介護現場で活かす!医療行為か判断に迷う行為

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介護現場で活かす!医療行為か判断に迷う行為

心身状況が中重度の利用者のご対応もさせていただくなかで、医療行為について迷われるケースも多いかと思います。また様々な利用者のご入居やご利用受け入れをされる際に、安易にご対応の受け入れをされると、法令遵守違反だけでなく、事故やトラブルの基になります。

今回は「医療行為か判断に迷う行為の法人の基本方針」の事例のご紹介をさせていただきますので、皆様の運営方針の見直しなどに、ご活用していただければ幸いです。

医療行為とは

医療行為とは、何でしょうか?厚生労働省によると下記のように定められています。

医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ、人体に被害を及ぼしまたは危害を及ぼすおそれのある行為

「医行為」について|厚生労働省

つまり、医療行為とは「免許をもった医師のみが行うことのできる診断・治療など」を指します。医師法などの法規によって、医師などの免許を持たない者が医療行為を行うことは禁止されています。つまり介護職は医療行為をすることができません。

しかし介護現場においては、医療行為か否か判断に迷う行為が生じやすいため、平成17年7月に厚生労働省より、医療行為の解釈に関する下記の通知が出されています。

医療機関以外の高齢者介護や障がい者介護の現場などにおいて、判断に疑義が生じることが多い行為にあたって原則として医療行為ではないと考えられるものを別紙の通り列挙したので、医師、看護師の医療に関する免許を有しない者が行なうことが適切か否かする際の参考とされたい。

医師法第17条歯科医師法第17条及び保健師・助産師・看護師法第31条の解釈について(通知)

この通知の別紙の内容をもとに、医療行為ではないと判断された行為に対する法人としての「基本方針」と、実施する際のルールを以下にまとめました。

厚生労働省の通知に対する法人の基本方針例

平成17年7月の厚生労働省の通知により、医療行為ではないと判断された行為に対する、法人の基本方針例は下記の1~3です。

法人の基本方針例

  1. 利用者またはご家族からの依頼により実施するべきもので、法人としては積極的に実施する行為ではない
  2. あくまでケアプランに位置付けられ、サービス担当者会議において協議された上で行なわれる
  3. 緊急時を除き、利用者のお宅で介護職員の判断のみで実施されるものではない

※1~3に加え、医師の指示書や法人本部の決裁が必要な行為もあります。

基本方針1の解釈  

「法人で積極的に実施する行為ではない」というのは、「できるだけしない」という意味ではありません。

利用者の状態を観察し、必要だと気付いたことがあれば、決められた手順を踏んだ上で実施しましょう。

例:医師から湿布が処方されているが、ご自分で腰に貼ることが難しく、利用者が困っていらっしゃる場合。介護職員が湿布貼付を行うには医師の指示書と法人本部決裁が必要なので、まず管理者に報告の上で法人決裁の手続きをし、医師には指示書を作成していただきます。

その後、基本方針2にあるように、ケアマネジャーに報告してケアプランに湿布貼付を入れていただき、担当者会議の承認を経て、実施します。

基本方針3の解釈  

「緊急時」とは、その行為をしなくても命の危険はないが、対応に急を要する状態のことです。

例:ストーマのパウチが排泄物でいっぱいで、このまま退室してしまうとご家族の帰宅前に確実に漏れ出してしまうような場合は、管理者に相談して排泄物の処理を行うことがあります。

継続性があるものならば、ケアプランに入れることをケアマネジャーに提案しましょう。

※なお、この「緊急時」とは、命の危険がある「救急救命時」のことではありません(なお、心肺蘇生法など、救急救命時の応急手当については、消防署などで講習を受けることができます)。

医療行為ではないと厚生労働省によって判断された行為であっても、各自がその場の判断で自由に行ってよいということではありません。

基本方針を満たしていれば介護職員が実施できる行為

厚生労働省からの通知の別紙にて、医療行為ではないと判断された行為のなかで、法人本部決裁などの必要がない行為は以下の通りです。

 実施できる行為備考
1体温計測水銀体温計・電子体温計で腋下にて、 または耳式電子体温計で外耳道にて計測
2自動血圧測定器での血圧測定 
3パルスオキシメーターの装着 (動脈血酸素飽和度を測定するため)新生児、入院の必要があるものを除く
4爪切り、爪のヤスリがけ爪または爪周囲の皮膚に異常がある場合や、 専門的な管理が必要な場合を除く
5日常的な口腔清掃重度の歯周病などがある場合を除く
6耳垢の除去耳垢塞栓の除去は不可
7自己導尿を補助するための、体位の保持カテーテルの準備は不可

これらの行為に法人本部決裁などは要りませんが、「管理者・ケアマネジャーへの報告・連絡・相談」と、基本方針にある「ケアプラン記載・サービス担当者会議の承認」は必要です。

安心・安全のケアは、法人の基本方針とその理解、そして常日頃から報告・連絡・相談ができるコミュニケーションです。

介護職員などの自己判断が、利用者の最悪命を脅かすことになりますので、研修などにおいても周知、徹底してください。

以下の記事では禁止行為についても解説しています。

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