外国人の労働時間について施設向解説

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外国人の労働時間について施設向解説

皆さんの中には「外国人であることで労働時間が日本人と異なるのか?」とご疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。ご疑問のとおり、労働基準法等の労働関係法令は国籍に関係なく等しく適用されますので、労働関係法令が定める労働時間に関する規制は、外国人でも日本人でも異なるところはありません。

他方で、例えば資格外活動における包括許可のように、労働関係法令ではなく、入管法を始めとする出入国管理関係法令により労働時間が制限される場合があります。

今回は、外国人雇用と労働時間に関する法令をご覧いただきたいと思います。


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労働関係法令について

一般的な労働時間に関するルール

まず、労働基準法は、36協定がない場合の労働時間についてのルールとして、1日8時間までしか労働できない旨を定めます。

この原則8時間については、36協定を締結することで延長することができます。そして、この36協定により延長された労働時間が法定の時間外労働であり、割増の対象となる労働時間になります。

変形労働時間制について

この1日8時間という法定労働時間について、繁忙にあわせて柔軟な労働時間の設定を可能にする制度として、変形労働時間制があります。

変形労働時間制とは、繁忙期の所定労働時間を長くする代わりに、閑散期の所定労働時間を短くするといったように、業務の繁閑や特殊性に応じて、労使が工夫しながら労働時間の配分等を行い、これによって全体としての労働時間の短縮を図ろうとする制度と説明されます。具体的には月や年という単位により、当該月・年の範囲で所定労働時間を繁忙にあわせて調整することができる制度です。

労働基準法の労働時間に関する例外

このような労働基準法のルールについて、適用除外を定める条文があります。労基法41条は一定の業務に従事する場合に、1日8時間といった法定労働時間のルールの適用がないことを定めています。

外国人雇用が行われる分野では、該当する分野は農業と漁業が該当し、介護分野にこの例外の適用はありません(管理監督者の場合を除きます)。

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出入国管理関係法令上の労働時間の制限について

このような労働関係法令における労働時間の制限ですが、外国人雇用の場合、これに加えて出入国管理関係法令上の労働時間の制限が適用されることになります

出入国管理関係法令上で労働時間が制限される例を見てみましょう。

資格外活動の許可

まず、典型的な例は、資格外活動の許可における時間制限です。

前提として、資格外活動の許可には①包括活動許可と②個別活動許可があります。①包括活動許可については勤務先を定めず、包括的に許可が与えられますが、原則週28時間という制限が課されます。②個別活動許可は勤務先や仕事の内容を定めて許可が出され、同様に個々に時間の制限が課されることがあります。

この資格外活動の許可において、良く使われるのが①包括活動許可です。この①包括活動許可を取得する方が多いのは「留学」の在留資格で在留する方や「家族滞在」で在留する方です。

資格外活動の包括活動許可では、週28時間働くことができます。また、「留学」の在留資格で在留する方は学則で定めた長期休暇の場合は1日8時間まで働くことができます。

介護分野でも、介護福祉士養成校に在学する留学生が、在学中から施設でアルバイトを行うような場合に、この資格外活動の許可が活用されます。

資格外活動の許可において注意が必要なのは、その数え方です。この「週28時間」というのは、日曜日になったらリセットされるといったものではなく、どの曜日を起算して考えても週28時間になっている必要があります。

例えば、次のような例を考えてみましょう。

1週目
時間 0 0 0 7 7 7 7
2週目
時間 7 0 0 0 7 7 7

この場合、黄色でマークアップしている部分だけを見ると7時間×4日=28時間であり、週28時間を満たしているように思います。ですが、1週目の木曜日から数えて見ると、赤字のとおり7時間×5日=35時間であり、週28時間を超えてしまいます。この場合、資格外活用の許可で定められた範囲を超えた就労になってしまいますので外国人側は不法就労活動となり、雇用する施設側には不法就労助長罪が成立してしまいます。

このように、資格外活動の許可において不法就労を防ぐにはシフトの管理が重要となってきます。特に週によって異なるシフトで働く場合には注意を要します。

また、1日8時間働くことができる場合ですが、この1日8時間については36協定を締結していたとしても1日8時間までしか働くことができない点もご注意頂ければと存じます。

技能実習制度における労働時間

技能実習制度では、技能実習生を受け入れる施設は、監理団体の指導のもと、1名1名について技能実習計画を作成し認定を受けます。この技能実習計画の中では労働時間も記載することになります。そして、技能実習制度では「時間外労働等(時間外労働や休日労働)及び深夜労働は原則として想定されていない」とされ、「やむを得ない業務上の事情等により行う場合には、これらについて変更認定を受ける又は届出をすることが必要」となります。

また、月ごとの時間数について、技能実習計画で記載した労働時間から45時間を超えて技能実習を行う場合には届出が、80時間を超える場合には技能実習計画の変更認定が必要となります。

このように、技能実習制度では、原則として時間外労働を行うことが想定されておらず、これを行う場合には技能実習計画の届出や変更認定が必要となるという制度になっています。

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まとめ

このように、外国人雇用における労働時間の制限については、①労働関係法令による制限と②出入国管理関係法令上の労働時間の制限があります。

この2点を念頭に法令違反が生じないように勤怠管理を行うのが望ましいといえます。

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