今後の日本においては高齢化がさらに進むことが予想されます。それに伴い、認知症患者数は2025年までに700万人を超えるともいわれており、社会全体の課題といえるでしょう。
そこで注目されているのが「認知症介助士」という資格です。認知症の知識を深めて正しく理解することで、適切なサポートが行えるようになります。
介護職に携わる方はもちろんのこと、ほかの職種の方にもニーズがある資格です。本記事では、資格内容や取得方法、資格を活かせる職種について紹介します。
目次
認知症介助士とはどんな資格?
認知症介助士とは、公益財団法人 日本ケアフィット共育機構によって認定されている民間資格です。認知症に悩む人を地域や社会全体で支援することを目的として2014年に設けられました。
「認知症=要介護」とイメージする方もいますが、認知症にはいろいろな症状があり、すべての方が介護を必要とするわけではありません。認知症の症状が軽度であれば、周囲の方のサポートによって自立した生活を送ることができます。
認知症の高齢者が増えている今、困っているときに手を差し伸べてもらえる社会的支援が必要とされています。認知症介助士は認知症を正しく理解し、適切な対応方法を身につけることで、認知症の方に寄り添った「介助」を行うことを目的とした資格です。
高齢化と共に、介護福祉の現場やご家庭だけでなく、地域活動を行う中でも、認知症高齢者にと接する機会はどんどん増えています。そのため、あらゆる分野で活用できる認知症介助士の資格は、これからも需要が高まるでしょう。
認知症介助士の資格を取得する方法は2つ
認知症介助士の資格は、誰でも受講・受験可能です。介護資格を持っていない方や業界未経験の方でも挑戦しやすく、短期間で取得できることも魅力のひとつです。
ここでは、資格を取得する方法を2つ紹介します。自分のライフスタイルに合わせた取得方法を選びましょう。
財団が開講するセミナーを受講
認知症介助士セミナーは、日本ケアフィット共育機構が開講しています。公認テキストを活用し、指導員による講義とディスカッションを通して試験のポイントをしっかり学ぶことが可能です。
認知症介助セミナーを受講した同日に検定試験まで受けることができるので、短期間で認知症ケアを学びたい方にもおすすめです。試験会場や日程、時間などは公式サイトで確認して申し込むようにしましょう。
受講費用は、受講料と検定試験、公認テキスト代をすべて含めて19,800円(税込)です。検定試験対策問題集も用意されているので、対策をとってから受験したい方はあわせて活用すると良いでしょう。
独学、もしくは通信講座を受けて自宅で検定試験を受ける
日本ケアフィット共育機構では、公認テキストや検定試験対策問題集のみ購入することも可能で、それを使って自宅でも試験勉強ができます。検定試験を受ける場合、次の3パターンから選ぶことになります。
- 東京・大阪の共育センター会場に行って受験(マークシートによる筆記試験)
- 全国各地のCBTセンターでパソコン受験
- 自宅のインターネット環境で受験
いずれも公式サイトからの事前申し込みと、受験料である3,300円(税込)の支払いが必要です。また、ユーキャンなどの通信講座に申し込み、自宅で受験する方法もあります。
自宅学習は、セミナー開催場所が遠方で行けない方や忙しくてまとまった時間がとれない方、自分のペースで勉強したい方におすすめの方法です。
認知症介助士の資格が活かせる場所
認知症介助士の資格を得るとどのように活用できるのでしょうか。続いて、資格が活かせる場所について詳しく見ていきましょう。
高齢者が多い介護や医療の現場
介護施設や医療現場で働いている方は、認知症介助士の資格を取得することで知識やスキルをすぐに活用できるでしょう。認知症高齢者を対象としたグループホームは、特に資格を活かせる職場といえます。
ほかにも、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービスなどの高齢者が利用する施設でも資格が活用できます。
コンビニや百貨店などのサービス業の現場
認知症介助士の資格は、サービス業の現場でも活用できます。高齢者の人口が増加しているなか、スーパーやコンビニ、百貨店、役所など日常生活のさまざまな場所で認知症の方と接する機会も増えています。
認知症の方への対応を間違えてしまうと、トラブルや認知症の方の不安につながります。そのため、認知症に対する正しい理解を持ち、適切にサポートできる認知症介助士や認知症ケア専門士などの資格を持つ人材は、多くのサービス業でも求められています。
ご家族が認知症を患った際の介護の場面
認知症の方がいるご家庭でも、資格を取得することで知識を活用しながら日々の適切なケアやサポートが行えるようになります。また、介助方法だけではなく認知症予防の知識を学ぶことも可能です。
高齢化社会の影響から認知症介助士の需要は増えていく
今後ますます高齢化が進む日本において、認知症患者数は増加傾向にあり、「認知症介助士」の需要も高まることが予測されます。介護や医療現場、サービス業、認知症高齢者のいるご家庭、地域など日常生活のあらゆる場面でその知識は役立つでしょう。
認知症高齢者が偏見や差別意識などを持たれることのない社会にするためには、正しい知識と適切な介助方法によって社会全体で支えることが大切です。受験要件もなく短期間で取得できる資格なので、気になる方はぜひチャレンジしてみてください。