勤務表(シフト表)の予定・実績を作成し、職員一人ひとりの出勤簿の保管、勤怠管理をしていますが、勤務表と出勤簿の整合性は取れていますか?人員配置基準を遵守するためには、勤務表・出勤簿の適切な管理は必須ですが、それが適切な人員配置の証明にもなります。また、勤怠の適切な管理は管理者の義務です。
今回は、『コンプライアンス(法令遵守)の重要性~労務管理~』をご紹介します。皆さんの施設・事業所の勤務表・出勤簿の適切な管理・指導=労務管理に、ご活用頂ければ幸いです。
目次
労務管理とは
◎労務管理の目的
①職場 の秩序を安定、維持させながら
②従業員一人ひとりの能力を向上させ
③集団としての力を最大限に発揮させ
④従業員の働きがい、生きがいにつなげ
⑤職場の目標達成を図る
- 仕事を通じての人間 関係と人づくり
- 職場規律を通じての秩序の維持
- 活き活きとした活力ある仕事集団づくり
上記を望ましい状態にしていくために、意識的かつ積極的な管理・指導が必要です
時間外労働の上限規制
①年720時間 以内
②複数月平均80時間 以内 <休日労働を含む>
(「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」がすべて1カ月あたり 80時間以内)
③月100時間 未満 <休日労働を含む>
長時間労働管理のポイント
①ルールの把握
・規制上限を把握する
②プロセス管理の徹底
・日々の勤怠管理を怠(おこた)らない
③早目の「SOS!」
・「危ない、過重労働!」と思ったら、すぐに声を上げること
日々の勤怠管理が重要
◎勤怠管理でやるべきこと
①部下が、
- 何時に出社して、
- シフト通りに仕事を始め、
- 決められた時間休憩し、
- シフト通りに仕事を終え、
- きちんと帰社しているか
を確認することは、上司として最低限行うべき業務です!
②職員(部下)の出勤の証が「出勤簿」
③出勤簿をもとに給与が支払われる ⇒ 実は最も重要な文書
④毎日、部下に出勤簿を記載させ、それを確認し、承認印を押して返却するのが、上司の役割
この繰り返しが、労務管理の基本です !
◎「勤務管理者」を決めているか?
①勤務管理者が決まっているか
②勤務管理者の要件は、
- シフトを決めている
- 業務の指揮命令を行っている
- 部下の仕事ぶりを観察できる
- 部下の最低限の評価ができる
③職場の実態に合わせて勤務管理者を設定する
④管理者が休んだ時等、誰が代行するかをきちんと決めておく(不在時の対応を決めておくことが重要)
役割とやるべきことをきちんと決めておきましょう!
◎なぜ勤怠管理が重要なのか?
①部下の動きが把握できる
- 部下に仕事をさせ、仕事を通して部下を育てるのが上司の役割
- 上司が見ているという抑止力も働く
②部下の特性(特徴)が把握できる
- 出勤簿の書き方で部下の性格や業務の正確性、金銭感覚が理解できるようになる
- 部下の特性がわかれば、指導のポイントも見えやすくなる
- 日頃からの指導の積み重ねで、評価が楽になる
③勤怠管理をすることで、上司自身のマネジメント能力の向上につながる
- より部下をより知ろうとするようになる
- 部下に対する興味もわいてくる
勤怠管理の積み重ねで、マネジメント力が向上します!
年5日の年次有給休暇の確実な取得
使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上のすべての労働者に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させる必要があります。
◎何が何でも年5日取得させる
① 「使用者による時季指定」、「労働者自らの請求・取得」のいずれかの方法で年5日取得を達成する
②年5日までは「〇〇日に休むように!」と指示できるようになった
◎プロセス管理の徹底
①半年ごとに計画を立て、それを追いかける
②半日休暇も有効に活用
◎早目の取得促進
①ギリギリになったら、取得は難しい
②計画の早倒しがポイント
◎時間単位で休めるようになった
①「時間単位の年次有給休暇」が取得できるようになった
⇒「年5日(40時間)」が上限
⇒1時間単位以下はNG
⇒有休付与10日以上の人に取得義務がある年5日には、時間単位有休は含めることができない
⇒時間単位有休がなじまない非常勤職員は対象外
「働き方改革」の取り組みの一環として導入したこれらの休暇の仕組みを前向きにとらえ、有効に活用してください !
労務管理のポイント
①労務管理には理屈がある
②労務管理はリスクマネジメント
③日頃の労務管理が重要
労務管理は「人を大切にすること」が基本です!
そのためには勤務表の予定と実績の確認、それに対しての出勤簿の整合性の確認についても、毎月必ず行って下さい。結果、人員基準違反が発生してしまう場合もあるかもしれませんが、だからといって勤務表と出勤簿を無理に合致させる等の不適切な対応をしてはいけません。
不適切な対応が実地指導等により組織的であると判断された場合、指定にかかる処分(サービスの継続が問われる)につながることも考えられます。お客様、ご家族、一緒に働いている職員及び施設・事業者を守る為にも、実態に即したもので管理徹底に努めて下さい。