【介護現場のOJT】食事・排泄・入浴介助

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【介護現場のOJT】食事・排泄・入浴介助

職場内教育(OJT:On the Job Training)は、日常の仕事の中で教育・指導を行うことにより実践力を高める目的があります。

さまざまな介護の場面の援助技術を学ぶということは、事故のない安心・安全のケアにつながるというだけでなく、介護の基本からご利用者ごとの心身状況に合わせたケアにも重要になります。

今回は、『職員へのOJT~食事・排泄・入浴介助~』についてご紹介しますので、皆様のサービスの質の向上にお役立て頂けたら幸いです。


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援助技術のポイント

ここでは、一般的な要旨をご紹介します。各々の介助に関する詳細は、別途介助事項マニュアル等を併用しながらOJTを行うようにしましょう。

食事介助

食事は生活全般に深く関わり、楽しい食事は健康を維持し、生活を豊かにします。

食事前の確認内容

  1. 食生活について
    回数、内容、量、嗜好、食事制限の有無など
  2. 身体機能について
    嚥下力、咀嚼力、味覚、障害の程度
  3. 体調や口腔内の観察
    顔色、食欲や口腔内、義歯の調子の確認

食事介助の準備

  1. 衛生面、室内の環境、席次の配慮
  2. 必要な用具の準備(食事用エプロン、お絞り、自立を助ける福祉用具の活用)
  3. 排泄の確認
  4. 服薬の準備
  5. 食事の姿勢の確認
  6. 目を覚ましていることの確認

食事中の介助

  1. 長時間坐位が保てなくても、なるべく起こして摂取できるようにしましょう。
  2. 介助者の姿勢はご利用者と同じ目線で行いましょう。
  3. 最初にお茶やみそ汁などを勧め口腔内を湿らせましょう。
  4. 食べやすい大きさ、形、温度に注意しましょう。
  5. 介助時は一口毎に「○○ですよ」と声をかけながら行いましょう。
  6. 食べる速度を観察し、個人のペースを見極めながら介助しましょう。
  7. 麻痺がある場合は、健側の口角より入れ、患側に食べ物が残っていないかを確認しましょう。
  8. 介助の際スプーンなどで歯茎や唇を傷つけないように注意しましょう。
  9. 途中で水分を入れていくと、飲み込みがスムーズになり、十分に水分が補給されるので、留意しましょう。

食事後の介助

  1. 食事摂取量や内容を記録しましょう。
  2. 口腔ケアを行いましょう。
  3. 食後20分から30分程度、誤嚥防止の為、座位を保持しましょう。
  4. 床への食べこぼし等は、転倒の危険があるのですぐに片付けましょう。

排泄介助

排泄はご利用者にとって精神的な自立と安定に深く関わる為、人間としての尊厳を守り配慮の行き届いた排泄方法で個別に介助しましょう。

トイレでの介助

  1. 声かけは、ご利用者の羞恥心に配慮し周囲の方に聞こえない工夫しましょう。
  2. トイレ間での通路は障害物を取り除きましょう。
  3. 移乗や座位保持を安定させる為、健手側に手摺りのある方のトイレへ誘導しましょう。
  4. 車椅子からの移乗時は、手摺りのなるべく高い位置を握って頂きましょう。
  5. 状態によりトイレットペーパーは事前に用意し渡しておきましょう。
  6. 終了時の伝え方の確認をしておきましょう。
  7. 適時声をかけ、様子確認を行いましょう。

おむつ介助

  1. おむつ使用は、自尊感情の喪失などマイナスの感情を発生させやすいので、精神的ケアに十分留意しましょう。
  2. 外陰部清拭は尿路感染等を防ぐ為、前から後ろにむけて行い、状況に応じ外陰部洗浄を行いましょう。
  3. 排泄物や背部の発赤、肛門周辺の皮膚の状態を観察しましょう。
  4. おむつのズレ、ヨレ等がないよう留意し衣類の中心線が身体の中心にくるように、整えましょう。
  5. 一人ひとりの介助終了ごとに手洗い、消毒を行い、職員を媒介とした感染等の発生を予防しましょう。

入浴介助

入浴は身体の清潔を保つ最も効果的な手段であり、心身を爽快にし、生活の楽しみともなるものです。

入浴前の確認内容

  1. ご利用者の意思を尊重し、身体の清潔に関しての意欲を高めるような関わりをしましょう。
  2. 身体状況の確認
    ・主治医の入浴許可の確認
    ・健康チェックによる入浴可否の判断(バイタルサイン測定)入浴が不可の場合、清拭の可否も合わせて検討します。
    ・水分摂取状況の確認

入浴前の留意点

  1. 浴室、脱衣室の室温・・・26℃~28℃に調整
  2. 湯温の確認・・・・・・個人差はあるも概ね40℃前後
    (夏場39℃~40℃、冬場40℃~42℃)
  3. 排泄の確認
  4. 室内環境の確認・・・・・・プライバシーの保持
  5. 安全を確保する為の福祉用具(滑り止めマット、回転盤等)の活用と準備
  6. 石鹸、シャンプー、タオル類等必要備品の準備

入浴中の介助

  1. 浴室内での移動は身体を支え誘導しましょう。
  2. 介助者自身が湯温を確認してからご利用者の足元にシャワーをかけ確認をし、全身にかけます。麻痺側は温度の感覚も鈍いので必ず健側で確認しましょう。
  3. 洗髪、洗身の、出来る部分はご本人に行って頂きましょう。
  4. 入浴時間は15分から20分を目安とし、浴槽には2分~3分、心身のご負担に配慮し、長湯は避けましょう。
  5. 上がり湯をかけてから、上がって頂きましょう。

入浴後の介助

  1. あら拭きをしましょう。(湯冷めを防ぐ効果があります)。
  2. 身体を拭いて着衣しましょう。
  3. 頭髪はドライヤーで乾かし整髪をします。ドライヤーの温度にもご利用者へお声がけをしながら注意しましょう。
  4. 入浴後は必ず水分補給を行いましょう。
  5. 気分の確認を行い、記録をしましょう。

まとめ

介護の基本は、『尊厳の保持』と『自立支援』ですが、具体的には一方的な介護ではなく、利用者に常にお声がけをしながら、「できる所はご自分でやって頂く」という自立支援に務めるということです。

介護現場では、つい忙しいとついそのことを忘れ、職員がやってしまいがちになります。OJTの際には、『時には手は出さず見守る』ことも介護の一つであるということも職員へご指導下さい。

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