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機能訓練指導員とは
機能訓練指導員とは、介護施設等を中心に利用者さんそれぞれの心や身体の状態に合わせた機能訓練のプランを立てて実施する、リハビリ分野の職種です。介護保険法で定められた職種で、通所介護(デイサービス)や介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などでは必ず1名以上の配置が義務づけられています。
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機能訓練指導員になるために必要な資格
機能訓練指導員になるためには次のような資格が必要となります。
- 看護師・准看護師職員
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
- 鍼灸師(はり師・きゅう師)
※一定の実務経験を有する者
このなかで「鍼灸師(はり師・きゅう師)」は、平成30年の介護報酬改定より追加となった資格です。
また、ここでいう「一定の実務経験を有する者」とは、看護師・准看護師職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の資格を持った機能訓練指導員が配置されている事業所で6か月以上勤務し、機能訓練に従事した経験を積んだ方のことをいいます。経験について細かな実務時間や日数、実務内容は規定されていませんが、勤務している施設の管理者に業務の頻度や内容から十分な経験を得ていると判断してもらう必要があります。
機能訓練指導員の仕事内容
機能訓練指導員の主な仕事内容は、利用者さんやご家族が持つニーズを聞き取りながら、心身の向上・維持ができるように一人ひとりに合わせた計画を立て機能訓練を実施することです。機能訓練の内容は利用者さんが自分の身の回りのことができるように支援する「生活リハビリ」が中心です。機能訓練を実施した際、3か月ごとに利用者さんの状態を評価しその後の機能訓練に反映させていくことも大切な仕事です。
また、機能訓練指導員は保有している資格により期待される仕事内容が異なるということを理解しておく必要があります。下記に、求められる資格により期待される役割について簡単に紹介していきます。
看護師または准看護師
健康状態や体調管理、病気や怪我の予防や処置など、看護職員が持つ医療知識を活かしながら機能訓練を行うことが、期待される仕事内容です。看護職はリハビリの専門職ではないため、機能訓練指導員として働きながら経験を積み、知識や技術を身につけるケースもあります。
理学療法士
病気や障害によって運動機能に障害を持った利用者さんへ、運動療法や物理療法を用いながらADLの改善・悪化の予防できるように機能訓練を行うことが求められます。
作業療法士
理学療法士とは異なり、お風呂の入り方や掃除の際の動作など、IADLに関係した応用動作の向上・維持の為の機能訓練を行います。また、作業療法士はメンタル面からのアプローチも求められるため、レクリエーションなどを取り入れながら心と体のケアを行う場合もあります。
言語聴覚士
言語聴覚士は、言語能力や視覚機能や嚥下障害、口腔機能などの関する機能回復訓練・指導・支援などが求められます。
柔道整復師
身体の損傷に対してさまざまな手技を施したり、痛みを緩和できるようにケアしたりしながら、骨や関節などの運動機能を向上させる機能訓練を行うことが期待されます。
あん摩マッサージ指圧師
身体の疲れや筋肉のハリ、腰痛などさまざまな症状に対して、マッサージや指圧療法などの手技を用いた治療を行い、運動機能の向上にかかわるアドバイスなどが求められます。
鍼灸師(はり師・きゅう師)
鍼灸を用いて身体の痛みを取りのぞく知識と技術を生かしながら、身体機能の改善を目的とした機能訓練を行うことが期待されます。
機能訓練指導員が活躍する職場
活躍が期待できる職場は、以下で紹介する介護系施設と医療系施設のふたつが中心です。特に、介護系施設では「個別機能訓練加算(※1)」という介護報酬にプラスして算定できる加算があることから、活躍の場は広いといえるでしょう。
※1
個別機能訓練加算とは通所介護(デイサービス)や特別養護老人ホームなどの介護施設に機能訓練指導員を配置して、利用者さんそれぞれに機能訓練の計画書を作成し、計画に沿った機能訓練の実施とその評価を行うことで算定できる加算です。
介護系施設
介護系のサービスを提供しており、機能訓練指導員が活躍している代表的な施設例
- 通所介護(デイサービス)※地域密着型含む
- 認知症対応型通所介護(グループホーム)
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 特定施設入居者生活介護※地域密着型含む
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
※地域密着型含む
最近では比較的元気な高齢者を対象とする介護予防のための運動に重点を置いたリハビリ特化型デイサービスも増えており、機能訓練指導員として活躍できる場所は増えているといえるでしょう。
介護系の施設は介護サービスを継続して利用する方が中心となることから、一人の利用者さんと長期的に関わっていくことが多いといえます。また、一口に介護系とは言っても、利用者さんの介護度や施設の形態により求められる役割は異なります。施設によっては、機能訓練だけではなく身体介護や送迎をすることも仕事内容に含まれることがあります。
医療系施設
機能訓練指導員が活躍する医療系の代表的な施設例
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 通所リハビリテーション(デイケア)
機能訓練指導員の人員配置基準
以下の介護施設や事業所では、介護保険法によって1施設あたり1名以上の機能訓練指導員の配置が義務付けられています。
- 通所介護(地域密着型含む)
- 認知症対応型通所介護
- 短期入所生活介護
- 特定施設入居者生活介護(地域密着型含む)
- 介護老人福祉施設(地域密着型含む)
- 介護老人保健施設
※理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士
機能訓練指導員の給料
機能訓練指導員の給料は「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると平均の月収は344,110円となっており、年収換算では4,129,320円です。この給料の金額は平成29年と比べると9,610円アップしています。また、一般の介護職員(平成30年の平均月収は300,970円)よりも給料は高い傾向にあります。
※地域によって給料の金額が異なってくることもあります。
機能訓練指導員のやりがいと魅力
やりがい
やりがいのひとつに、長期的なスパンで利用者さんと関わりながら支えることができるという点があります。介護サービスを提供している施設は、病院などの医療機関と比べると利用者さんが継続してサービスの利用をするケースが多いことが理由です。
機能訓練指導員が働く場所には、医師などの医療職がいないことも多く、機能訓練を一人で担当するといったケースもよくあるので、自身の知識と経験を活かして利用者さんの生活を比較的自由にコーディネイトしながらリハビリを進めることができます。責任や苦労はありますが、その分やりがいにつながっていきます。
魅力
機能訓練指導員として働く魅力のひとつに、経営状況が安定した事業所が多く、固定給で給与が支給されるといった点があります。介護業界で介護サービスを提供している事業所は社会福祉法人医療法人、大手企業であることも多く、個人経営のクリニックや接骨院よりも比較的経営状況が安定しています。給与の水準は大きくは期待できませんが、安定という面で考えるとメリットといえるでしょう。このほか、高齢者が増加傾向にあること、介護施設での配置が義務づけられていることから需要が高まっており、求人が豊富であることも大きな魅力です。
また、ワークライフバランスを取りやすいという点も機能訓練指導員として働くメリットです。土曜日や日曜日の出勤はありますが、勤務時間は8時から17時、9時から18時といった日勤帯のことが多く、プライベートも大切にしたいという方にも適しているのではないでしょうか。
機能訓練指導員に向いている人
機能訓練指導員は自身の判断で利用者さんが生活するうえで必要となる能力の向上・維持ができるように機能訓練を行うスキルが求められることから、ある程度の経験を積んでおりキャリアが成熟している方に向いているといえるでしょう。
また、病院や個人経営のクリニック、接骨院などで行われる患者さんの治療を優先する働き方とは異なり、利用者さんの機能回復だけではなく「困りごとを何とかしたい」「こんなふうになりたい」といった利用者さんからの希望を丁寧に聞き取りサポートできる方にも向いているといえます。
個人で経営しているクリニックや接骨院とは異なり、介護施設ではケアマネジャー、介護職員、看護職員、医師などの多職種が連携しながら利用者さんの生活を支援しています。機能訓練指導員も同様に他職種と連携をする必要があります。たとえば、「医師から利用者さんに機能訓練をするうえで注意してほしい基礎疾患の情報を聞き取る」「機能訓練をする中での利用者さんの体調管理を看護職員にしてもらう」「機能訓練が生活の中で活かされているのか介護職員に確認する」などの連携を行います。このように介護施設で機能訓練を進めるには連携が大切になってきます。多くの職種としっかりコミュニケーションが取れる方は機能訓練指導員に向いているといえるでしょう。