介護現場で活かす!地震・津波の際の職員の緊急時の対応

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介護現場で活かす!地震・津波の際の職員の緊急時の対応

元日に発生しました能登半島地震につきまして、被災者の方々ならびに関係者の方々に、心からお見舞いを申し上げます。

私は富山県滑川市出身で、幸い母親も東京でいるので人的被害はありませんでしたが、蔵の外壁や家の中のヒビ、庭の灯篭が倒れ、竹垣の被害があり、保険会社の調査結果は、蔵は半壊扱いとなりました。

今回は、「地震・津波の際の職員の緊急時の対応」についてご紹介させていただきますので、皆様のBCP(業務継続計画)にご活用いただければ幸いです。

※記事は執筆当時に基づいた内容です。


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介護報酬改定とBCP(業務継続計画)

11月27日の社会保障審議会・介護給付費分科会においても、「感染症と自然災害のいずれか、または両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算する」ことを案として、示されています。

減算が適用されるのは、下記の通りです。

施設・入居系サービスや通所系サービスなどは24年4月時点で業務継続計画未策定であれば原則減算を適用。

ただし、「感染症の予防及びまん延防止のための指針」の整備と「非常災害に関する具体的計画」の策定を行っている場合は26年度末まで減算適用を免除となります。

訪問系サービスと居宅介護支援事業所は、26年度末まで減算の対象外です。

合わせて、居宅療養管理指導については、運営基準上でBCP策定が義務付けられるまでの経過措置期間を26年度末まで延長されます。

参照:第232回社会保障審議会介護給付費分科会〔資料3〕「業務継続に向けた取り組みの強化等」

しかしながら今回の能登半島地震から学ばれたように、減算に問わず、職員や利用者、施設などを守るためには、BCP(業務継続計画)作成、見直しは急務と感じられた事業者の経営者や管理職方は多いです。

職員の緊急時の対応

職員は各状況の際に以下の対応を行う。また人命の保護を最優先事項とし、身の危険を感じたら直ちに避難することが重要です。

地震の場合(震度5強以上が行動の目安)

場所 対象 対応
施設内 職員 ① あわてて外に飛び出さず、地震の揺れがおさまるまで、頭を守ってテーブル、机の下に身をかくし、自らの安全を守る。ドア近くの職員は、ドアを開けて出口を確保し、厨房などにて、火元に近い職員は消化活動を行う。
② 職員は自らの身の安全性を確保した上で、利用者に注意を呼びかけながら、フロアの安全な位置に誘導する。特に窓際や、倒れやすい家具のそば、照明器具の下にいる利用者をすみやかに安全な位置へ移動させ、居室や静養室にいる利用者は、そこが安全か否かを判断し、危険と判断する場合は、フロアの安全な位置まで誘導する。
③ ガスの元栓閉止によるガス漏れ防止を図る。ガス漏れが疑われるときには電気のブレーカーを切り火災発生を防止する。
④ 津波警報または大津波警報が発令された場合は、速やかに避難場所へ避難する。避難手段は、可能な範囲で車を使用する。ただし、道路陥没・渋滞などで走行が不能となった場合は、車両に鍵をつけた状態で路肩に駐車して徒歩にて避難する。
⑤ 利用者リストや勤務表などに基づき、施設内の利用者、職員の安否および負傷者の有無の確認を行う。負傷者がいる場合、二次災害の恐れのない安全な場所に移し、可能な限りの応急手当を実施し、負傷の状態によっては119番通報する。
管理者と連絡がとれない場合には、代行者が被災状況を事業部長へ連絡する。
【エレベーター内】
① エレベーター内にいる場合、非常用電源に切り替わり近くの階に停止するため、停止後すぐに退避を試みる。
② ドアが開かない場合は、非常ベルを押し、救援を求める。
管理者 ① 点呼および安否確認システムなどで利用者および職員(休暇中・外出中・出張中・派遣社員を含む)の安否を確認する。
② 利用者および職員の安否・けがの状況を情報収集連絡班と連携する。
③ 利用者・職員・施設の状況を被害状況チェックリストに沿い、事業部長に報告する。
施設外(自宅、通勤路、顧客先など ) 職員 ① 屋内にいる場合は周囲の指示に従いつつ、身の安全を確保する。利用者宅訪問中は、利用者およびご家族の安全確保にできる限り努める。
屋外にいる場合は落下物やガラスに気を付け、高い建物が密集している場所では近くの大きな広場・公園へ行き、余震が収まるまで待機する。海岸に近い場所にいる際は、高台へ避難する。
② ラジオやインターネットの情報を確認し、適宜状況に応じて行動する。
③ 緊急連絡網に基づき安否確認システムへ応答する。施設や管理者と連絡をとる。
【自動車内の場合】
① 車の運転中は速やかに道路脇もしくは空き地に停車する。
② 車を置いて避難する場合は、貴重品や個人情報を忘れないようにし、緊急通行車両の妨げにならないよう鍵を付けたまま避難する。
③ 緊急連絡網に基づき安否確認システムへ応答する。施設や管理者と連絡をとる。
管理者 ① 施設内にいる代行者へ職員の安否、施設内の被災状況を確認する。
② 代行者へ初動対応の指示を出し、継続的に情報収集を行う。
③ 施設、自宅、サービス提供予定の利用者宅など状況に応じて職員の移動場所を決定する。
④ 利用者・職員・施設の状況を事業部長に報告する。

津波の場合

場所 対象 対応
施設内 職員 【津波注意報が発令(揺れを感じなくても)】
① 施設内で情報収集する。
② 必要に応じ、利用者および職員は2階以上に避難する。
【自治体からの避難指示発令】
【強い地震や長時間の揺れを感じたが、津波情報の把握ができない】
【大津波警報発令・津波警報発令(揺れを感じなくても)】
① 利用者および自身の身の安全確保を行い、火災などの発生の恐れのある装置・機器を停止する。
② 安否確認と状況把握を行い、必要に応じて負傷者対応(応急手当)を実施する。
③ すみやかに避難を行う。原則、車で避難するが、車での避難が困難な場合、徒歩で避難する。
【避難が困難な場合】
④ 屋上に避難
・管理者と連絡がとれない場合には、代行者が被災状況を事業部長へ連絡する。
管理者 ① 点呼および安否確認システムなどで利用者および職員(休暇中・外出中・出張中・派遣社員を含む)の安否を確認する。
② 利用者および職員の安否・けがの状況を情報収集連絡班と連携する。
③ 利用者・職員・施設の状況を被害状況チェックリストに沿い、事業部長に報告する。
施設外(自宅、通勤路、顧客先など ) 職員 上記の施設内対応に準じて、自身の身の安全の確保を第一として、必要に応じて近くの高台に避難する。
管理者 ① 施設内にいる代行者へ職員の安否、施設内の被災状況を確認する。
② 上記社内対応に準じて代行者へ初動対応の指示を出し、継続的に情報収集を行う。
③ 利用者・職員・施設の状況を事業部長に報告する。

風水害の場合

洪水、土砂災害などの可能性がある場合、早めの段階で「空振り覚悟で早めの避難」を心がけること。

場所 対象 対応
施設内 職員
管理者
① 大雨・洪水警報が発令若しくは台風の来襲の可能性が予想される場合、情報収集班はテレビ、ラジオ、インターネットなどにて常に状況を把握・確認する。
② 市区町村の避難指示に従い、施設利用者と避難を開始する。
※市区町村からの情報がない場合でも、危険を感じたらすぐに避難する。その際、避難所の使用が可能かどうかを市町村の防災担当課または福祉担当課に確認する。
管理者 ① 今後の対応や避難判断の可否などを被害状況チェックリストに沿い、事業部長へ報告する。
② 事業部長と相談し、今後の対応や避難判断の可否などを検討する。
③ 職員の出勤の要否を検討し、検討の結果を職員へ周知する。
施設外(自宅、通勤路、顧客先など ) 職員 出勤前の場合
① 公共交通機関が止まっている、または著しく通勤に障害をきたしている場合は、原則自宅待機とする。
② 自宅待機の旨を管理者へ連絡する。
通勤中の場合
① 通勤の途中で通勤に障害をきたした場合には、管理者に判断を仰ぐ。ただし、身の危険が迫っている場合は個人の判断による避難を優先し、その後に管理者へ連絡する。自宅待機の場合はその旨を管理者へ連絡する。
管理者 ① 施設の代行者へ対応指示を出し、継続的に情報収集を行う。
② 今後の対応や避難判断の可否を被害状況チェックリストに沿い、事業部長へ報告する。
③ 事業部長と相談し、今後の対応や避難判断の可否などを検討する。
④ 職員の出勤の要否を検討し、検討の結果を職員へ周知する。

日頃から想定した研修などを行いましょう

今月の被災地での居宅介護支援事業所、訪問介護職員研修でも「海の近くの利用者の訪問時に、地震があった際にどのような対応をすればよいのか?」のご質問をいただいておりますが、訪問系サービスにおいては、利用者ごとの異なる環境においての対応が特に求められております。

日頃からBCP(業務継続計画)を基に、実践に活かせる研修と訓練を行うようにされてください。

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