介護保険制度の基本理念は「尊厳の保持」と「自立支援」です。
私たちの介護業務においての「自立支援」は利用者のできること増やし、介護予防をしていくことです。介護予防が2000年に施行されてから間もなく23年経過しますが、「介護予防」について正しく理解されていないことが多いように見受けられます。
今回は『介護予防』についてご紹介いたしますので、皆さんの事業所のサービスの見直しにご活用いただけたら幸いです。
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介護予防とは?
高齢者ができる限り要介護状態に陥ることなく、健康でいきいきとした生活が送れるように支援することです。
一般的に老化現象は
- 明確な疾病でないため「年のせいだからしかたがない」
- 症状が致命的ではないため「生活上の不都合」とされる
- 日常生活への障害が初期には小さい(本人も自覚がない)
などの理由により、利用者自身も気が付かないうちに、諦めてしまい、生活不活発病(廃用症候群)に陥ってしまうことがあります。
しかし、近年の研究(東京都老人総合研究所)によると「筋力が落ちた・食欲がない・噛みにくい・飲み込みにくい・軽い物忘れ」などの老化現象は、体を使ったり動かしたりすることで、事前に防ぐことができる・・・と言われています。
※生活不活発病(廃用症候群):体を動かさないことや、使わないことで起こる症状の総称で、具体的には筋力の低下や低栄養状態などがある。
自助努力により改善が可能な症状
下記の①~⑥の高齢者特有の症状(老年症候群)は、自助努力によって相当な改善の効果が見込まれると期待されている症状です。
- 運動不足
- 低栄養
- 口腔機能低下
- 認知症
- 閉じこもり
- うつ
※老年症候群:高齢者特有で頻度の高い症状や、成因や所見・対処方法が高齢者に特有な症状をいう。
さらに、これらの症状は、相互的な関係があるため、トータルとして支援をしていくことが重要であると言われています。
そこで介護予防では、上記6項目をターゲットとして、要介護状態に陥る危険性のある高齢者に対しても支援をしていく必要があると言われています。
対象の利用者像
『介護予防対象の利用者』は幅広くいらっしゃいますが、対象の利用者は主に下記のような利用者像です。
- ADLが自立に近く、IADLの支援を必要としている利用者
例:食事やトイレなど、身の回りの動作や移動の動作は自立をしているがご自身で、買い物や掃除などが実施できていない方
- 閉じこもりや運動不足のため、介護度が悪化するリスクのある方
上記のような利用者は、自分でも気が付かないうちに、生活不活発病(廃用症候群)に陥ってしまい、要介護状態に陥る危険性があります。
そこで介助者は、利用者が1つでも多くのIADL(手段的日常生活動作)を実践してもらうことができるよう、支援する必要があるのです。
※ADL:基本的日常生活動作(Activities of Daily Living)、身の回りの動作(食事・トイレなど)
※IADL:手段的日常生活動作(Instrumental Activities of Daily Living)、生活上の複雑な動作(買い物・調理など)
通所系サービスと連携しよう
介護予防訪問介護では、通所系サービスとの連携が必要不可欠です。
たとえば、下肢筋力の低下はしているが、掃除が「できる能力」はある。しかし掃除が苦手(日常的に自分では掃除をしない。このような利用者の場合、以下の①②支援が考えられます。
- まずは「できる能力」を向上させるために、通所系サービスへ行く
通所系サービスで下肢筋力の向上(運動機能の向上)を目指す。
- 日常的に「している活動」を向上させるために、訪問系サービスを利用する
自宅での掃除方法を身につけて、日々の習慣にする。
訪問系では、利用者が要介護状態に陥ることがないよう、日常生活のなかで体を使ったり、動かしたりすることを促がすことが重要なのです。
生活習慣を変える仕掛け作りが必要です
IADL支援(調理、掃除、洗濯など)は、個人でお金を出すと、介護保険制度外で、他人に代行してもらうことが可能な動作です。
※『お掃除代行サービス』や『買い物代行サービス』などがよい例です
そこで、いままでの「家事代行型サービス」に慣れていらっしゃる利用者に対して、急に「介護予防です!一緒にやりましょう!」と促したとしても、あまり受け入れてはもらえません。
そこで、まずは利用者に対して、生活習慣を変えてもらえるよう、仕組み作りをすることが重要です。
まとめ
平成30年介護報酬改定からは「老計10号」の改正により、見守り的援助、身体介護の範囲が明確化され、単に「やってあげる」のではなく、利用者の自立を後押しする観点から安全に配慮しつつ寄り添って「ともに行う」支援を指すことが、さらに求められるようになりました。それには通所系サービスと訪問系サービスの連携が不可欠ですので、ケアマネジャーと共有の上、事業所で周知徹底を行ってください。