認知症ライフパートナーとはどのような資格?受験概要と取得するメリットを解説

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認知症ライフパートナー 受験 資格

介護に関する資格の中で、認知症の方へのサポートを目的としたものが「認知症ライフパートナー」です。2009年に開始されたまだ新しい資格ですが、高齢化が進み認知症の高齢者も増加する中、介護の現場で必要とされる知識や技術も習得できるとして注目されています。

今回は、そんな認知症ライフパートナー検定試験の内容や取得するメリット、各級の試験内容などの詳細情報をご紹介します。

認知症ライフパートナー検定試験とは?

認知症ライフパートナー 検定試験

認知症ライフパートナーとは、一般社団法人日本認知症コミュニケーション協議会が2009年に開始した民間資格です。認知症を患っている方の過去の生き方や生活、価値観などを尊重しながらご本人やご家族に寄り添い、その人らしく暮らせるようにサポートすることを目指します。

1~3級まで3段階のレベルがあり、認知症高齢者の介護施設で働く介護職員のほか、認知症の家族を持つ方がご家庭でのケアに役立てたいと受験するケースも増えています。

認知症ライフパートナーの役割

認知症ライフパートナー 役割

認知症を患っても、その人らしい生活を続けるためには、ご本人が好む音楽や運動などを生活に取り入れ、心身機能の維持改善や認知症予防を行っていくことが重要です。しかし、認知症の方の場合、言葉でのコミュニケーションが困難になり、相手の気持ちを理解してものごとを進めるのが難しくなる場合があります。
そのため、言葉でのコミュニケーションが十分にできない中でも、その方の意思や思考、感情を理解する能力や、認知症の方が好むアクティビティの運営を学び、認知症ケアに役立てていくことが認知症ライフパートナーの役割です。

認知症ライフパートナー資格を取得するメリット

認知症ライフパートナー 資格取得 メリット

認知症ライフパートナーは、認知症に特化した内容を学ぶ資格です。介護職はもちろん、作業療法士などの認知症高齢者に関わる職業の人が受験するほか、仕事には関係なくともご家族の介護に活かしたいと資格取得を目指す方いらっしゃいます。この資格を取得することで得られるメリットをご紹介します。

認知症に対するケアの質が向上する

認知症ライフパートナーの資格はあくまでも民間資格であるため、介護職員の方の給与や待遇アップにつながることは多くないかもしれません。

しかし、現場で役立つ認知症に関する知識や技術を学ぶことができるので業務に活かすことが可能です。認知症の利用者さんに対する適切なケア方法を学ぶことで質の高いケアが実現し、認知症の進行を遅らせることも期待できます。

また、利用者さんのためだけでなく、業務をスムーズに進めやすくなるというのもメリットのひとつでしょう。

介護者の心理的・体力的な負担が軽減する

認知症の症状には、徘徊や記憶障害などの代表的な症状に加えて暴力や暴言、攻撃的になるなどの周辺症状が見られることもあります。このような症状は、認知症の本人や介護者を苦しめる上、介護の負担を増す原因となってしまうのです。

認知症ライフパートナーの資格取得を通して得た知識や技術は、認知症を正しく理解した上でのケアにつながります。認知症をきちんと理解して適切なケアや対応ができれば、介護者の心理的・体力的負担の軽減にも繋がるでしょう。

認知症アクティビティ・ケア専門士の受講資格になる

認知症ライフパートナーの資格は、実務経験がなくても受験・取得が可能です。そのため、認知症高齢者と関わることが多い介護職員だけではなく、認知症のご家族がいる方、認知症の方とのコミュニケーション方法を学びたい方など、誰でも資格取得を目指せます。

認知症ライフパートナー3級または2級を取得していれば、より実践的なアクティビティ・ケアのプロを目指すための資格「認知症アクティビティ・ケア専門士」の受験資格を得られます。今後、認知症に関する知識や理解を深めたい方は、最初に取得しておくべき資格といえるでしょう。

認知症ライフパートナーの概要と級別内容・合格率を紹介

認知症ライフパートナー 概要 合格率

認知症ライフパートナーの資格には1~3級までの3レベルがあり、それぞれ異なる学習内容となっています。受験資格に関して1級のみ制限されているものの、2級と3級は介護の資格や経験がなくても受験可能です。
以前は「基礎検定(現3級)」と「応用検定(現2級)」の2種のみでしたが、2016年の制度変更に伴い、最上位資格である「1級」が新設されました。認知症ライフパートナーの受験概要のほか、1~3級までの受験資格や学習内容、合格率などをご紹介します。

認知症ライフパートナーの受験概要

認知症ライフパートナーの検定試験は年に2回、夏と冬に実施されます。受験会場は開催年や開催時期、受験する級により異なりますが、基本的に東京と大阪はすべての検定試験を実施しており、そのほかには名古屋や岡山、福岡や熊本などでも受験可能です。

受験申し込みは、日本認知症コミュニケーション協議会の公式サイト、またはFAXや郵送で行います。すべての級で100点満点中70点以上が合格ラインとなっており、2020年度より合格者の発表はホームページ上のみで行われています。

認知症ライフパートナー3級の内容

3級は、認知症という病気を理解した上で、基本的な知識や認知症の症状への対応方法やケア方法、認知症の方とのコミュニケーションなどを学びます。認知症の対応には状況の把握が重要と考え、症状に合わせた柔軟で具体的な対応方法を学ぶと同時に、コミュニケーション手法も身につけるのが目的です。

また、アクティビティを使った認知症ケアに関する知識や技術も学べるので、認知症の高齢者が利用する介護施設のほか、認知症カフェなどで働くスタッフにも役立つスキルが身につけられるでしょう。受験料は6,000円です。受験資格は設けられていないので、介護の経験や国籍、学歴などに関係なく誰でも受験可能です。

試験は約2時間を制限時間とするマークシート方式のみで、70点以上で合格となります。

認知症ライフパートナー2級の内容

2級は、認知症ケアのためのより専門的な知識を身につけ、認知症の症状に対する対応方法のほか、認知症の方に対するアセスメント手法やコミュニケーション手法を学びます。生活習慣改善などの認知症予防方法やアクティビティによる認知症ケア、加えて認知症の方を支えるための国の制度や施策を活用するために理解すべき内容も盛り込まれており、3級よりもさらに専門的な知識が求められる内容です。

受験料は9,800円です。2級も3級と同様に受験資格は特に設定されておらず、3級との併願受験もできます。マークシート方式で100点満点中70点以上が合格ラインという点も3級と同様です。試験の制限時間も3級と同じく約2時間で、併願受験をする場合は3級の後に2級の試験というスケジュールとなります。

認知症ライフパートナー1級の内容

1級は、2016年に新設されました。2級や3級よりもより深く専門的な認知症に関する知識やコミュニケーション能力、情報収集能力、マネジメント能力が求められる高度な内容となっています。指導者としての役割を担うために必要とされる技術と能力、アクティビティケアの企画や運営、地域包括ケアの活用のほか認知症の早期発見や家族支援など、認知症に関する高い知識と能力が検定合格に必要不可欠です。

受験料は14,000円で、認知症ライフパートナー2級合格者のみが受験可能です。試験方式も2級や3級とは異なり、前半のマークシート方式と後半の記述式試験で各2時間ずつの試験時間が設定されています。

2級と3級は公式テキストからの出題であるのに対し、1級では公式テキスト外からの出題もあるため難易度も上がります。

認知症ライフパートナー資格取得を目指すための勉強法とは

認知症ライフパートナー 資格 勉強法

公式テキストで過去問や模擬問題を解く

認知症ライフパートナー検定試験の問題は、1級の一部を除いてすべて検定試験を主催する日本認知症コミュニケーション協議会発行の「認知症ライフパートナー検定試験公式テキスト」から出題されます。つまり、試験対策には公式テキストを使った勉強が必須というわけです。

日本認知症コミュニケーション協議会では1~3級までの公式テキストを販売するほか、認知症ライフパートナー検定試験研究会発行の「認知症ライフパートナー検定試験基礎検定問題集」や過去問題集を取り扱っています。こちらの問題集には、出題傾向や過去問題の解説、模擬問題などが掲載されているので、公式テキストと併せて利用すれば、合格へ向けた効率的な学習ができるでしょう。

通信講座は現在受講不可能

日本認知症コミュニケーション協議会では、認知症ライフパートナー検定試験受験者向けに旧基礎検定の3級、旧応用検定の2級の通信講座を開講していました。しかし、この通信講座は2016年に受付を終了しており、現在も休講のため受講はできません。認知症ライフパートナーの受験勉強には、公式テキストや過去問題集を利用するのが合格への近道となるでしょう。

認知症ライフパートナー資格を介護の仕事に活かそう

認知症ライフパートナー 資格 活かす

認知症ライフパートナーは2級と3級なら誰でも受験でき、資格取得を通して認知症に関する基本的な知識の習得や正しい理解ができる資格です。

介護の仕事で認知症の人と接する機会がある人であれば、より認知症への理解を深めて業務に活かせるようになるでしょう。認知症ケアを仕事にする人にとっては、ぜひ取得しておきたい資格です。

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