介護テクノロジーの活用事例一覧、導入時の補助金

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介護テクノロジーの活用事例一覧、導入時の補助金

介護現場では人材不足などの問題を解消するために、介護ロボットや見守り機器などのテクノロジー活用が促進されています。テクノロジーの活用により、業務の効率化や職員の負担軽減などさまざまなメリットがあります。

この記事では実際にテクノロジーを現場で活用し、効果が出ている事例を紹介します。テクノロジーの導入手順や利用できる補助金などの情報もまとめているので、現場の改革を目指す事業所は注目してみてください。


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介護テクノロジーとは

介護テクノロジーとは、「介護ロボット」や「ICT機器」、「福祉用具」などの総称です。主に以下の分野で介護ロボットやICT機器などの開発・実用化が進められています。

  • 移乗支援
  • 移動支援
  • 見守り・コミュニケーション
  • 排泄支援
  • 入浴支援
  • 介護業務支援

たとえば、利用者の歩行をアシストする介護ロボットや、センサー・カメラなどで利用者の安全を管理する見守り機器、シフト作成を効率化できるシステムなどが具体的に挙げられます。

これらの技術は利用者の安全確保、自立支援の促進だけでなく、職員の身体的負担の軽減や、業務時間の短縮などの効果が期待できます。現場の業務改善を図る際に、介護テクノロジーは大いに役立つと考えられています。

介護テクノロジーの活用事例一覧

実際の活用事例を知ることで、その導入効果や業務改善のイメージを得ることができます。ここでは介護現場でテクノロジーを活用している事例と、その効果について解説していきます。

1)移乗支援ロボットの事例

移乗支援ロボットとは、利用者を抱え上げる動作の補助を行う機器のことです。移乗支援ロボットを活用することで、職員の腰への負担を軽減するなど、安全なサービスの提供につながっています。

移乗支援ロボットを導入した埼玉県の複合型介護福祉施設では、職員の疲労感や腰痛が減るなどの効果が出ています。

施設の利用者の平均介護度は4.0で、導入前は業務の負担から職員の半数に腰痛の症状が出ていました。さらに2~3年に1件の頻度で腰痛による休職者や退職者が発生していたといいます。移乗支援ロボットの導入をきっかけに職員の腰痛予防対策についての意識が高まり、実際に労災の発生件数がゼロになるなどの効果もありました。

出典:介護ロボット導入活用事例集2021|厚生労働省

2)排せつ支援機器の事例

排せつ支援機器とは、利用者の膀胱の状態を計測して、排せつのタイミングを予測するなど、排せつケアを支援する機器です。

鹿児島県のある特別養護老人ホームではおむつ交換やトイレ介助に関するナースコールが多かったことから、職員の業務圧迫を軽減するため、小型の排せつ予測デバイスを導入しました。

トイレでの排せつが間に合わず失禁の回数が増えている利用者や、おむつを使用している利用者に装着し、自立排せつの促進やおむつの長時間使用における皮膚トラブルの予防に役立てています。

排せつ予測デバイスで排せつのパターンを把握し、事前にトイレ誘導を行うことで、日中はおむつではなく自立排せつする利用者が増えたといいます。職員の負担を軽減するほか、利用者の自信にもつなげることができています。

出典:介護ロボット導入活用事例集2017|厚生労働省

3)移動支援ロボットの事例

移動支援ロボットとは、高齢者の歩行を補助する器具を指します。自立歩行を促進することからリハビリへの活用、転倒予防などに効果を発揮する介護ロボットです。

青森県の介護老人保健施設では、電動アシストや自動ブレーキ機能が搭載された四輪の歩行器を導入し、主にデイケア利用者が使っています。

導入前は常に職員が歩行の不安定な利用者に付き添う必要があり、業務負担がかかっていました。導入後は要介護2の利用者が移動支援ロボットを使って一人で歩行できるようになるなど、ロボットを利用することで介助にかかる時間が減りました。利用者のなかにはFIM(機能的自立度評価表)の値が5(見守り)から6(修正自律)に向上した方もいます。

出典:介護ロボット導入活用事例集2017|厚生労働省

4)見守り支援機器の事例

見守り機器とは、施設内にカメラやセンサーなどを設置し、離れた場所でも利用者の安全を確認できる機器のことです。職員の業務負担の軽減だけでなく、夜間帯の人材不足の解消にも役立ちます。

東京都のある特別養護老人ホームでは見守りカメラを設置したことで、職員の身体的・精神的負担が減りました。これまでは物音がした際にすぐ駆けつけるなど頻繁に居室を訪問していましたが、導入後は1日の訪室回数が50%減少したといいます。先に映像で確認してから対処することで、職員の心の余裕も生まれています。

見守りカメラを導入する際は利用者やその家族の理解が必要です。こちらの施設では事前に説明の機会を設け、監視カメラではない旨やあくまで事故防止の設備であることを伝え、同意を得てから導入しています。

出典:介護ロボット導入活用事例集2021|厚生労働省

5)シフト管理システムの事例

介護におけるICT機器とは、介護ソフトや勤怠管理システムなど、ネットワークを活用して情報を共有するソフトウェアなどのことを指します。シフト管理や請求業務など、紙で行っていた作業をデータ化することによって、人的ミスの軽減や作業時間の短縮などの効果が期待できます。

シフト作成システムを導入した福岡県の小規模多機能施設では、これまで7~8時間を費やしていたシフト作成時間が、2/3程度に減りました。導入サポートが手厚いため、パソコン操作に慣れていない40~60代の社員でも問題なく使いこなせているそうです。

また、シフトとタイムカードの打刻時間が異なるとエラー表示で知らせる機能により、その都度シフトの調整作業が行え、翌月頭の勤怠データの集計作業もラクになったといいます。

以下からより詳細な事例を確認いただけます。

介護テクノロジーを導入するメリット

導入事例を見ても、介護テクノロジーを活用することで以下のメリットがあるとわかります。

  • 利用者の自立促進、重度化防止
  • 転倒などの事故防止
  • 職員の負担軽減
  • 業務の効率化
  • 生産性の向上

上記のほかに、介護テクノロジーを活用することで算定できる加算や、人員配置基準の要件緩和などもあります。

たとえば、令和3年度の介護報酬改定では夜勤職員配置加算において、見守り機器などを利用した場合の算定要件が見直されました。さらにICT機器を導入した介護老人福祉施設などの施設に対し、夜間帯における人員配置基準が緩和されています。介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業によると、「緩和された要件での算定により、施設・事業所の収益が改善した」と答えた施設が全体の3割を占めています。

介護テクノロジー導入時に活用できる補助金

介護テクノロジーを導入時には、以下2つの補助金制度が活用できます。

助成金名 内容
ICT導入支援事業 介護ソフトやタブレット端末などのICT機器の導入した施設に対し、補助金を交付

補助上限額 ※都道府県や職員数に応じて変わる
  • 1~10人 100万円
  • 11~20人 160万円
  • 21~30人 200万円
  • 31人~ 260万円
主な要件
  • LIFEによる情報収集・フィードバックに協力
  • 他事業所からの照会に対応
  • 導入計画の作成、導入効果報告(2年間)
介護ロボット導入支援事業 介護ロボットや、見守り機器活用に必要な通信機器などの導入にかかる経費の一部を補助

補助上限額
  • 介護ロボット 30万円/台
    ※移乗支援・入浴支援の機器の場合、上限100万円/台
  • 通信機器など:750万円
    ※1事業所につき1回の補助
    ※上限金額は都道府県によって変わる

自治体により申請スケジュールが異なるため、自治体のホームページでよく確認しましょう。

介護テクノロジーの導入手順

介護テクノロジーの活用にあたっては以下の手順を踏むことで、スムーズに、かつ現場の負担を減らしながら導入することができます。

  1. 導入計画の作成
  2. 導入機器の選定
  3. 業務フローや実施体制の見直し
  4. 利用者やその家族、職員に説明
  5. 実際に導入し、効果を定期的に測定

特に大事となるのは、導入計画の作成です。導入の目的や改善したい業務について考慮せず導入を進めると、思ったような効果が得られない可能性が高まります。導入スケジュールは、計画作成から本格的な導入まで、1年~1年半の期間を目安に立てるとよいでしょう。

また、現場に混乱を招かないためにも、導入前後の業務フローの変化を想定し、見直しを行うことが重要です。あわせて試行期間や本格的な導入後など、職員に対して複数の研修を実施することでより現場への定着を促すことができます。

介護現場でテクノロジーを活用する際は導入計画が大事

介護現場で活用できるテクノロジーは、介護ロボットやICT機器、福祉用具などさまざまあります。導入することで職員の身体的・精神的負担の軽減や、作業時間の短縮などの効果が期待できます。歩行や排せつを支援する機器であれば、利用者の自立を促進することにもつながるでしょう。

これらのテクノロジーを現場で効果的に活用するためには、まずは導入計画が重要です。導入の目的やスケジュールを整理し、現場に無理のない計画で導入を進めましょう。シフトや勤怠の管理を効率的に行いたい事業者の方は、介護専門のシフト・勤怠管理サービス「CWS for Care」にも注目してみてください。

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