優秀な介護人材を採用するためには?採用のコツと助成金制度について

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人手不足が続き、売り手市場とされる介護業界において、優秀な人材を採用することは簡単ではありません。そんな中でも自社に合ったより優秀な介護に適した人材を採用するには、どのような方法を取ればよいのでしょうか。

今回は、介護業界で採用活動を行うコツや採用にかかわる助成金について解説します。


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介護業界の採用が難しい理由

面接風景

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を迎える中、介護を必要とする高齢者の数は年々増えています。そのため介護業界は他業種よりも有効求人倍率が高く、採用を考える事業所側にとって、極めて採用が困難な状況になっています。

その実態として、令和元年度「介護労働実態調査」によると、介護事業所の65.3%は人材が不足していると回答しており、採用が困難な理由としては「同業他社との人材獲得競争が激しい」「他産業に比べて労働条件が良くない」といった点が挙げられています。

介護業界の採用が難しいのは、有効求人倍率が高い業界であるにもかかわらず、採用率が向上しないという、業界と求職者のニーズのミスマッチが一番の原因でしょう

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介護職の人材採用に必要なコストとは

コスト

介護業界に限らず、人材の募集や採用にはコストがかかります。募集方法の違いはコストの違いにも関わるので、どのように人材募集を進めたいか、人材募集や採用の費用に合わせて募集方法を検討する必要があります。

介護職求人サイト・求人情報誌を利用する場合

多くの人の目に付きやすい求人サイトや求人誌への求人掲載には、複数のタイプがあります。

1つは、掲載そのものに料金がかかる「掲載課金型」です。一度掲載料金を支払えば採用人数が多くても料金は変わらないのが特徴です。求人サイトの費用は掲載期間等によってもことなりますが、目安としては1週間で数万円程度、求人誌は3~5万円程度です。

2つ目は、求人サイトに多く見られる「応募課金型」で、掲載料が無料である代わりに求人への応募に対して料金が発生します。費用目安は数千~1万円程度ですが、応募者が辞退したり、選考段階で連絡が取れなくなったりした場合でも費用がかかってしまうデメリットがあります。

3つ目は、「完全成功報酬型」です。採用が決まるまで費用がかからないため、質の高い人材を集めやすいメリットがあります。一方で、コストは1人あたり数万~数十万円ほどかかります。

人材紹介会社を利用する場合

人材紹介会社を利用すると、その会社に登録されている求職者を直接紹介してもらえます。初期費用はかからず、人材紹介会社側に専任の担当者が付き、事業者が求める人材を紹介してもらえるため、効率的な採用活動ができるでしょう。

人材紹介会社では、採用が成功した時点で費用が発生します。目安は年収の15~18%程度、1人あたり50~80万円ほどで、全ての採用方法のなかで最も高額です。

ハローワークに採用情報を掲載する場合

各地域にあるハローワーク(公共職業安定所)へ求人を出す場合、費用はかかりません。採用時にも費用がかからないため、最もコストがかからない方法といえるでしょう。

しかし、求人広告出稿から採用までのすべてを介護事業者や運営会社側が行う必要があり、選考から採用に至るまでの手続きなどにどうしても手間がかかってしまう点がデメリットです。

介護業界で採用率を上げるコツ

介護士と高齢者

求人件数に対して求職者の数が少ないという、いわゆる「売り手市場」で求人倍率が高く、人材採用が難しい介護業界で採用率をアップさせるには、どのような対策を行うべきでしょうか。良い人材を採用するためのコツを3つ紹介します。

他社との差別化を図る

有効求人倍率が高く、人手不足の現場も多い介護業界では、多数の求人が出されています。同じような施設の求人が掲載されていると、求職者の目に留まらずなかなか応募が来ないということもあるでしょう。

そこで実践したいのが「他社との差別化」です。「施設で働く社員同士の人間関係が良好である」、「フォロー体制がしっかりしている」など自社で働くメリットや魅力を求人広告の中でしっかりアピールし、ほかの介護事業者との差別化を図ってみましょう。

「家庭を持つ女性」のようにターゲットを絞ってアピールするのもおすすめです。求人票にもこの点をしっかり記載し、求職者へアピールをしましょう。

未経験者も採用する

専門性が求められることが多い介護職で中途採用をする場合、経験者を優先的に採用したいと考える事業者は多いでしょう。しかし、どの事業者も経験者を採用したいという思いは同じで、さらに人材獲得の競争率は高くなってしまいます。

そこで提案したいのが「未経験者の採用」です。未経験者でも、採用後に資格取得支援などを行うことで優秀な人材を育成できることもあります。経験者ばかりにこだわらず、未経験者まで採用枠を拡げるのも採用率アップのコツです。

採用基準を明確にする

「人手不足なのでとにかく人材を獲得したい」というだけで採用活動を行うのでは、どのような人材が欲しいのかがあやふやで、採用活動そのものも方向性が定まらなくなってしまいます。

自社に最適な人材を採用するためには、採用基準を明確にするところから始めましょう。採用担当者はもちろん、社内の関係者の間で採用基準のすり合わせを行い、どのような人材が欲しいのかという認識を一致させておくことが重要です。

求人情報(求人票)を作成する際のポイント

求人票

求人サイトや求人誌などに求人情報を掲載する場合、ほかの介護事業者の求人と比較されやすいものです。そのような中では、特にこれといった特色や魅力がない求人情報は多くの介護求人の中に埋もれてしまい、求職中の人材がほかへ流れてしまうことも考えられます。ほかの求人との差別化を図るには、採用情報の内容にも気を配りましょう。

どんな人物を採用したいかを明確にする

求人情報では、どんな人を採用したいのか、職種や働き方などのターゲットを明確にしましょう。介護施設で働くスタッフには、介護職員や看護師、ケアマネジャーなどさまざまな職があり、働き方だけをとっても日勤または夜勤専従、パート勤務など複数あります。

そこで、働き方も含めてより詳細な情報を掲載し、どのような人材が欲しいかを明確にしましょう。複数の職種で職員を募集するのであれば、施設で求人情報をひとまとめにするよりも、職種ごとに分けて準備しておくのがおすすめです。

同業他社とほかと比較して、自社の良い面を書き出す

新卒とは異なり、中途採用の場合は社会人として働いた経験を持った方がターゲットとなります。多くの場合は前職よりも良い条件で働きたいと考えるでしょう。特に、介護職としての経験がある場合は、これまでに勤務していた際の条件と比較することになります。

さらに、同じタイミングで人材募集を行っている多数の事業者の求人票との比較検討も行います。そのため、勤務形態のほか給与や待遇、定着率などの具体的な情報やデータを求人情報に掲載し、自社の良い面をアピールすることが重要です。

定着率などに加えて介護職の離職率の1位でもある「人間関係」が良好であるといった点を具体的にアピールできれば、他の介護事業者との差別化となり、自社の求人に興味を持ってもらうことができるでしょう。

介護業界の採用成功例

面接

介護業界は、有効求人倍率が高いために優秀な人材を採用することが困難な状況になっています。求人広告を出しても、面接どころか応募そのものが集まらないという事業者も少なくありません。応募数を増やして良い人材を採用するチャンスを増やすには、具体的にどのような工夫が必要なのでしょうか。

施設の魅力が伝わる求人原稿で求職者の共感アップ

勤務条件や仕事内容は、採用に関する基本的な情報です。求職者の目に留まり、応募したくなる魅力的な求人情報を作成するには、これらの基本情報に加え、自社が力を入れて取り組んでいることや、社員の労働環境改善のために行っていることなどを記載し、求職者の共感が得られるかどうかが重要なポイントになってきます。

例えば、介護職未経験者向けの採用情報において、経験がなくても安心して働ける職場であることをアピールしたいと考えた場合、未経験で転職した職員へのインタビューを掲載するといった手段も有効です。未経験の求職者が抱えがちな不安を払拭し、自分に置き換えて働く姿をイメージできるようになれば、自然に応募へとつながります。

求職者への積極的なアプローチで応募率アップ

一人の求職者を複数の介護事業者で取り合う状況にあるため、求職者からの応募を待っているだけでは熾烈化する競争を勝ち抜くことはできません。
より優秀な人材を採用したいと考えた場合、自社が求める人材を自らが探して直接アプローチする「攻め」の採用手法を取り入れるとよいでしょう。

特に、WEB広告などを活用した採用活動の場合、費用に比例して広告が求職者の目に触れる回数が変わってきます。限られた予算で採用活動を行う中小企業の場合、大手企業に比べると求職者との接点が少なくなってしまうというデメリットがありました。

しかし、求職者へ直接アプローチする方法であれば、予算に関係なく欲しい人材へ自社の求人情報を届けることができるようになり、効率的に母集団を形成でき、応募率アップにもつながるでしょう。

介護職の採用に助成金制度を利用しよう

助成金

厚生労働省では、介護事業における人材雇用や人材育成、職場環境の整備などに利用できる各種助成金制度を用意しています。優秀な人材を確保して長く働いてもらうために、施設の条件や状況に合った助成金制度を利用してみましょう。

キャリアアップ助成金 正社員化コース

こちらは、有期契約労働者や短時間労働者など非正規雇用である労働者がキャリアアップを目指すための助成金です。複数の種類に分かれており、その中の1つである「正社員化コース」は、有期契約労働者などを正規雇用に転換したり、直接雇用したりする場合に利用できます。

正社員化コースの受給額は、有期雇用から正規雇用の場合57万円、有期雇用から無期雇用が28万5,000円、無期雇用から正規雇用で28万5,000円です。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは、経験や技能、知識などを理由として、安定した就業が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者などの紹介によりを一定期間の試行雇用した際に受けられる助成金です。

こちらも複数のコースに分かれており、「一般トライアルコース」は2020年度より紹介日時点でニートやフリーターの45歳未満の者と生活困窮者が対象に加わりました。

一方で、紹介日時点で就労経験のない職業に就く者と、学校卒業後3年以内に安定した職業に就いていない者は対象外となっています。助成金の支給は1ヶ月単位で最長3ヶ月間、1人あたり4万円です。

人材確保等支援助成金 介護・保育労働者雇用管理制度助成コース

※人材確保等支援助成金(介護・保育労働者雇用管理制度助成コース)は、
令和3年度より廃止となりました。

人材確保等支援助成金は、労働者の定着を促進させるため、魅力ある職場づくりや賃金制度の整備を行った事業者に対して支給されます。こちらも7種類のコースに分かれており、このうち「介護・保育労働者雇用管理制度助成コース」は、賃金制度を整備して離職率低下に取り組む介護事業主または保育事業主が対象です。

具体的な助成金支給対象となる賃金制度は、職務や職責などに応じた賃金制度に加えて勤続年数に応じた定期昇給制度の追加、または客観的な職業能力評価基準による賃金制度の整備などに限られます。

採用のコツを押さえ助成金を利用しながら採用活動を行おう

採用担当者

介護現場に優秀な人材を確保するためには、採用情報の内容を見直したり、採用基準を明確にしたりするなどの対策が必要です。雇用を促進するために利用できる各種助成金も用意されているので、上手に活用して優れた人材を採用しましょう。

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