介護施設を経営するには?費用・年収、成功のポイント

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介護施設を経営するには?費用・年収、成功のポイント

高齢化が進む日本では、2025年度に約243万人の介護人材が必要とされています。今後ますます介護施設の需要は高まっていくでしょう。介護施設の経営に興味がある方は「収支は?本当に儲かるの?」など収入資金面が気になるのではないでしょうか?

この記事では、介護施設の開設手順や必要な資金など、経営に役立つ知識を解説します。介護施設の経営を成功させるための3つのポイントのほか、介護施設経営の現状や役立つ資格、介護施設経営者の平均年収などの情報もまとめましたので、介護施設の開業を目指す方は参考にしてください。


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介護施設経営の現状

介護施設を経営した場合、「儲かるの?」と気になる方も多いでしょう。現在の介護施設経営の状況をデータに基づき解説します。

収支差率

まずは収支差率のデータから、介護施設の経営状況を解説します。収支差率とは売上に対する利益率のことで「(収入-支出)÷収入」で計算できます。値が小さくなるほど利益率が低く、マイナスの場合は赤字となります。

【サービス種別ごとの税引前収支差率】
サービス種別 令和3年度決算 令和4年度決算
施設サービス 介護老人福祉施設 1.2% -1.0%
介護老人保健施設 1.5% -1.1%
介護医療院 5.2% 0.4%
居宅サービス 訪問介護 5.8% 7.8%
訪問入浴介護 3.6% 3.0%
訪問看護 7.2% 5.9%
訪問リハビリテーション -0.4% 9.1%
通所介護 0.7% 1.5%
通所リハビリテーション -0.3% 1.8%
短期入所生活介護 3.2% 2.6%
特定施設入居者生活介護 3.9% 2.9%
福祉用具貸与 3.4% 6.4%
居宅介護支援 3.7% 4.9%
地域密着型サービス 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 8.1% 11.0%
夜間対応型訪問介護 3.8% 9.9%
地域密着型通所介護 3.1% 3.6%
認知症対応型通所介護 4.3% 4.3%
小規模多機能型居宅介護 4.6% 3.5%
認知症対応型共同生活介護 4.8% 3.5%
地域密着型特定施設入居者生活介護 2.8% 1.9%
地域密着型介護老人福祉施設 1.1% -1.1%
看護小規模多機能型居宅介護 4.4% 4.5%

※コロナ関連補助金及び物価高騰対策関連補助金を含まない
出典:令和5年度介護事業経営実態調査結果の概要|厚生労働省

上記によると収支差率の悪化がみられるのが、介護老人福祉施設や介護医療院などの施設サービスです。特に介護老人福祉施設と介護老人保健施設は、過去最低の収支差率となりました。厚生労働省の見解では、人件費や光熱水費などの費用増加が一因とされています。

倒産状況

2023年は特に訪問介護事業者の倒産が目立ちました。2023年12月15日までのデータでは年間最多の60件の倒産が確認されており、主な原因はヘルパー不足によるものだと考えられています。そのほか物価高や大手企業との競合などが重なり、倒産してしまった中小零細事業者もありました。

2024年は介護報酬改定もあり、訪問介護の報酬が引き下げられることで、さらに事業所の閉鎖が増えるのではないかと懸念されています。

介護施設を経営するには?

次に介護施設の立ち上げに必要な手順について解説します。

1)事業内容の決定と事業計画書の作成

まずは開業する介護サービスを決めます。どの介護サービスを選ぶかで、必要な設備や人員、資金が変わるので注意しましょう。その後、事業の計画や目標、事業の開始時期などをまとめた事業計画書を作成します。

2)法人設立と資金集め

介護事業の起業は個人事業主ではできないため、必ず法人格の取得が必要です。営利法人だけでなく、NPO法人などの非営利法人でも開業できます。同時に金融機関などからの借入も視野に入れ、資金調達を行いましょう。

3)物件を決めて人材を募集

次に開業する介護サービスに見合った場所や物件を探します。通所介護や短期入所生活介護などのサービスの場合、施設が関係法令や設備基準などに適しているか確認するため、行政との事前協議が必要です。あわせてハローワークや地域の外郭団体などを活用し、必要な人材をそろえましょう

4)基準を満たし、指定申請を行う

都道府県または市町村から介護事業者として指定を受けるため、指定申請を行います。指定を受けるには人員配置基準、設備基準、運営基準の3つの基準を満たすことが必要です。申請後には、施設への立ち合い調査などが行われる場合もあります。

5)契約書の作成など運営準備を進める

新規指定日までに契約書や各種帳表、勤務形態一覧表、社内規定などの書類の準備を行います。介護事業者賠償責任保険などの手続きも必要です。シフト作成ソフトや介護ソフトなどは先に導入しておくとスムーズに事業が開始できるでしょう。

介護施設の開業についてより詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

開業・経営するのにかかる費用目安

介護施設の開業、経営にかかる主な費用は以下のとおりです。

  • 法人設立費用:株式会社は25~30万円程度、合同会社などは10万円程度
  • 物件取得費用:規模や地域により異なる(一例:通所介護120万円~、居宅介護支援30万円~)
  • 人件費:1人あたり20~30万円程度

上記に加え、設備基準に合わせた物件のリフォーム費用や備品代、人件費などが別途かかります。もろもろ含めて介護施設の開業にかかる初期費用の相場は、1,000万円以上といわれています

介護施設の平均売上・経営者の年収は?

厚生労働省老健局老人保健課の「令和5年度介護事業経営実態調査結果」より、介護サービス種別ごとの平均売上(収入)を以下にまとめました。

【令和4年度決算 サービス種別ごとの平均売上(収入)】
サービス種別 令和4年度決算(千円/月)
介護老人福祉施設 28,358
介護老人保健施設 35,415
介護医療院 30,412
訪問介護 3,011
訪問入浴介護 3,360
訪問看護 3,066
訪問リハビリテーション 1,171
通所介護 5,461
通所リハビリテーション 5,218
短期入所生活介護 4,686
特定施設入居者生活介護 23,517
福祉用具貸与 6,137
居宅介護支援 1,352
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 5,240
夜間対応型訪問介護 2,141
地域密着型通所介護 2,651
認知症対応型通所介護 2,566
小規模多機能型居宅介護 5,581
認知症対応型共同生活介護 6,331
地域密着型特定施設入居者生活介護 8,590
地域密着型介護老人福祉施設 11,438
看護小規模多機能型居宅介護 7,739

出典:令和5年度介護事業経営実態調査結果 厚生労働省老健局老人保健課|厚生労働省

上記は介護保険料や保険外の利用料、補助金などの収入の総額です。ここから経費や人件費などを差し引くことで、利益が計算できます。

また、介護施設経営者の年収に関する公的なデータは現在ありません。しかし一般的には400〜1,000万円程度が目安といわれています。

介護施設経営に役立つ資格は?

介護施設経営に役立つ資格として、介護福祉経営士があります。介護福祉経営士とは、一般社団法人日本介護福祉経営人材教育協会が主催する検定資格で、経営ノウハウや経営課題の分析、労務管理、人材育成など、介護施設経営に必要な知識を包括的に学べます。介護保険法に関して理解を深められるほか、組織作りやリスクマネジメントについても知識を得ることができるため、これから介護施設の経営を視野に入れている方にはおすすめの資格です。

介護福祉経営士の資格は1級と2級があり、1級は資格認定試験に加え、実践研修を受ける必要があります。認定試験はオンラインで受けることもできます。

介護施設の経営、成功のポイント

介護施設の経営を性交させるために、必要な3つのポイントについて詳しく解説します。

IT導入で利益率アップ

生産性を向上させるため、ITの導入が効果的です。介護ロボットやシフト作成システムなどのIT技術を導入することで、職員の業務負担を減らしたり、業務の効率化を図ったりすることができます。

また、令和6年介護報酬改定においては、「生産性向上推進体制加算」が新設されます。生産性向上推進体制加算とは、「生産性向上ガイドライン」を基に、業務改善を継続的に行うことを目的に、現場に見守り機器などのテクノロジーを導入したうえで、その効果を測定する事業所を評価する加算です。

生産性向上推進体制加算Ⅱの単位数はひと月あたり10単位で、実際に業務改善の成果が確認できた事業所は月100単位の生産性向上推進体制加算Ⅰを算定できます。

介護現場のICT導入(システム編)~導入の流れと補助金制度~
「職員の間接業務を減らして介護サービス提供に集中させたい」「ICT活用により働きやすい環境を作り、職員の離職防止につなげたい」と考える事業者様はぜひ参考にしてください。

働く環境の見直し・改善

働きやすい環境を整えることは魅力的な職場づくりにつながり、人材の定着や採用に好影響を与えます。先ほど上記で解説したIT技術の活用も、職員の業務負担を減らし、環境の整備や改善に効果的です。

また、令和6年度介護報酬改定において、介護職員処遇改善加算が見直されます。これまであった3種の加算が一本化され、全体的に加算率の引き上げが行われます。改定内容が反映されるのは令和6年6月からの予定です。

上記に伴い、令和6年2月から5月までの介護職員の処遇改善(賃上げ)については、都道府県からの補助という形で「介護職員処遇改善支援補助金」が交付されます。

人材の育成

介護施設の経営においては、人材マネジメントが重要です。優秀な人材を育成することで、サービスの質の向上や利益率アップへとつながっていきます。

具体的には研修や、新人スタッフに対するOJTの実施で、技術やスキルの向上を目指すことが大切です。都道府県や市町村などで実施している、人材育成のための外部セミナーも役立つため、受講を検討してみましょう。

また、介護人材のキャリアを積み重ねるために必要な道筋を整理したキャリアパスの制度を充実させることが必要です。チームリーダーなどのポジショニングや将来のキャリアパスを示すことで、働く目的が明確になり、目標達成に向けたやりがいが生まれます。

安定的な介護施設経営にはIT導入で快適な労働環境を

介護施設は高齢化社会により今後需要が高まる傾向にありますが、近年コロナや物価高騰も加わり、今後、倒産事業者数が増加すると予想されるなど経営の厳しさもあります。福祉医療機構(WAM)が公表した「2022年度 特別養護老人ホームの経営状況(速報値)」では、従来型特養では5割近くが赤字という結果も出ています。

安定的に介護施設経営を行っていくには、事前の準備と対策が必要です。なかでもIT導入は介護業界でも推進されており、職員の負担軽減や業務効率化、職場の環境改善に効果的といえます。特に労力のかかる勤怠管理を効率化したい事業者は、介護専門シフト・勤怠管理サービス「CWS for Care」にも注目してください。

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