「個人情報保護」は平成17年4月の個人情報保護法の施行を受けて始まりました。これにより介護施設、事業所の利用者の個人情報を扱う介護福祉分野においても、個人情報保護の重要性が求められるようになりました。
正社員、非常勤などの雇用形態を問わず、全職員に守秘義務があります。
退職後を含め、故意・過失を問わず、会社の機密や個人情報、会社の不利益となる事項などの漏洩、施設、事業所の名誉・信用を傷つけることは就業規則などにより記載し、禁止されていることは法令遵守研修でも周知されていると思いますが、安易にSNS(Twitter、Instagram、YouTube、TikTok、LINE、Facebookなど)に投稿し、情報漏洩に至るケースが度々発生しています。
今回は「個人情報保護と施設・事業所の機密、SNS」についてご紹介しますので、皆さんの施設・事業所の業務改善のご参考にしていただければ幸いです。
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目次
個人情報とはどんなもの?
個人情報の定義
個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などによって特定の個人を識別できるものおよび当該情報だけでは識別できないが、他の情報と容易に照合することができ、それによって特定の個人を識別できるものを指します。
特定の個人を識別できる要素(個人情報要素)
【個人情報要素の区分】
基本的事項 | 経歴・成績 | 経済的属性 | 身体的特性 | 生活事項 |
---|---|---|---|---|
氏名 | 学歴 | 収入・所得 | 体格・体力 | 家族状況 |
性別 | 職業・職歴 | 資産状況 | 運動能力 | 親族・続柄 |
生年月日 | 社会的地位 | 取引状況 | 健康状態 | 婚姻 |
住所 | 資格 | 口座番号 | 傷病歴 | 居住状況 |
電話番号 | 成績・評価 | 障害状況 | 意見・要望 | |
Eメールアドレス | 賞罰 | 画像・肖像 | 趣味・嗜好 | |
印影 | 音声・声紋 | |||
会社名 | 指紋 | |||
血液型 |
個人情報は、通常、これら要素の幾つかで構成されています。特に、氏名は特定の個人を識別する上でもっとも有力な要素です。
一般的な個人情報具体例
氏名、生年月日、住所、連絡先、身体的特性、学歴、社会的地位などの個人情報要素のいくつかを含むものです。介護現場で考えられるものは以下です。
- 施設・事業所利用者リスト・介護保険関係書類・施設・事業所職員の名簿など
- 利用相談受付情報・利用者に関する緊急連絡簿・名刺綴り情報
- 利用者アセスメント情報・薬の処方箋・利用契約における各種同意書
- 介護日誌・利用者の医療情報など
その他の個人情報具体例:(個人に付与された番号、符号など)
当該情報だけでは特定の個人を識別できないが、他の情報と容易に照合でき、それによって特定の個人を識別できるものを指します。介護現場で考えられるものは以下です。
- 施設・事業所利用者番号・健康保険証番号・年金手帳番号・銀行口座番号
- Eメールアドレス・住民基本台帳登録番号・携帯電話番号など
個人情報はだれのものか?
個人情報は、その情報主体である本人が保有している自己固有の大切な情報です。
施設・事業所は、特定の施設・事業所運営目的のために必要な限度内において、個人情報を個人本人から同意を得て取得することになります。
したがって、個人情報は、個人本人のものであって、施設・事業所は、それを本人から「お預かりし、利用させていただいている」のです。このことからしても、情報主体である本人からプライバシー情報について開示を求められる、訂正または削除などを申し込まれた場合、それに応じる義務があるのです。
個人情報保護の義務
施設・事業所が本人の所有する大切な個人情報を「お預かりし、利用させていただいている」以上、「個人のプライバシーを守ることはもとより、個人情報を適切に保護することは、施設・事業所の当然の社会的責務」です。
施設・事業所が個人情報を大切に取扱い、適切に保護していることを実践し、それを施設・事業所外に実証してゆくことにより、施設・事業所は必然的に社会的信頼を勝ち得ることができ、大きなビジネスチャンスにもつながります。
平成15年5月に成立した「個人情報保護法」により、個人情報の適正な取扱いと個人の権利利益の保護が義務付けられました。この法律は、個人情報保護の取り扱いの最低基準が規定されており、平成17年4月より全面施行され、令和4年4月の個人情報保護法改正により、違反した場合、罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)が課せられることになりました。
そのほか、以下の記事で介護事業所で守るべき主な法令をまとめました。あわせてご確認ください。
SNSに注意
情報漏洩・拡散し、施設・事業所に損害を与える場合もあります。施設や事業所で知りえた情報の取り扱いには、十分に注意するようしましょう。
個人のSNSに利用者の個人情報は絶対に掲載しない
注意してSNSを利用していても、写真の背景や文章などから利用者の利用施設や個人情報が簡単に割り出されることもあります。利用者に関する情報には守秘義務がありますので、雇用形態、在籍・退職後を問わずSNSに投稿しない、また、個人携帯などの媒体で利用者の写真・動画も撮影しないようにしましょう。また施設や事業所のお便りなどに使用する場合は、施設や事業所のiPadなどを使用し、個人の携帯などは使用しないようにしましょう。
施設・事業所の機密情報、不利益となる事項の掲載も禁止
施設や事業所の機密情報はもちろん、迷惑動画など、不利益となる事項もSNSに掲載しないようにしましょう。これらも雇用形態、在籍・退職後問わず掲載禁止です。
全職員が同じ意識を持とう
就業規則にて「故意・過失を問わず施設や事業所に損害を与えた場合は損害を賠償させることがある」と記載されていますが、人材不足のなかで派遣職員も雇用する場合もあるかと思います。派遣職員が個人の携帯などを使い、仕事中の様子を撮影して、SNSなどで投稿するケースのご相談もいただいていますので、施設・事業所にかかわるすべての職員に個人情報の取扱いなどの周知徹底をされてください。