介護事業所における管理者の役割とは① 自らの学びと理念の共有

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
介護事業所における管理者の役割とは① 自らの学びと理念の共有

管理者の役割とは、例えば居宅基準第28条は、指定訪問介護事業所の管理者とサービス提供責任者の役割分担について規定したものであり、管理者は、従業者及び業務の一元的管理並びに 従業者に居宅基準第2章4節(運営に関する基準)を遵守させるための指揮命令を行う旨が明記されています。

「管理者として何をすれば良いのか?」迷われている方も多いと思いますので、今回は、管理者の役割についての自らの学びと理念の共有をご紹介しますので、ご活用頂ければ幸いです。

皆さんに学んで頂きたいことです!

  1. 管理者として求められる姿勢について理解しましょう!
  2. 実際のサービス等のあり方と管理者の役割について理解しましょう!
  3. 職員育成とチームケアにおける管理者の役割について理解しましょう!

皆さんはどんな管理者になりたいですか?

私も管理者の経験はあり、今は経営者でもありますが、どんな管理者になりたいのかをまずはイメージすることが大切です。

  • 周りから頼りにされている管理者
  • 冷静な判断と温かい心を持っている管理者
  • 行動力のある管理者
  • 発想が豊かな管理者
  • 公平な目を持っている管理者
  • 物事を客観的に見ることができる管理者
  • 職員の専門性を大切にできる管理者
  • 広い視野を持っている管理者
  • 職員が相談しやすい管理者
  • 知識が豊富な管理者
  • 実践を大切にしている管理者

管理者とは何か?

管理者やリーダーシップの資質は、生まれついて、授かったものではありません。

→努力によって、成長、改善できる
 経験を通して、自分自身を振り返り、気づくこと

 ◆自分だけの力で成長するには限界があります

→周りの人や職員によって育てられます。
 言葉や行動を受け入れ、考える・確認することです。

◆管理者は「こうあるべきだ」というものはありません。

→自分の特性を活かした、自分なりの管理者像を見つけ、それを目標とすることが大切です。

そして、あなたらしい管理者像を見つけましょう!

基準・定義・基本方針の理解とは

事業所を運営していく上で、それぞれのサービス・事業における基準や定義、基本方針などを知る、理解する必要があります。

⇒ どのような人が必要なのか?何が必要なのか?
 基準が満たされないとどうなるのか?

⇒定義や基本方針からどのようなサービスを展開するのか? 
 環境を整えるのか?

これは事業所を運営していく上で非常に大切なことであり、基本となる内容です。

管理者として、「法律は嫌いだ、得意ではない」「知らない」では「皆さんの事業所を守ることが出来ません」

人員が足りないまま運営している、整備しなければならないものが整備されずにいて、手を付けずにいるという最悪の状況になります。

「時間がある時に覚える」ではなく、「どこに書かれているのか」や「何を調べればよいのか」をまず知っていることが大切になります。

管理者としての皆さんのチームとは何か

◆あなたは「どのようなチーム」を作りたいですか?

チームとは『何かの目標に向かって集まった組織体』です。

チームに備わっているべき要素

 ①達成すべき明確な目標の共有
 ②各メンバーが果たすべき役割の割り振り
 ③メンバー間の協力と相互依存の関係
 ④チームの構成員とそれ以外との境界が明確

管理者の役割として、皆さんの役割として、まずチームを作ること、見直すことが求められます。

達成すべき明確な目標の共有(1)とは

事業所の理念・ケアの方針が明確になっていますか?
具体的になっていますか?
情報共有されていますか?

『理念』…ある物事についての、こうあるべきだという根本の考えです。

「基本的価値観(行動基準)」と「目的意識」       
 ⇒事業所や職員が目指すべき目標

自分達の判断・行動の根拠となるものです。逆に理念がないと…ゴールがないまま、走り続けている状態です。そのような状態では、判断基準が経験のある職員に偏りやすくなります。

個々の職員の価値観がそのまま行動の根拠になりやすいです
振り返りができません(振り返るための基準がないためです。)

→ケアのばらつき、考え方のばらつきが起きます。

達成感が持てない(自分は出来ているという間違った達成感)、方向性が違う取り組み(職員が中心の取り組み・考え方)になります。

サービスのあり方を考える、職員を育成する、チームケアを行う上で、法人や会社、事業所の理念や考え方・方針を知る、理解する必要があります

達成すべき明確な目標の共有(2)

例えば経営理念…

・利用者一人ひとりが、これまでの生活の継続と共に、生きがいある「その人らしい暮らし」を送れるようにサポートします。

住み慣れた地域で「その人らしく」暮らし続けることをサポートします。

理念からの展開としては、

・3~5年、10年後のビジョンとして、将来的に「こうなっていたい」という姿を明確にします。
・単年度の「事業計画」作成
・「個人目標」「各部署や役割での目標」とつながります。

それぞれがバラバラに存在するのではなく、「理念」に基づいて設定や展開をされていることを理解してください。

達成すべき明確な目標の共有(3)

理念を作るだけでは、職員が同じ方向を見る、または、考える取り組みや支援体制、ご利用者ごとのチームケアにはつながりにくいです。

理念から職員に統一した考え方、意識を持ってもらうためには「理念」とは何かを具体的に事業所の職員全員で考える必要があります

理念を具体的に話し合われ、共有されることで、職員間で統一した考え方や意識につながり、それを通して、サービスの考え方やケアのあり方を考えること、判断する、実践することにつながります。

話し合いを持っても、話の根底のズレが生じにくくなります。

もし根底のズレが生じたとしても、このような考える機会を重ねて、戻しやすくなります。

反対にサービスのあり方を振り返る、チームケアで悩んだりした時、理念や方針に立ち戻って考えることにもつながります。

●事業所で理念や考え方が浸透する、共有されることで、どのようなことがメリットとなるのか?

⇒事業所として考え方や意識が統一されます。

◆事業所の取り組みやサービスを検討するときに、理念が共有されているとどのようなメリットがあるのか?

⇒同じ方向性での話し合いが行えます。
 判断する、行動するときに、話の芯がブレにくくなります。 
 すれたとしても戻しやすくなります。

◆職員の育成やチームケアを考えると、

⇒同じ考え方、方向性が共有できていると伝えやすく、指導も行いやすくなります。

●反対に理念が共有・意識できていないと指導や支援のあり方にバラつきが出やすくなります。

結果、経験のある職員の感覚だけでの指導となってしまうことやそれが事業所の曖昧な判断基準になってしまうことが多々出てきます。

しかしながら理念を職員全員に浸透させる、意識させることが必要なのに、難しいという現状もあります。

では一人でも多くの職員が意識できる環境をどのように作っていけば良いのか?

  1. 大切なことは毎日伝えること(朝礼や申し送りの場面を活用)
  2. 会議や職員と話す場面において、『理念』や『基本方針』を意識して繰り返し使うなどしましょう。

まとめ

管理者に大切なことは、良く気づくということ…良かった部分・課題に気づくこと課題について学ぶこと、分からないことを調べることが成長、改善につながります。また相手の言葉や行動を否定せず、まず受け入れ、なぜそのよう言葉や行動があったのかを考えましょう。そして相手に聞いてみましょう。(確認する)。

→聞いてみることが「なるほど」と気づくこと、学ぶことにつながります。そして管理者として、自分の特性→強みの活用を行い、弱みを知ることで「こう改善したい」が見えてきます

自らの成長と共に、人との新しい出会いがあり、管理者像が進化し、変化することもありますので、日々の様々な困難も管理者としての成長の機会と前向きにとらえるようにしましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加