【居宅介護支援における苦情・事故対応】~事故発生時の対応

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【居宅介護支援における苦情・事故対応】~事故発生時の対応

居宅介護事業所は、介護支援専門員が一人の場合と複数いる場合とあるかと思いますが、居宅介護支援の提供により事故が発生した場合には、速やかに市区町村、利用者のご家族等に連絡を行い、対応する必要があります。特に介護支援専門員が一人の場合には、担当されている他の利用者のご対応もあり、事故の発生の対応が遅くなるケースもあるかと思います。

そのようなことにならないように、日頃から他の居宅介護支援事業所との連携も不可欠です。今回は『居宅介護支援における苦情・事故対応~事故発生時の対応~』をご紹介しますので、皆様の業務改善にご活用頂けたら幸いです。


介護事業所の面倒なシフト・勤怠管理がらくらく
人員基準や加算要件は自動でチェック!CWS for Careはシフト表作成、勤怠管理、勤務形態一覧表作成をワンストップで提供する、介護専門のシフト・勤怠管理サービスです。
⇒ 「CWS for Care」公式サイトへアクセスして、今すぐ資料を無料ダウンロード

事故発生時の記録

居宅介護支援の提供により事故が発生した場合には、速やかに市区町村、利用者のご家族等に連絡を行うと共に、事故の状況及び事故に際してとった処置について記録します。

記録はいつ誰に開示を求められても良いよう、事故発生後はできるだけ時間を空けずに作成して下さい。訴訟に発展した場合は、事故の経緯や職員の対応を証明する唯一の記録となるので、正確に記録する必要がある。事故原因については、職員の想像で書くのではなく、客観的な視点で書くようにしなければなりません

事故が発生した場合は、介護支援専門員は管理者へ報告・連絡・相談を行います。

また、サービス提供地域の保険者で示されている「介護事業者の事故報告」等の報告ルールや『事故報告書』を居宅介護支援事業所で確認・保管して、いつでも対応できる体制をとって下さい。

居宅介護支援事業所として事故を起こした場合

実際に事故が起きた場合

  1. 市町村、家族等へ連絡を行い、必要な措置を講じる。
  2. 当社の事故発生時の社内報告フローに沿った対応を行う。
  3. 事故の状況及び事故に際して採った措置について記録する。
  4. センター長へ報告を行うとともに事故報告書やカンファレンス報告書を提出する。
  5. 賠償すべき事故が発生した場合には、損害賠償を速やかに行う。

記録の作成・保存義務・回覧

 ◎ 記録の作成と保存義務
  事故発生時の対応記録の保管は介護保険法でも定められており、通常文書管理規程では当該利用
  者の契約終了後5年間の保存義務を定めています。

また、実地指導等行政機関からも事故発生時の対応記録の確認は行われます。

したがって、事故発生時の対応方法及びその後の状況までの全過程を事故報告書に記録し、その原因・対処方法・その後の状況をカンファレンス報告書に残すと共に、常にその確認が出来るようにしておく必要があります。

なお、事故報告書とカンファレンス報告書を提出・報告・記録保存とします。緊急性が高い事故については、口頭と事故報告書で速やかに管理者から法人本部へ報告を行うこと、その他の事故についても事故報告書とカンファレンス報告書を提出・報告しましょう。

回覧

以下の流れで回覧を行います。

  1. 緊急性の高い重大事故(施設事故・交通事故、リスク重大事案)
    緊急性の高い重大事故については、事故報告書に詳細を記載し、法人本部へ提出(即時口頭報告)を行う。当該案件の場合、最終確認者は法人代表となる。
  2. その他の事故(施設事故・交通事故関係、コンプライアンス違反・トラブル関係)
    緊急性の高くない事故案件についても、事故報告書・カンファレンス報告書を添付して、管理者法人本部へ報告する。

事故発生を未然に防ぐための措置

①事故原因を解明し、再発防止のための対策を講じる。

②事故に至らなかったが、事故が発生しそうになった場合(ヒヤリ・ハット事例)及び現状を放置しておくと事故に結びつく

可能性が高いものについて事前に情報を収集し、事故を未然に防ぐ対策を講じましょう。

事故発生時の対応のポイント

  1. 事故発生時の社内報告フローを事務所内に掲示して、事故が起きた場合の連絡先・対応方法について、職員に周知している。
  2. どのような事故が起きた場合に市町村に報告するかについて把握している。
  3. 事業所における損害賠償の方法(保険に加入している場合にはその内容)について把握している。
  4. 事故が発生した場合又はそれに至る危険性がある事態が生じた場合に、当該事実が報告され、その分析を通じた改善策を職員に周知徹底する体制を整備している。

居宅介護支援事業所で想定される事故例

①自転車で利用者宅を訪問する際に、かばんを盗まれた。
②誤ったFAX 番号に個人が特定される内容をそのまま送信してしまった。
③個人情報を含んだ書類を一般ゴミとして出されていた。

万が一個人情報漏洩が発生した際は、社会的信用度の低下と損害賠償、行政処分、場合によっては刑事罰、最悪で倒産のリスクが伴います。 

個人情報の適切な運用・漏洩防止には一人ひとりの心掛けが欠かせません。 個人情報とは「利用者からお預かりしているもの」です。貴重品をお預かりしているという認識を持ってください。

まとめ

事故に至らなかった場合でも、事故になるおそれのあった事例について、ヒヤリハットの記録を残して、発生した事例の共有、原因の解明、今後の再発防止の対策を講じて下さい。

ヒヤリハットのようなヒヤリする、ハットしたこと等は、事故に至らなかったため、すぐに忘れ去られがちですが、この積み重ねが重大事故につながっていくことを認識することが大切です。管理者は会議や研修等で介護支援専門員と共有して、事故防止に努めて下さい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加