採用活動において非常に重要なのは、「どのように求職者と出会うか?」ということだと思います。その出会い方の一つとして、求人情報サイトに情報を掲載するといった手法があります。おそらく多くの介護事業者で、何らかの求人情報サイトを活用されているのではないでしょうか。
しかし、中には「様々な求人情報サイトを使っているけれど、応募がない…」とお悩みの事業者もあるかもしれません。求人情報サイトは採用活動に便利なツールであるからこそ、適切なものを選び有効に活用することが重要です。
求人情報サイトの選び方・使い方・活かし方のポイントを紹介します。
目次
求人情報サイトの特徴を理解し、使い分ける
一口に「求人情報サイト」と言っても、様々な種類のサイトが存在しています。求人情報サイトの活用でよく起きてしまう失敗例は、意図もなく闇雲に求人情報を掲載してしまうことで、そのサイトのユーザーに響かない形になってしまい、応募につながらないことです。
どのような人材を採用したいかを明確にした上で、求人情報サイトを適切に選ぶことが重要です。主な求人情報サイトの特徴を整理してご紹介し、活用のポイントを解説します。
1.介護・福祉専門サイト
介護・福祉関連の職種の求人のみを集めたサイトです。主なユーザーが介護・福祉の仕事を探している求職者なので、応募・採用につながりやすいと言えますが、一般向け求人情報サイトと比較すると、ユーザー数が少なかったり、同業他社の情報が多く掲載されているため差別化がしにくいといった側面もあります。
[box04 title=”活かし方”]経験者が知りたい情報をしっかり載せ、近隣の同業他社との差別化を図る[/box04]
Googleなどの検索サイトで「介護×地域名×求人」などといったキーワードで検索した場合、介護・福祉専門サイトは上位で表示されることが多く、発見がされやすいという特徴があります。
このサイトを閲覧しているユーザーは、介護の仕事の経験や資格を有している人が多く、一定の業務内容を理解していることが想定されます。そのため、細かな仕事内容の説明よりも、条件面や職場の雰囲気など、「現職(前職)や近隣の事業所と比較して、よい条件・環境か?」といったことをシビアにチェックしています。
給与・福利厚生などの条件面を分かりやすく伝えたり、職場の雰囲気が伝わる写真を用意するなど、求職者が気になる比較ポイントをしっかりとアピールしましょう。
また、比較候補になっている可能性が高い近隣の同業他社がどのような情報を掲載しているかチェックし、競合にはない自社のアピールポイントを強めることも意識できるとよいでしょう。
2.一般向けサイト
業種・業界にこだわらず、幅広い企業の求人情報が掲載されているサイトです。(マイナビ転職・エン転職など。)これらのサイトは、幅広く仕事を探している求職者が閲覧しているため、ユーザー数が多いという特徴がありますが、介護・福祉に最初から関心を持っている人は少なく、関心を持ってもらい、応募をしてもらうためには工夫が必要です。
[box04 title=”活かし方”]未経験者の「誤解」を解消し、検討したくなるような情報を届ける[/box04]
一般向けサイトのユーザーの多くは、当初から介護・福祉の仕事を探している訳ではなく、同エリアの飲食店や小売店、事務職など、様々な業種・職種を並行してチェックしながら、仕事を探しています。また、介護・福祉の仕事については、「給料が安いのでは?」「大変な仕事なのでは?」「労働条件が悪いのでは?」など、実態以上にネガティブなイメージを持っていることが多くあります。そのため、単に求人を出すだけでは、他業種との競争で負けてしまい、応募がなかなか集まらないケースも多くあります。
そのため、介護・福祉の職場や仕事内容、働き方などの情報を正しく届けることで「イメージしていたよりも、働きやすい・働きがいのある職場かもしれない」と感じてもらうことが重要です。
介護職未経験者が多いからこそ、一日の仕事の流れ、入職後のフォローアップ体制や、キャリアモデルなど、働くイメージが持てる情報を多く掲載していくことが重要です。
掲載するサイトで近隣エリアにおいてどのような求人が掲載され、どのようなPRがなされているかをチェックし、参考にすることもおすすめです。気づかぬうちに未経験者に分かりづらい専門用語を使っている場合もあるので、注意しましょう。
また、いきなりの応募はハードルが高いと感じる方も多いので、職場見学など、応募前に職場・仕事に触れられる機会をつくり、その旨もアピールすることも効果的であると言えます。
3.ターゲット別サイト
2.でご紹介した「一般求人サイト」の中には、「女性」や「20代の若手」「〇〇県で就職希望の人」など、ターゲットを絞って、差別化をしているターゲット別求人サイトがあります。(女の転職type、Re:就活など。)これらのサイトはユーザー層が絞られている分、利用者の数は減りますが、採用したいターゲットに合わせて、効果的にPRすることができるため、明確に採用したい層が絞られている場合は有効です。
[box04 title=”活かし方”]徹底的にターゲットに絞って情報をPRする[/box04]
利用しているユーザー層が絞られているため、「その層が知りたい情報は何か?」ということを考え、PRに活かしていくことが重要です。
例えば女性向けサイトであれば、女性の活躍している情報・写真を掲載する、育児や家庭との両立がしやすい環境をアピールするなど、ターゲット層に響く情報に特化して、掲載情報も絞っていくことで、より効果的にサイトユーザーにアピールすることが可能です。
時間に余裕がないと、つい他の求人情報サイトに載っている情報をそのまま転載したくなってしまいますが、それではターゲット別サイトの特性を活かせません。しっかりターゲットを意識し、情報の伝え方を工夫しましょう。
4.求人検索サイト
厳密には求人情報サイトとは言えませんが、インターネット上の様々な求人サイトの情報を集め、検索・閲覧できるタイプのサイトも増えてきています。(Indeedなど)
これらのサイトは、「地域名×求人」などのワードで検索した場合、上位で表示されて、求職者に発見されやすいという特徴があり、ぜひとも有効活用したいツールです。
求人検索サイトそのものに求人登録も可能ですが、自社の採用サイトの情報を掲載したり、自社の採用ページへのリンクを貼るなど、多様な使い方ができます。これらのサイトはGoogleなどの検索サイトでも上位に表示されることが多く、閲覧しているユーザーが非常に多いのが特徴です。一方で、無料掲載も可能なため、求人量も膨大になり、なかなか発見されづらいという弱点もあります。
[box04 title=”活かし方”]単なる無料掲載だけでは選ばれにくい。広告活用や自社サイト連携を[/box04]
求人数が非常に多いツールのため、無料で掲載できるテキスト情報だけでは、なかなか求職者の目に留まりづらいのが難点です。そのため、より多くの人に見てもらえるよう有料広告を打つのも一つの手ですが、やはり限られた検索サイトのフォーマットでは、なかなか魅力が伝わりづらく、応募まで至らない場合があります。有料広告でクリックしてもらった後は、自社サイトへ誘導し、より多くの魅力的な情報を見てもらうなど、検索サイトの文字情報だけで完結させず、自社サイトなど他のメディアと連携して、PRを強めるなどの工夫が必要です。
課金方法を知り、用途・目的に合わせて、賢く使う
いくつかの形態の求人サイトを紹介しましたが、サイトによって使用する際の課金形態も異なるため、目的・用途に合わせて、自社に合ったタイプのサイトを検討することも必要です。
- 広告掲載型:掲載期間に合わせて、定額の広告費がかかるタイプのサイトです。
より多くの応募採用につなげることができれば、採用単価を下げることができますが、応募が全くない場合も費用が発生します。 - 応募課金型:掲載は無料で可能ですが、応募があった場合に課金されるタイプのサイトです。
応募者を上手く採用につなげることが出来れば、採用コストを下げることが出来ます。 - クリック型:求人情報がクリックする際に課金されるタイプのサイトです。
「応募課金型」より安価に利用が出来ますが、応募に至らない場合も費用が発生します。 - 成果報酬型:無料で利用ができ、採用ができた際に費用が発生します。
不要なコストはかかりませんが、他のタイプと比較して手間が多い場合があります。
何となくの掲載ではなく、意図・ねらいを持って運用する
冒頭にも述べましたが、求人情報サイトを活かせないとお感じの場合、目的が曖昧なまま、何となく情報掲載をしてしまっている可能性があります。
まずは「どのような人材を採用したいか」ということを明確にし、ターゲット人材を採用するにあたって、適切なサイトを活用できているかを検証してみましょう。
その上で、「ターゲット人材が知りたい情報は何か」という求職者目線に立ち、「知りたい情報」を意識して届ける工夫が重要です。その二点を意識することで、採用したい人材と求人情報サイトで出会える可能性は大きく上がっていくはずです。