【介護現場のOJT】ターミナルケア・看取りと感染症の基礎知識

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【介護現場のOJT】ターミナルケア・看取りと感染症の基礎知識

職場内教育(OJT:On the Job Training)は、日常の仕事の中で教育・指導を行うことにより実践力を高める目的があります。

令和3年介護報酬改定においても地域包括ケアシステムにおいて、「 看取りへの対応の充実」も盛り込まれました。

今回は、『職員へのOJT~ターミナルケア・看取りと感染症の基礎知識~』についてご紹介しますので、皆様のサービスの質の向上にお役立て頂けたら幸いです。


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ターミナル(終末期)とは

自覚的にも他覚的にも明らかに死が近づいている状態をいいます。この時期に行われるケアがターミナルケアです。

一般的に高齢者の死の理想は、「自宅で家族に看取られて安らかに死ぬ」ことといわれています。一人で逝くことへの孤独、死に至る苦痛を不快な体験への恐怖、未知なことへの不安を緩和し、この時期を安らかに経過できるように援助することがターミナル期における介護の要点といえます。また死に直面しているご利用者も死の瞬間まで生きています。介護は、その人が人間として最後まで生きるための援助であるともいえます。

在宅で死をむかえる為の必要な条件

①ご利用者ご本人が在宅での死を希望している。

②ご家族が在宅ケアを希望していること。

③在宅での医療、看病。介護提供の環境が整っている。

  • 主治医が在宅での終末
  • 訪問看護ステーション、又はケアセンターの看護師が24時間体制の対応ができる
  • 看護職員が終末期に対する知識、技術をもって対応できる

④緊急時の入院先が決まっている。

⑤症状コントロールがある程度できている。

⑥同意書など書類が整っている。

ターミナルケアに求められること

①身体的、精神的、社会的苦痛を取り除き、人間の基本的欲求である食事、排泄、睡眠、清潔などが十分に満たされるように援助します。

②救命、延命のみに重点がおかれる状態(キュア)から生命の質を重視するケアを行いましょう。

③その人が心豊かに、そして、その人にふさわしい死を迎えることができるように、ご家族を中心としたチームを組んで援助を行いましょう。

④ご家族ご友人に見守られて死を迎えることが、孤独からの解放を意味しているといわれます。ケア職員がそばにいるだけで、心が温もり、安ぎを与えることになるでしょう。

看取りの介護とは

①静かで落ち着いた雰囲気を作ります。

②意識がある場合は、恐怖感や絶望感が強いので、優しく、暖かく接します。

③室温は少し高めに保ち、換気をよくします。

④常に誰かそばにいて、急変したら医師または関係者にすぐ連絡できる体勢をとっておきます。

⑤身体の変化を観察し、記録しておきます。

⑥酸素吸入、気管内の吸引など、必要な処置の準備をしておきます。

⑦安楽な体位をとるなど苦痛の緩和に努めます。義歯は、必要によりはずしておきます。

⑧ご家族などの連絡方法を確認し、なるべく側にいられるよう、協力体制を整えましょう。

感染症とその基礎知識とは

ここでは、代表的な感染症とその基礎知識を記載します。

施設や事業所での感染症対応については、「マニュアル」を併用しながら、OJTを行いましょう。

MRSA

抗生物質の乱用などが原因で遺伝子が変化して、抗生物質があまり、ないしはほとんど効かない(耐性がある)タイプのものをまとめて「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌=MRSA」とよぶ。健康人の30%~50%が保菌している常在菌。抵抗力低下時に発症し、腸炎、敗血症、肺炎などが代表的。

対応

おもに手を介して感染するため、手洗いおよび必要に応じた手の消毒がもっとも大切。保菌者への対応は隔離は不要、食器、入浴等特別な対応は不要、また入所時、サービス導入時の保菌のチェックも不要。

疹癖(ノルウェー疹癖)

原因は「ヒゼンダニ」、このダニが皮膚に感染して発症する。かゆみの症状が強く、集団発生もしやすい。

皮膚の状態に気をくばり、かゆみが強い発疹がある時は医師に相談する。

対応

①個室隔離

通常2週間の個室隔離を行い、入室のさいには手袋、長袖のガウン・予防衣を着用する。

②治療対象者の範囲

直接接触した人、同室者、面会者、リネンを洗濯した人など広範囲に考える。

③熱による消毒

ヒゼンダニは乾燥・熱に弱く、50℃、10分で死滅、リネン類は、50℃以上のお湯に10分以上つける、50℃以上の熱風で10分以上乾燥機にかけるなど、熱による消毒を行う。

④殺虫剤の利用

ダニに有効な殺虫剤を用いて環境の駆虫を行う。噴霧、儒煙など実施しやすい方法で行う。床の清掃はダニを通さないフィルターの付いた掃除機で行う。

肺結核

感染予防の第一歩は発症者の早期発見。検診やかかりつけ医によるチェックが行われているか結核の概往があるかどうかを把握する。咳、痰、発熱などの症状が2週間以上続いている時は診察を行う。

感染者が出た場合、排菌していなければ基本的に通院で治療、排菌していれば隔離入院(法律で決められている)する。排菌のない方のケアについては、通常の手洗いを中心とした基本的な対応を行う。

介護者やケア担当者に感染していないかを調べる必要がある場合は、医師の 指示に従う。

HCV(C型肝炎)

血液を介しての感染がほとんどなので血液に直接触れないように気をつけ、歯ブラシとカミソリは個人所有にする。

出血していない場合は、日常生活において何も支障はない。

新型コロナウイルス

発熱、呼吸器症状(咳、咽頭痛、鼻汁、鼻閉)、頭痛、倦怠感などインフルエンザや感冒に初期 症状が似ている。また、味覚障害、嗅覚障害の症状があることも多いとされている。短期間で重 症化することがあり、高齢者や基礎疾患(慢性呼吸器疾患、糖尿病、心血管疾患など)のある人 は特に重症化しやすい。 ・感染経路は飛沫・接触・エアロゾルでマスク着用や手指消毒、換気など予防対策を確実に実施する必要がある。

まとめ

コロナ禍において、看取り対応のご入居者が、コロナに感染して亡くなられた事例もあり、感染予防には、日頃からご入居者等のご体調管理のみではなく、職員が媒介にならない自己管理も重要になります。まだまだコロナは続きますが、職場全体で感染予防の再確認もされて下さい。

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