管理者として、健全な運営を行っていくためには、職員の協力は不可欠です。
今回は、管理者として職員の管理をご紹介しますので、ご活用頂ければ幸いです。
職員の管理(1)
①職員を育てる
⇒職員の資質・能力を知る
⇒目標・課題を明確にする
⇒研修計画を立て、目的を持って参加できる環境を整える、フィードバックできる機会を作る
⇒その他
- 第三者評価、外部評価の機会を活用
- 人事評価制度の導入
- 新人職員の育成・サポートする環境作り
- 次世代人材の育成
現在、介護業界全体の問題ではありますが、職員を確保することが難しい現状があります。
外部から雇用するという視点において、無資格を育てる視点が重要になってきます。
そのためには管理者として、新人や経験が浅い職員を育てることや育てることが出来る人を育てることが求められる。
①職員を育てる。
◆職員の資質・能力を知る
育成するためには、まず、職員がどのようなスキルを持っているのかを知る。
⇒職員一人ひとりの資質や能力、課題を知るために、正確にアセスメントする力が管理者に求められます。
本人が得意としていること、不得意な部分、大切にしていること(重視していること)知っておくことが大切。
②目標を明確にする。
- アセスメントで分かったことを参考に、職員と面接などの機会を作り、話し合う機会を持つ。
- 職員一人ひとりと面接を行い、その中で職員個々の課題を明確にする。
⇒この部分は非常に重要です。職員一人ひとりの気持ちが低下しない工夫を考えながら、正しく自己評価し、職員自身で課題が導き出せるような能力が求められる。 - 職員が1年間を通して意識し、取り組める目標を個々に設定する。
⇒目標を設定する時は、職員自身から自分の課題や目標が出せるように 働きかけることが求められる。
③研修計画を立て、参加できる環境を整える。
- 職員一人ひとりに応じた育成・研修計画を作る。
⇒それを作る時には面接時において、「対象となる職員と共有と確認する」必要がある。
⇒今年度学んで欲しいことや参加して欲しい研修を事前に共有することで、参加する意識が違ってくる。 - 研修への参加については、研修に参加する意味や動機付けを明確にする必要がある。
(動機付け…行動を目標へと方向づける、目標に向かって維持・調整する過程・機能である)
研修に参加するにあたり「こんなことを学んで欲しい」「このようなことつなげたいと考えている」という話をきちんと職員に話していますか? - 研修を受ける前に研修で学んで欲しいことを明確に伝える。
- 研修終了後には学びや気づきをフィードバックさせる。
⇒職員に「報告書」を書いてもらい、提出してもらうことも大切だが、人に伝える環境を作ることで、研修の内容を自分の中に落とし込むことにつながり、また研修内容を整理することにもなる。会議等を利用して他の職員に伝える、伝達研修会を実施すると効果的です。
◎その他
- 第三者評価・外部評価の機会を活用する。
- 人事評価制度を導入する。
- 次世代人材育成、リーダー・サブリーダーをどのように育成していくのかが、介護事業の継続には求められる。
⇒次世代の人材、リーダー等と日頃から仕事を協働することで、教育の場やスムーズな引き継ぎにつながる。
職員の管理(2)
②情報伝達・共有できる仕組みを作る
⇒気づきや工夫していることを伝える、情報を交換する
⇒取り組みの検討と検証
⇒職員全員の意見を聞き、チームとして皆が理解、納得し、決めることができる働きかけ
⇒チーム間での報告・連絡・相談を徹底する
チームとして、話し合う機会を作る必要があります。
- 職員個々の気づきや工夫を伝える、情報を交換する、取り組みを検討する、取り組んでいることを検証するためにも話し合う機会が必要。
⇒申し送りや会議の機会を活用する。 - 話し合うだけで終わらず、チームとして決めること、決めて開始、確認、改善することが重要になる。
⇒自分たちが話し合い、決めたことは取り組む意識が違ってくる。
◆管理者の役割としての留意点
- 特定の職員だけが話をして終わりではなく、参加した職員全員の意見が聴ける工夫や働きかけを行う。
- 情報を伝え合うだけの会ではなく、事業所の課題や必要となる取り組みを参加者全員で考え、話し合い、決めることが出来る環境を整える。
話し合いの方向が違う、決まったことが理念や方向性とズレが生じる 場合は、ズレないような働きかけや修正することも必要となる。 - 一旦決め、取り組んだことをそのままにせず、検証が毎回行える会議をすることが、目標の見直しや改善、継続には大切である。
⇒会議の中では、管理者は忙しいからと任せっぱなしにするのではなく、色んなことに目を配り、考え、提案をするようにすること。
職員管理で重要なポイント
◎管理者として意識すべきこと
◆世のため、人のための「思い」を持ち続ける
- ビション(未来像)を持つ
- 自分の言葉として伝える
◆受け入れる姿勢を持つ
- 決めつけず、まず、相手のことを認める
- 聴く姿勢を大切にする
- 相手の立場で考える
◆変化に対応できるように、学ぶ姿勢を持ち続ける
- 自分自身のことを知る
- つながりを持つ
管理者の仕事や役割は多岐に渡ります。
様々な場面において、決断を求められる場合も少なくありません。
管理者として悩むことも多くあると思います。 私が管理者という立場でいつも大切にしたいと感じている姿勢とは、
①熱い思いを持ち続ける
- 管理者として事業所の理念や方針を理解して、それに沿った「思い」を持って日々の仕事に臨む。
- どんな事業所にしたいのかというビジョンを持つことも重要です。
- サービスや取り組みが柔軟であっても、自分の「思い」がブレを生じていては職員が不安を感じます。
②受け入れる姿勢を持つ
- どんな内容であっても、例えば自分を否定される内容であっても、管理者として一旦受け止めるだけの心の余裕が必要になります。
- 最初から「無理だ」と決めつける、「あの人はいつもこうだから」と決めつけず、相手を認め、一旦受け止めてから考えることが大事です。
⇒その姿勢が、自分の成長にもつながります。
そのためには、聴く姿勢や相手の立場で考える姿勢が求められます。
⇒話を聴いている時の自分の姿勢は(腕を組んでいませんか? 手を動かしたまま、相手の顔を見ずに話しを聞いていませんか?)
③変化に対応できるように、学ぶ姿勢を持ち続ける
- 管理者はチームのまとめ役であり、知識や技術を向上させていく必要があります。
⇒自分の現在の知識や技術を客観的に見直し、改善、向上させるために、自分自身のことを知ることが大切です。自分自身のことを知らないと、学ぶ姿勢が持てず、改善することはもちろんですが、学ぶポイントがズレ生じることもあります。大切なことは「学んだ」ことを「管理者自身だけで留めるのではなく職員と共有し、実践に取り入れることです。 - 介護の業界は民間企業の参入により、動きが早く、時代の顧客ニーズに合わせた対応力も求められます。
⇒最新の情報や新しい知識が得やすい環境を整える必要があります。
(自分のやり方にこだわるのではなく、ICTやIOTの活用は、職場内の業務の効率性においても必要です。) - 他の事業所同士のつながりや情報収集、取り組みのために必要となるネットワークを大切にします。
⇒自分達の事業所では考えつかなかったことや解決出来なかったことの知識や解決策を得ることにつながります。
⇒管理者として事業所では解決出来なかった「悩みやストレス」の解消につながる場合があります。
まとめ
25年前に私が介護業界に入った時に比べ、介護保険制度もスタートし、沢山のサービス業態も増え、民間企業の介護業界への参入に伴って、サービス事業者も増えましたが、まだまだ時代のニーズに合った介護サービスの変化に抵抗がある管理者や職員も少なくないと思います。
職員一人ひとりに協力を得られなければ、介護報酬改定に基づく介護事業の継続は難しくなります。管理者として、今と先の情報を基に説得ではなく、理解を得るリーダーシップも必要になりますので、自らの成長のためにも心がけて下さい。