サービス担当者会議とは?目的や開催頻度・進行例

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サービス担当者会議とは?内容・場所・メンバーと進め方

介護サービスは利用者の状況に応じて適宜見直し適切な内容に変更されるのが理想です。しかしそのためには、関わる多くのスタッフや専門家全員の知識を集め、合意できるケアプランを作ることが必要になります。

サービス担当者会議は、利用者に適切な介護サービスを提供するために欠かせない情報共有の場です。この記事では会議の意義と進行例、よりよい会議にするためのポイントを解説します。


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サービス担当者会議とはどんなもの?

理想的な介護サービスを提供するためには、利用者一人ひとりの希望や身体状況、環境に沿ったケアが求められます。そのためには介護に携わる関係者全員が利用者の状況を理解することが必要です。そしてケアプランから経過や状況を把握し、必要に応じて見直すことが大切です。

関係者には、主催者となるケアマネジャー(介護支援専門員)、サービスを提供する事業所の担当者、利用者やご家族、かかりつけの医師や訪問看護師などが含まれます。

ケアについては、関係者がそれぞれの視点でさまざまな意見を持っています。とはいえ、ただ意見を持っているだけでは、実際のケアに反映することはできません。

サービス担当者会議は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが必要に応じて開催し、関係者全員がケアについて共通の理解を持ち、お互いがスムーズに連携できる体制を整えることを目的としています。

サービス担当者会議は、医療や福祉におけるカンファレンスと同じように捉えられることがありますが、厳密には目的の絞られた「カンファレンスの一部」で、介護保険の適用にも影響する重要な会議だといえます。

サービス担当者会議を開催する理由

より適切なケアを目指すのならば、実際に携わる介護担当者だけではなく、ご家族や医師、看護師など立場の異なる関係者がそれぞれの視点からケアを検討することが大切です。

ここでは、サービス担当者会議を開催する理由について掘り下げてみましょう。

会議の開催時期は主に5つ

サービス担当者会議は主に次の5つのタイミングで開催されます。

  • 居宅サービス計画の原案を新規に作成したとき
  • 要介護認定を受けている利用者が要介護更新認定を受けたとき
  • 要介護認定を受けている利用者が要介護状態区分の変更を申請するとき
  • 利用者の状況が大きく変化したとき
  • 利用者の援助が困難なとき

介護保険法に基づく「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(第13条9)」では、サービス担当者会議について次のように定められています。

介護支援専門員は、サービス担当者会議の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。

  

サービス担当者会議が開催されないリスク

たとえば対象となる利用者さんが、これまでゆっくりではあっても通常歩行できていたとします。ところが転倒して足を骨折し、歩行が困難になった場合を考えてみましょう。

これまで利用していた訪問介護には通院介助が、またリハビリ施設への通院がそれぞれ追加されるようケアプランが変更されたと仮定します。

ケアプランが変更されると、介護現場にもサービス内容や予定などなにかしらの調整や変更が必要になります。しかし、その詳細な意図や目標がわからないと、うまく対応できない場合があります。

サービス担当者会議は、介護に関わるスタッフ全員で介護の目的や内容を共有するほか、変更されれば変更の意図をも共有してよりよいケアを目指すための会議です。

ご家族だけが知り得る利用者の暮らしぶりや医療面からのケアの評価や提案、介護サービスの特徴などあらゆる角度からケアを見つめ、より適切なケアをするために欠かせない会議なのです。

サービス担当者会議までの準備

サービス担当者会議のゴールは、利用者にとって最適なケアプランをケアマネジャーが作成できるように導くことです。そのために利用者やご家族の思いを参加者で共有し、主治医や介護事業者からの専門的なアドバイスを受けて目標や課題を明確にする必要があります。つまりサービス担当者会議の成功は、ケアマネジャーがどれだけ丁寧に準備を進めてきたかにかかっているのです

多彩な職種によるチーム編成

利用者への支援は、チームで行う視点が重要になります。ケアマネジャーは、「利用者がどんなサービスを希望しているのか」、「利用者の課題解決に有効な資源や支援方法はないか」を考えながら、利用者にとってベストな支援チームを編成していきます。

事前準備シート

サービス担当者会議を行うにあたり、国が示す事前準備シートは特にありません。しかし、ケアマネジャーとして限られた時間内で会議の目標を果たすため、あらかじめ要点を整理しておくことは重要です。サービス担当者会議の記録様式は、運営基準の「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領」において、「第4表サービス担当者会議の要点」として提示されています。

準備する際はその要点を事前に確認しておき、当日どの参加者に何を確認するのか、現時点での目標と課題は何かを整理しておくと会議がスムーズに進行するでしょう。

欠席者には照会文書で情報収集

「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」では、サービス担当者会議の開催についてルールを定めており、メンバーがそろわないときの対処法について担当者への照会という方法で出席に代えることを認めています。

「第13条9(前略)ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。」

会議を開催する時間帯によっては、参加できないメンバーもいるでしょう。事前に欠席することが把握できれば照会文書を渡しておき、当日までに回答を得ておくと会議において欠席者の意見も共有することができます。

なお、照会する際にはケアプランの原案や当日の議題、ケアマネジャーとしての懸案事項を示しておくと回答する側の返答も要点を得やすくなります。

サービス担当者会議の進め方

会議は主催するケアマネジャーが、会議の事前準備から当日の司会進行、アフターフォローまでの全ての役割を担います。

進め方が定められているわけではありませんが、大まかな流れをマニュアル化しておくと準備の手間が軽減できます。

司会進行(セリフ)の要点

よほど場数を踏んだ人でない限り、会議の司会を担うのは誰しも不安に感じるものでしょう。当日に会議進行に自信がないのはもちろん、時間内でうまく結論まで導けるのかなど不安になるのは当然です。

会議は次のような流れを意識すると進めやすいでしょう。具体的なセリフの例と合わせて参考にしてください。

  • 開会の挨拶と参加者の紹介(本日はお忙しいところありがとうございます。では順番に自己紹介をお願いします)
  • 今回の会議の目的(今日はAさんのケアプラン原案について皆様ご意見お願いします)
  • 利用者やご家族からの意向と総合的な援助の方針(ケアプラン第1表をご覧ください)
  • 課題分析、生活上の課題の説明と確認(Aさんのニーズと支援内容をケアプラン第2表にまとめましたので説明します)
  • 各専門職からの専門的見地と意見交換(原案について、事業所、専門職の皆さんからご意見ありませんか?本日ご欠席の方からご意見をいただいています)
    残された課題、次回開催の確認(では、退院後よりこのプランで実施します。次回は3ヶ月後に実施状況を共有しましょう)
  • 閉会の挨拶(皆様、本日はありがとうございました。後日要点の記録と新しいケアプランをお渡しします)

それでも参加できない場合は、あらかじめ議題についての見解を照会し、検討事項に活用します。ただ、軽微な変更でない限り、できるだけ会議に参加してもらうのが望ましいといえます。

本人不在の場合

会議当日、利用者が体調不良などで不在の場合があります。参加者が少ない場合には、改めて日時を設定しなおすことが望ましいでしょう。ただし、認定有効期間が間近になっていたり、急に退院が決まって在宅サービスの調整が必要であったりする場合などは、本人不在のまま関係者間で行うことがあります。

いずれにしても会議を開く際は、利用者本人の意向を会議の中で共有し、会議で決まったことをケアマネジャーが利用者に丁寧に説明し、同意を得ることが大切です。

サービス担当者会議成功のポイント

サービス担当者会議という慣れない場に出てくれている利用者やご家族、忙しい合間を縫って参加している事業所の担当者を前にして有意義な会議を行うには、いくつかポイントがあります。裏方としての役目もあるケアマネジャーにとって、どれも忘れてはいけません。

要点の整理は簡潔に記録する

サービス担当者会議における要点は、開催後なるべく早くに記録しましょう。時間が空くと内容が抜けてしまったり、サービス提供に間に合わなかったりするなど弊害が生じます。この記録には独自の様式ではなく、国が定めた様式を使用しましょう。

減算に注意

運営基準では、ケアマネジャーがサービス担当者会議を開催していない、あるいははサービス担当者に対する意見照会を行っていない場合、その月から状態が解消された月の前月まで減算すると定められています。

その額は通常の介護報酬の1/2となり、2ヶ月以上改善されなければその後一切の報酬を受けることができなくなります。ちなみに、担当者会議を開催していたとしても記録に残っていなければ、開催されていないものとみなされるので注意が必要です。

アフターフォローが大事

会議が終了したならば、利用者やご家族にねぎらいの言葉を忘れずに伝えます。このとき、慣れない雰囲気の会議では話せない疑問や不安をしっかり伺いましょう。

理解しづらい議題については噛み砕いて分かりやすく伝えたり、後日簡潔に記録して書類として渡したりするのもよいでしょう。

書類は会議に参加できなかったサービス担当者にも配布し、互いの認識のすり合わせに活用しましょう。

介護対象者にもっとも近いのは現場の介護職員

実際に利用者をサポートし、もっとも高い頻度で接するのは現場の介護職員です。小さな変化にいち早く気付ける現場スタッフの意見は、会議にとって非常に重要です。

もしも今後ケアマネジャーへのキャリアアップを考えている介護職がいれば、そのための勉強とさせても有効です。介護技術だけではなく、介護サービス全体を理解させることができます。

ケアマネジャーにとっても、専門性を持った高い意識で日々の介護に携わる介護職員の意見は重要です。会議には、できるかぎりそのような現場の介護職員にも参加してもらいたいものです。

参加にはシフトや個人の事情への配慮も必要

現場スタッフは、業務スケジュールやシフトに忙殺され、会議に参加する余裕などあまりないのが通常です。また、なかには個人的な事情で会議に参加できない介護職員もいるかもしれません。会議に参加してもらうには、シフトや個人の事情を汲み取り、開催日時を調整する配慮も必要でしょう。

事業所によっては定休日があったり、担当者が変則勤務に従事していたりして、日程調整が容易でない場合があります。無理な調整は禁物ですが、できる範囲で参加を促し、介護の意義や目標を意識してもらうことがひいては適切なケアに役立つ大きな要素になるといえます。また多くの事業所が集うことで、担当者同士の顔が見える機会にもなります。

コロナウイルスの影響によるビデオ通話などを使ったオンラインサービス担当者会議

2019年末から全世界を混乱の渦に巻き込んでいる新型コロナウイルス感染症は、介護の現場にも大きな影響を与えています。

日本病院会や日本医療法人協会などの4団体は、新型コロナウイルス感染症の対策を踏まえて導入された居宅介護支援の特例に言及し、ICTを使ったビデオ通話による会議を容認すべきと厚労省に提言しました。

現在の法制によると、サービス担当者会議は高齢者の居宅で実施するのが原則とされています。しかし、現場では人材不足の深刻化もあり、特例としてではなく恒久化を求める声が高まっているのです。

令和2年2月28日、厚生労働省は新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、サービス担当者会議の開催について利用者の状態に大きな変更が認められないなど、ケアプランの変更内容が軽微であると認められる場合は開催不要と通知を出しました。

また、可能であれば利用者の自宅以外での開催や電話・メールなどを活用して柔軟に対応することもみとめました。これによってICTを利用したサービス担当者会議が可能となり、事業所としては集まる時間や感染リスクを大幅に削減できるようになったのです。

サービス担当者会議を有意義に開催しよう

サービス担当者会議は、利用者さんに対して適切なケアを提供できるよう、様々な立場の関係者が全員で検討して情報を共有するための重要な会議です。

ケアマネジャーはしっかりと事前に準備し、当日はスムーズに議事を進行して十分な検討や情報共有ができるように努めることが求められます。

より有意義な会議にするには、管理者や現場スタッフの参加も有効です。できる限りの調整をして参加を促し、関係者全員で理想の介護を目指しましょう。

 

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