2024年介護報酬改定では、財政制度等審議会の中での『利用者の自己負担』でも、居宅介護支援のケアマネジメントでも現行は10割給付ですが、「自己負担を徴収すべきではないか」と話し合われ、次の2024年度の制度改正をめぐる大きな焦点となる見通しで、「制度の持続可能性を確保するためには、給付範囲の見直しに取り組む必要がある」と明記されました。
居宅のケアマネジメントについては、「制度創設から約20年が経ちサービスが定着し、他のサービスに自己負担があることも踏まえれば自己負担の導入は当然」だとの意見から、「利用者は自己負担を通じてケアプランに関心を持つ。ケアマネジャーのサービスのチェックと質の向上にも資する」とも話し合われています。
居宅介護支援の業務においても次期改正を踏まえて、業務の見直しが必要となりますので、今回は『選ばれる居宅介護支援事業所になるために!時期介護報酬改定の方向性を踏まえた業務改善』をご紹介しますので、皆様の居宅介護支援の業務改善にご活用頂けたら幸いです。
目次
介護保険制度の基本理念から読み解く目指すケアマネジャーの姿
- 在宅介護の重視
- 高齢者自身によるサービスの選択
- 保健・医療・福祉の総合的、効率的な提供
- 利用者本位
- 公正中立
ケアマネジャーとしての必要なスキルとは
接遇マナー
- あいさつ、言葉遣い、身だしなみ、コミュニケーションの取り方、自己感情のコントロール、傾聴・共感の姿勢等の日々の業務の中で適切な接遇マナーの実践を行いましょう。
報告・連絡・相談
- 業務に関する疑問や悩みについて、上司(管理者やセンター長)に適宜相談・報告を行いましょう。
- 利用者やその家族からの苦情について、上司(管理者やセンター長)に適宜相談・報告し、適切に対処しましょう。
積極性・協調性
- 常に前向きな姿勢で業務に取り組みましょう。
- 困難な課題に対して、解決に向けて自ら積極的に取り組みましょう。
改善・効率化
- 同じ間違いを繰り返さないよう、自ら再発防止策を講じて実行していきましょう。
- 残業や休日出勤をできる限りしないよう、手帳を活用する等にてスケジュール管理を行い、計画的かつ効率的な業務を行っていきましょう。
専門職としての責任
- ケアマネジメント過程における基本姿勢と倫理を理解しましょう。
- 居宅サービス計画作成に当たっての一連の業務(ケアマネジメント)を展開し、適正な給付管理を行いましょう。
- 面接技法等の研鑽に努めましょう。
- 甘い基準解釈をしないように、運営基準を何度も読み返しましょう。不明な点がありましたら、行政へ相談しましょう。
- 根拠に基づき、整合性がある書類整備を行いましょう。
教育・指導面について
- 新任介護支援専門員への教育・指導の徹底。
- 適切なケアマネジメントのPDCAサイクルの理解と具体的な実践。
管理者確認事項とは
ケアマネジメント進行管理表と利用者ファイルを照合し、業務が適正に行われているか確認します。
ケアマネジメントの基本とは
①自立にむけたケアプランを意識すること
◆ 利用者の「したい」「してみたい」生活の目標について関係者が共有し、目指すための方法を検討しましょう。
◆ 「できること」「できないこと」「できそうなこと」を見極め、「できそうなこと」については、今後の可能性を十分に検討しましょう。
- 利用者の生活目標を明確化することで、その目標に向けた取り組みが利用者・関係者間で共有されると共に利用者の主体性が図れる(利用者の生きる力の向上)支援を行っていきましょう。
- ニーズ(利用者客観的必要性)とデマンド(利用者の主観的要望)の区別が必要です。
②利用者の持てる残存能力や潜在能力や社会資源を最大限に伸ばし、ADLやIADLといった生活行為の向上を図るためのサービスを提供していきましょう。
◆ 社会資源を活用し「生活の質」を高め、利用者の望む暮らしを実現していきましょう。
◎フォーマルサービス
- 介護保険サービス
- 市町村が実施する保健福祉サービス
- 成年後見制度・地域福祉権利擁護事業(福祉サービス利用援助事業)
◎インフォーマルサービス
- 家族・親戚・近隣・友人・ボランティア・民生委員・趣味仲間等によって提供される幅広いサポート
◎利用者自身のセルフケア
まとめ
ケアマネジャーは、ケアマネジャー業務を適正に行うためのケアマネジメントの一環として、居宅介護サービスの質の向上を目的とした内容を実施していくことで、お客様・家族の満足度の高いサービス提供をしていくことが出来ます。そのためにも介護保険の基本理念を熟知して、お客様のその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように、常に自己研鑽を積んで質の高いケアマネジメントの実践をしていく必要があります。
そしてケアマネネジャ―として知識や役割を理解して適切なケアマネジメント業務ができるように、新任ケアマネジャーの育成をしていくことも重要な業務です。
また一人ひとりのお客様やご家族の気持ちや生き方に寄り添い、その方の立場で一緒に考えて問題解決に向けて取り組んでいくことで、その先の未来の希望の光を見出します。
お客様やご家族の希望や夢が叶えられ、喜びを感じ笑顔になる支援をしていくためにも、常に多職種連携を行い、一人だけで悩まないケアマネジャー業務を心がけて下さい。