「就業時間になっても職員が来ない…」何の連絡もなく突然仕事を休む「無断欠勤」。
無断欠勤を繰り返す職員がいると、他の職員へも悪影響を及ぼします。ただでさえ人手不足で、ギリギリの人数で現場を回している介護業界にとっては、この無断欠勤は何としても防ぎたいところです。
なぜ職員は無断欠勤をしてしまうのでしょう。理由は人によってさまざまです。体調不良などの理由だけでなく、職場環境などが要因となっていることも考えられます。
本記事では、職員が無断欠勤をしてしまう原因や理由と、無断欠勤をする職員への対処法をお伝えします。
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目次
無断欠勤とはどういう状態?
そもそも無断欠勤とはどのような状態を指すのでしょうか。ここを間違えて認識すると大きな誤解を招き、トラブルにも発展しかねません。まずは無断欠勤の定義について確認しましょう。
従業員が会社に連絡なく仕事を休むこと
無断欠勤とは従業員が何の連絡もなく仕事を休むことです。通常であれば仕事を休む際は、会社が定める方法で事前の申請を行ったり、当日であっても電話等で連絡を入れたりするのが一般的です。
無断欠勤かどうかは会社側の判断
無断欠勤に該当するかどうかは会社側の判断によります。従業員があらかじめ欠勤の連絡をしていたとしても、その方法が就業規則とは異なる場合や、欠勤の理由が正当な理由として認められない場合は無断欠勤と判断することもできます。
従業員が無断欠勤をする際に考えられる5つの理由
無断欠勤をする従業員には何らかの理由があるはずです。代表的な理由を5つ紹介します。
寝坊などの事実から逃げるため
寝坊などの事実から逃げるために無断欠勤をする場合もあります。夜更かしや体調不良などが原因で寝坊をしてしまい、上司への連絡が億劫になってしまったというケースです。
寝坊をした事実を上司に伝えづらい、遅刻の状態から出勤するのが気まずいといった理由で無断欠勤をしてしまう場合もあるでしょう。
うつ病などのメンタル面での影響
うつ病などのメンタル面の影響が理由となる場合もあります。「なんとなく気分が晴れない」「急に悲しくなる」といった症状が出る「うつ病」は現在の日本では増加傾向にあります。
その原因はさまざまですが、中には仕事が原因となってうつ病を発症する方も少なくありません。その症状は感情の起伏だけでなく、食欲不振や不眠症など身体に表れることもあります。
症状が悪化すれば「自分で朝起きることができない」「電話など他人とのコミュニケーションが取れない」といった状態になることもあり、無断欠勤につながることがあります。
職場内での人間関係や労働環境が原因
セクハラやパワハラなど、職場の人間関係が原因の場合もあります。職場内で卑猥な内容の言葉を投げかけられたり、恫喝や無視されたりなどその内容はさまざまです。
また長時間労働や残業代未払いなど労働環境が引き金となることもあるでしょう。労働環境の悪化は従業員のやる気を奪い、心身の健康を損なう要因となります。
そのようなこのような状態が続けば、「仕事に行きたくない」という気持ちが強くなり、その結果として無断欠勤へとつながります。
事故や急病の可能性も
無断欠勤は事故や急病の可能性もあります。普段欠勤することがないような従業員の場合、何らかの事故に遭っている、急に体調が悪くなり自宅で倒れているという可能性もあります。
特に一人暮らしの従業員の場合、急病となると連絡が取りづらい状況となるでしょう。寝坊やメンタル面の原因が考えにくい従業員の場合は特に、事故や急病の可能性も考慮するようにしてください。
退職するつもりで連絡を絶っている
「退職するつもりで連絡を絶っている」というケースもあります。人間関係や職場環境の悩みを原因として会社を退職しようとしている場合、無断欠勤をすること自体を問題と感じなくなっているということもあるでしょう。
無断欠勤が続く従業員への対応方法
無断欠勤が続く従業員にはどのような対応をすべきでしょうか。ここでは7つの対応方法をご紹介します。
まずはできるだけ早く本人と連絡を取り、理由を確認する
まずはできるだけ早く本人と連絡を取り、その理由を確認するようにしましょう。その際は本人の直属の上司などから連絡するようにしてください。
確認した内容については、社内に管理部などがある場合は報告をしておきましょう。無断欠勤の事実を報告することはもちろん、身の安全を確認し、共有する事が重要です。
対応として最もしてはいけないのが「放置」です。できる限り早く、当日中には本人と連絡が取れるように動きましょう。
社内報告のためにも、連絡が取れた際は、理由だけではなく連絡が取れた日時や担当者名なども記録するようにしましょう。
家族への連絡や自宅訪問
本人と連絡が取れない場合、同居している家族へも連絡をしてみましょう。もし何らかの事故などに巻き込まれていれば、家族もその事実を把握していないこともあり、まずは「本人の所在を確認すること」が何より優先されます。
家族とも連絡が付かない場合や一人暮らしの場合は、本人の上司などが自宅訪問するのも方法のひとつです。特に一人暮らしの場合は急病などで倒れている可能性も考えられます。
不在の場合はメモを残すなどして、訪問した事実がわかるようにしておきましょう。本人にも、その家族にも連絡がずっと取れない場合は、警察への相談も視野に入れてください。
病気や事故が原因の場合
原因が病気や事故の場合は、内容によっては公にできない場合もあり、本人のプライバシーを守るためにも注意を払う必要があるでしょう。特にうつ病などのメンタル面が原因となっている場合は、関係する上司や同僚、企業全体としてフォローできる体制が求められます。
本人の立場や状況などを考慮し、産業医も含めて話し合いをしながら、治療に専念できる環境を提供することが重要です。必要に応じて精神科医など症状に合うクリニックを紹介するなど、サポートを行います。治療が長期にわたる場合は、休職も検討するべきでしょう。
ハラスメントや不適切な労働などが原因の場合
ハラスメントや不適切な労働などが原因の場合は、企業として適切な労働環境への改善が必要です。ハラスメントの疑いがあるようであれば、その事実確認を行いましょう。
実際にハラスメントにあたる行為があったと認められれば、被害者である本人と当事者の配置転換を行ったり、当事者に適切に処罰を与えたり、状況に応じた対応が必要です。また労働環境が原因であれば、本人だけでなく周囲の従業員も同じ状態である可能性が高いため、早急に対応しましょう。
ただし、労働環境の問題といってもさまざまです。長時間労働の有無や社内の雰囲気の悪化、評価制度への不満など、一つひとつ確認し、環境改善へ取り組みましょう。
本人の個人的な事情の場合
無断欠勤の理由が本人の個人的な事情の場合、ただ本人の問題ということにして放置していては解決しません。自己管理能力や仕事に対する責任感に課題を感じる従業員であっても、実はその背景に「発達障害」や「社会人としてのルールやマナーを知らない」などの問題点が隠れていることもあります。
社会人経験が少ない若い従業員に関しては社会人としてのルールやマナーが身に着いていないという場合もあるでしょう。これは採用する企業の責任として教育する機会を設けることも重要です。
マナー研修や講座を実施することで、改善につながるケースもあります。また「いくら努力しても朝起きられない」「連絡することを忘れてしまう」といった場合、実は「発達障害」などが隠れていることあります。
こちらも本人と面談などを実施し、場合によっては専門医を紹介するなどのケアが必要です。
就業規則に基づいて処分や出社命令を出す
改善がみられない場合は就業規則に基づいて処分や出社命令を出すことも必要です。社内に無断欠勤に関する規定がすでにある場合は、手続きを進行するかどうかを検討する必要があります。
状況次第では出社命令の送付も必要です。出社命令の方法は必ず書面を作成し、郵送することで通知の証拠を残すようにしましょう。
口頭のみでの出社命令は、解雇の際にトラブルへと発展する可能性が高くなります。尚、「罰金」などの金銭による処罰を下す場合には注意が必要です。
労働基準法では、労働契約には違約金や契約不履行を盛り込んではいけないとされており、減給に対しても上限額が決められています。
引用
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
休職や退職、解雇などを勧奨
従業員が出社命令を出しても連絡が取れない場合、休職や退職の勧奨が必要となります。また企業側として適切に対応しても状況に改善がみられない場合は、解雇も視野に入れて対応しなければなりません。
ただし、急に解雇通知書を送付すると「何の予告もなく突然解雇された」といったトラブルへと発展する可能性もあります。まずは解雇予告通知から記録に残る形で送付してください。
引用
(解雇の予告)
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
③ 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する
懲戒に該当する場合は懲戒解雇も可能
無断欠勤が続く従業員に対して「懲戒」が必要と判断した場合、懲戒解雇を検討することもあるでしょう。無断欠勤が長期間続き、さらに何らかの損害が生じていなければ、その有効性は認められません。
よって懲戒解雇を検討する場合は、どうしても長期間に渡った観察が必要となるでしょう。裁判所で無断欠勤による解雇が正当と判断される期間はおおよそ2週間以上が一般的となっています。
しかし、懲戒解雇の理由となる定義も曖昧であり、法律で定められた期間もありません。有給休暇の消化が発生しますし、自主退社の猶予も存在します。
そのため、あくまでも目安として捉えるほうがよいでしょう。トラブルを避けるためにも、懲戒解雇などが必要と判断した場合は法律の専門家などに相談の上、対応を進めた方がよいでしょう。
職場環境を整えて無断欠勤ゼロを目指そう
無断欠勤が続くと業務に支障をきたしたり、周囲に迷惑をかけたりなど大きな影響があることは間違いありません。ただし、その原因は本人の問題だけでなく、企業側の問題であることもあります。
人間関係やハラスメント、不適切な労働が原因となっている場合は、他の従業員も同様の状況になる危険性を秘めています。企業側としては、無断欠勤につながる芽を一つひとつ摘み取る努力が必要です。
職場環境や社員の状況に気を配り、無断欠勤ゼロの職場を目指しましょう。