まず、外国人だからといって、トラブルが多いといったことはありません。多くの外国人はルールを守り、職場にも馴染む努力をされていて、トラブルとは無関係の方が多いです。
他方で、国籍とは関係なくトラブルの当事者となる場合もあります。以下では、これまで1例ではなく発生した外国人雇用に関するトラブル事例と、それに対する対応策を見ていきたいと思います。
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副業と不法就労となってしまうアルバイト
「技能実習」や「特定技能」の在留資格については、それぞれ、技能実習計画で定められた範囲か、指定を受けた使用者でしか働くことができない在留資格です。
他方で、近年、比較的多くの企業が、副業を認めるようになっています。
副業の運用については、原則可能とする例から原則不可として許可制にする例等ありますが、何らかの形で副業を認めている例があります。
外国人にも当然就業規則は等しく適用されますので、副業を許可している場合には、外国人も副業ができることになりますが、あくまで在留資格の範囲で行うことが必要です。しかし、「技能実習」や「特定技能」の在留資格で、副業を行うための「資格外活動の許可」がおりることは原則としてなく、実際は副業を適法に行おうとすると困難を伴います。
そういった場合に副業をしようとすると、友人やSNSのつてを辿って、正規ではないアルバイトに辿り着いてしまう例があります。
例えばですが、金融機関で口座を開設して転売する、他人の名義で携帯電話を契約する等です。
こういった法に触れてしまうアルバイトを行うと、やはり刑事事件になってしまいます。
こういったアルバイトがあることを私が知るのは、使用者である企業から「●●さんが逮捕されてしまった」という連絡を受けてからとなります。
逮捕されてしまいますと、約20日間、起訴された場合、それ以上の期間、警察署や拘置所に留置されることになり、出勤することができなくなります。また、詐欺事件ですと、接見禁止といって面会できる人が制限されてしまい、連絡を取るのが難しくなります。
このような事態が発生した場合、会社としては雇用関係をどうするか、という点を対応策として検討することになります。接見ができる場合は、警察署等にいる外国人に面会し、今後の意思を確認することになります。また、接見ができない場合には、国選弁護人等、本人に会うことができる人を通じて、やはり、雇用継続の意思を確認することになります。
しかし、連絡を取ろうと試みて、様々に手段を尽くしても連絡がつかない場合には、就業規則の音信不通条項や、無断欠勤の条項に基づいて退職の対応をする必要が出てきます。
その際に、特定技能外国人を雇用している職場や将来特定技能外国人を雇用する予定の職場では「非自発的離職者」(特定技能基準省令2条1項2号)に該当しないことについても気をつける必要があります。
職場内でのトラブル
上記のような逮捕事例は、副業に限られた話しではありません。
外国で働くというのは、どの国籍の人であっても心理的に負荷がかかるのだと思います。
そういった背景から、職場内で、同じ国出身の人間で暴力を振るってしまう例が散見されます。場所は就業場所であったり、寮であったりします。
このような場合、暴力の程度が強いと、やはり、警察に逮捕・勾留されるという例が出てきます。
警察での対応は上記のとおり、雇用関係をどうするか、という観点を含めて本人の意向を確認し、また、就業規則に照らして対応することになります。
また、当事者間の賠償関係が発生する場合もあります。
このような場合の対応は難しく、本人間に任せると再度の紛争を生じさせる場合もありますし、他方で、仲裁をしようとするとどちらかの肩を持ったのではないかという疑念を生じさせます。
できれば、紛争にいたってしまった場合は、顧問の弁護士に依頼する等して、紛争を仲裁してもらうのが良いように思います。
乗り物に関するトラブル
その他に、私生活でのトラブルではありますが、自動車や電動スクーターのような乗り物に関するトラブルがあります。
昨今、海外のECサイトを使うと、日本では免許がないと乗ることができない出力の電動スクーターが個人でも比較的安く買えてしまうようです。
そして、外国人が日本ではそういった電動スクーターが、免許がなければ乗ることができないことを知らないまま乗ってしまい、無免許での摘発や、事故を起こしてしまうことがあります。
また、自動車についても、日本では中古車が比較的安いこともあり、中古車を購入する方も増えています。その際、友人に購入した車を貸すような事例もありますが、友人が免許を持っていない例もあります。そして、事故が起きてしまう結果につながる例が出てきてしまいます。
こういった無免許運転は、保険で対応できないことが多く、本人の経済的負担も大きいですし、被害者も生じさせてしまうという意味で、トラブルとしては様々な方に負の影響があります。
厳しい例ですと、就労の継続ができなくなる一方で、金銭的な負担だけが出てしまう例もあります。
このような事例を事後的に解決しようとすると非常に難しく、できる限り、日本の交通ルールや、もし事故が起きてしまった際の負担を理解してもらうことが重要な対応策となります。
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まとめ
外国人がトラブルが多いといったことはないですし、外国人もトラブルを生じさせたくて生じさせているわけではありません。
そのため、まず、どういった事例がトラブルになるのかを共有しておくことが重要です。
そして、トラブルが生じてしまった場合には、相談できる専門家を確保しておくことも大切でしょう。