていますが、いずれの在留資格においても、受け入れ人数は増加傾向にあります。

在留資格「介護」は、介護福祉士養成校を卒業した留学生等介護福祉士の有資資格者のための在留資格であり、その数は徐々に増加しています。すでに介護福祉士を取得しており、知識と技術、日本語能力を一定水準保障されている在留資格であるため、即戦力としても期待できるでしょう。しかしながら、在留資格「介護」を持つ外国人の数は少なく、令和2年3月時点で 3900 人となっています。

技能実習は人材育成による、発展途上国への技術移転を目的とした在留資格です。受け入れるにあたって、様々な要件が細かく定められています。

特定技能は、労働力確保のための在留資格であり、介護分野では2024年3月までに6万人の受け入れを目指している在留資格です。

厚生労働省は2019年に「福祉・介護人材確保対策について」の中で、人材不足を解消するための取り組みとして「外国人材の受け入れ」を挙げており、このことからも、国として外国人介護人材の受け入れを推進していることがわかります。

EPA介護福祉士候補者はEPA(経済連携協定)に基づき、介護施設で就労と研修を行いながら介護福祉士の取得を目指す外国人のことを指します。平成20年度から日本の介護施設での受け入れが始まり、令和元年までに雇用された人数は、5,063人です。フィリピン・インドネシア・ベトナムの方の受け入れが可能であり、グループホームや老健、特養など様々な形態の施設で受け入れることができます。

外国人介護人材受け入れの課題

外国人介護人材受け入れの課題

外国人介護人材受け入れの課題として挙げる項目は、すでに受け入れを行っている事業所とそうでない事業所で違いがあります。その点にも留意して以下に受け入れに際しての課題をまとめました。

外国人介護人材の受け入れに当たっての課題
出典:令和3年度外国人介護人材支援に係る法人アンケート分析結果

すでに外国人介護人材を受け入れている事業者の課題

受け入れ費用について

介護事業所のみで受け入れを行うことは非常に難しく、採用のサポートを行う団体へ委託費用や紹介費用を払うことが一般的です。

委託費用は月額で支払う場合も多く、事前の見積りなどから支払い期間や金額を確認した上で、採用することが重要です。負担額が安価であればあるほど良いというわけではなく、しっかりと金額と支援内容を把握することが、外国人の育成や来日後の環境の整備につながります。

外国人介護人材の受け入れを検討している事業者の課題

受け入れ制度や手続きが分からない

在留資格によって、受け入れ要件は異なり、それらを全て正しく把握するのは非常に困難です。加えて、必要書類の準備や介護業務以外のサポートも行う必要があるため、監理団体や登録支援機関のサポートを受けることで、この課題は解決できます。

費用はかかりますが、制度のことを正しく理解し、手続きに関して支援してもらえるため、非常にスムーズに外国人介護人材の受け入れが行えるでしょう。

ガイドブックで疑問を解決しよう
外国人介護士を採用する場合の4つのファイルを添付 在留資格の違いを確認いただけます。実際のメリットや困りごとなどもまとめていますので、具体的な採用イメージを知りたい方におすすめです。

どちらの事業所にも共通する課題

日本語での読み書きやコミュニケーション

外国人を採用するにあたって、日本語での読み書きやコミュニケーションに不安を感じている事業所は多くあります。

日常会話でコミュニケーションをとったり、介護記録にふりがなをふったり、内容を理解する際にサポートを行うなど、適宜フォローができる体制を整えることが大切です。

外国人介護士のコミュニケーションについては「外国人介護士との円滑なコミュニケーション方法と指導する際のポイントを解説」も参考にしてください。

受け入れ体制の整備

スタッフ同士のコミュニケーションに課題を感じている場合は、言葉だけでなく、外国人特有の文化や宗教など介護以外の様々な面において、理解を深める研修を行うなどして、受け入れ体制を整えてくことで解消できる可能性が高いでしょう。

教育体制の整備

外国人介護人材を受け入れる場合、既存職員の外国人受け入れに対する理解やOJTの準備などを事前に行っておく必要があります。

人手不足のために、十分に仕事を教える時間が確保できないということが無いよう、勤務体制を整えたり、外国人でも理解しやすい教え方を職員同士で共有し、教え方のばらつきを無くすなどの工夫が大切です。

生活習慣の違い

外国人介護人材は、いくつかの国から来日しますが、それぞれ文化や風習、宗教は異なります。日本で生活していくにあたって、最低限守ってほしいルールはしっかりと伝えつつも、これまでの文化や風習を尊重し、なるべく生活しやすい環境を整えるように努めましょう。

外国人介護人材受け入れの際の6つの注意点

外国人介護人材受け入れの際の6つの注意点

外国人介護人材を受け入れる際の注意点について、解決法と併せて記載しています。

在留資格や学習期間の違いによって日本語能力が異なる

在留資格や学習期間によって、就労開始時点の日本語能力は異なります。高度な専門用語などは理解が難しいため、分かる言葉で伝える工夫やジェスチャーを多く交えて会話をするといった工夫が必要です。

ビザによっては受け入れNGの施設形態もある

介護業務に従事できる在留資格は4つありますが、訪問介護は在留資格「介護」のみ可能です。

EPA介護福祉士候補者・技能実習・特定技能の在留資格では、訪問介護には従事できないため、注意が必要です。

適宜、監理団体や登録支援機関に確認しながら、どの在留資格で外国人介護人材を採用するか決定しましょう。

日本の職場の基本的なルールも教える必要がある

時間に遅れないように行動することや、出退勤時などにしっかりと挨拶を交わすことなど、気持ちよく一緒に仕事をするために必要なルールは、しっかりと伝えましょう。

良好な関係を築いていくためにも、日本での当たり前を、相手も分かってくれいているだろうという思い込みは厳禁です。1つ1つ丁寧に伝えることが大切です。

日本人職員側にも外国人人材受け入れへの理解が必要

受け入れが決定したら、その経緯や目的を現場の日本人職員とも共有しましょう。共有ができないまま受け入れてしまうと良好な関係を築いていきづらくなる可能性があります。受け入れる外国人の母国での生活や習慣を理解して、受け入れる体制を整えていくことが必要です。

介護業務やマニュアルの見直しが必要

介護職はシフト制かつ臨機応変が求められる仕事なので、教える人も教わる場面も毎回同じとは限りません。指導の仕方が人によって違うと、教わる側は混乱してしまうため、注意が必要です。こまめに職員ごとの対応のズレを修正しましょう。

また、マニュアル類はふりがなをふるなど、施設側でできる工夫をしたり、登録機関のスタッフに通訳をお願いしたり、伝えたいことが正しく伝わるような工夫をする意識も大切です。

外国人への業務指導は言葉だけでなく、行動を確認

特に来日したばかりの頃に注意すべきポイントとして「業務指導の際に言葉だけでなく行動をしっかり確認する」というのが挙げられます。

日本語が不自由な状態では、自分の状況を上手く説明することが難しいため、理解度の確認の際は、言葉と併せて本人の行動をよく観察することが必要です。

外国人介護人材の受け入れを進めていくために

外国人介護人材の受け入れを進めていくために

外国人を受け入れるには、自分たちの働き方を見直す機会も必要です。

日本語能力の問題や日本の文化・職場の雰囲気に慣れてもらうなど、外国人労働者に一層の努力を求めることばかりではなく、受け入れる側も体制を整備できているか、しっかりと確認しながら進めましょう。

受け入れる外国人の生活や文化の理解といったことについての社員教育や十分な指導の時間を確保するシフトの工夫などが必要です

外国人介護人材の募集方法

外国人介護人材の募集方法

最後に外国人介護人材の募集・獲得方法についてお伝えします。

介護福祉士養成校との連携

在留資格「介護」での外国人介護人材採用を目指す1つの方法として、介護福祉士養成校との連携が挙げられます。

在留資格「介護」での雇用に関するサポートやマッチングを行う機関は、現状では存在しないため、事業所が介護福祉士養成校に働きかけを行い、採用に繋げる必要があります。

採用のハードルは高いですが、実際に採用に繋がれば、即戦力として介護現場の人手不足を解消してくれる存在になることは間違いないでしょう。

監理団体や登録支援機関を活用する

外国人介護人材の採用に関する対応を代行してもらえます。外国人人材を探したり、実際に会う機会を設けたり、必要書類の作成を行ったり諸々の手はずを整え、実際に就労するまでのサポートが受けられます。

介護事業所が監理団体や登録支援機関を使わずに外国人介護人材を採用するのは、非常に難しいため、多くの事業所が活用しているのが実情です。

大学・語学学校などへ求人を掲載する

介護福祉士養成校以外の大学や専門学校へのアルバイト求人の掲載も有効です。留学生の中には、学校を通じて仕事を探したり、問い合わせを行ったりしている方もいるため、求人の存在を外国人人材にアピールできる場になります。

介護を専攻している学生でなくても、アルバイトでの雇用は可能です。アルバイトをきっかけに就職に繋げるチャンスにもなり得ます。

外国人介護士の採用については「介護職の外国人を採用する方法とは?制度の基本と注意点」もご参考にしてください。

外国人介護人材の採用課題を正しく把握し、対策を。

外国人介護人材の採用課題を正しく把握し、対策を。

本記事では、外国人介護人材の現状をはじめとして、外国人介護人材を採用するにあたっての課題や注意点をお伝えしました。

外国人介護人材を採用する介護施設は、年々増加傾向にあるものの、課題は多くあります。しかしながら、その課題をしっかりと把握し、対策を講じることで、より長期の雇用に繋げる工夫をすることも可能です。

すでに外国人介護人材を受け入れている施設を参考にしたり、自社で話し合いを行ったりして課題を正しく理解し、各々の施設で可能な対策を考え、実践していきましょう。

即戦力の外国人介護士なら「スタッフプラス」

医療・介護業界向けの職業紹介事業を10年以上展開するスタッフプラスのノウハウを活用して、介護施設で働きたい海外の特定技能人材のご紹介から受け入れ、教育と定着をきめ細やかにサポートします。
外国人介護士の採用を検討している方、人材不足にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。