今よりもっと高い収入が得られる職に就きたいと考えている人も多いと思います。「お給料が安い」といったイメージを持たれることが多い介護職ですが、実は介護職の夜勤は給料が高く、高収入を目指す人にオススメの仕事の一つです。ここでは、介護職の夜勤ではどのような業務を行うのか、夜勤手当の相場や給料はどのくらいなのか、詳しく解説します
目次
介護の夜勤の仕事内容は?
介護職における夜勤の業務は、主に入居型の施設における利用者さんの就寝の準備やお手伝い、排泄介助、起床時の介助などです。このほか、夕食・朝食の準備、服薬が必要な利用者さんには服薬における介助なども行います。多くの家庭で入浴は夜にするでしょう。しかし、介護施設では入浴は日中に済ませることが一般的です。また、日中はレクリエーションをして過ごしますが、夕食以降にすることはほぼありません。そのため、入浴介助やレクリエーションがらみの業務がなく、日勤と比較すると夜勤は業務量が少なめです。
利用者さんが就寝してしまえばあとは安否を確認することがメインとなり、みなが安心して過ごせるよう、1~2時間に1回程度の見回りを行います。様子が急変する可能性もゼロではないため、呼吸におかしなところはないか、体調に変わりはなさそうかなど慎重に確認することが必要です。利用者さんがベッドから降りようとして転倒するなど突発的な事態が起こることもあり、臨機応変に対応することが求められます。とはいえ、施設によってはコールがなることも稀で、夜勤の間ほぼ待機しているのみといったケースもあります。
夜勤の勤務時間
勤務はシフト制で、2交代制のところもあれば3交代制のところもあります。施設によって時間に多少のずれはありますが、それぞれ次のような勤務体制です。
- 2交代制:夜勤は午後5時~翌朝10時、1~2時間の休憩をはさみ16時間勤務
- 3交代制:日勤・準夜勤・深夜勤などがあり、深夜勤は午後10時~翌7時、1時間の休憩をはさんで8時間勤務
休憩は1時間程度のことが一般的ですが、施設によっては2時間のところもあります。持ち込んだ夜食を食べたり軽く仮眠をとったり、過ごし方は様々です。2交代制と3交代制のどちらかは介護施設によって異なりますが、8割を超える施設が2交代制を採用しています。
介護の夜勤は高収入!
夜勤業務に対しては、ほとんどの施設で夜勤手当が支払われます。これは、夜勤をした介護職員に対し、通常の給料に加えて別途支給される手当のことです。1回の夜勤あたりいくらと決まっているとことが一般的で、その金額は施設によって異なります。仮に、夜勤手当が5000円の施設で2回夜勤をすれば、通常の給料に1万円のプラスとなります。2交代制を採用している介護施設で16時間の夜勤をする場合、1ヶ月に働けるのは10日間程度のため、その月の給料は通常の金額プラス5万円(5000円×10回)です。
介護職は薄給なイメージを持つ人もいますが、夜勤をがんばれば月収で25万~30万円程度になるケースも珍しくありません。
夜勤手当とは?
なるべく夜勤をしてたくさん稼ごうと思った人もいるでしょう。しかし、実は夜勤手当の支給は法律上義務づけられているものではありません。介護施設を運営する会社は「夜勤手当を支払うかどうか」を決めることができ、たとえ支払わないことにしたとしても法的な問題は特にありません。つまり、「夜勤手当が1回1万円支払われる」介護施設もあれば、「夜勤手当を設定していない」介護施設もあるのです。
法律で決まっているのは「深夜割増賃金」
夜勤手当を支給しない介護施設で夜勤をしても、日勤時の給料と変わらないのかというと、そうではありません。従業員が夜勤をした場合、事業所は法律で深夜割増賃金を支払うことが義務づけられていて、不払いの場合は労働基準法違反となります。
割増の金額は、日勤の際の給料の1.25倍以上です。施設によっては1.5倍などさらに高い割合で支給していることもあり、これは法的に問題ありません。1.25倍より少ない割合の場合は、違法です。
なお、仮に夜勤の時間帯が17時から翌朝5時までであったとしても、すべての時間帯の賃金が割増対象となるわけではありません。深夜割増賃金の対象となるのは、午後10時から翌朝5時までの間のみです。
深夜割増賃金の計算方法
一般的な2交代制における夜勤の時間帯である午後5時~翌朝10時に勤務したとして、深夜割増賃金の具体的な計算方法を見ていきましょう。計算するにあたって、まず1時間あたりの給与額を算出することが必要です。これは、諸手当を除いた1ヶ月の給与を月平均の所定労働時間で割れば算出できます。仮に、基本給が20万円、1ヶ月の平均所定労働時間数を160時間とした場合、計算式は以下のとおりです。
・20万円÷160時間=1250円
夜勤の際に発生する割増賃金には、次の2種類があります。
- 深夜割増(午後10時~翌日5時):1250円×1.25倍
- 時間外割増(8時間を超えた分):1250円×1.25倍
※深夜割増と時間外割増が重なる時間帯:1250円×1.5倍
それでは、以下で具体的に計算してみましょう。
- 17:00~22:00(1時間休憩):4時間×1250円=5000円
- 22:00~2:00:4時間×1250円×1.25円=6250円
- 2:00~5:00:3時間×1250×1.5=5625円(8時間超えたため深夜手当と時間外手当が重なる)
- 5:00~10:00:5時間×1250円×1.25円=7812.5円(50銭以上は切り上げのため7813円)
1から4を足すと、24,688円となります。
夜勤手当の相場(平均)は5,000円~7,000円
多くの介護施設で支給されている夜勤手当の相場はいくらくらいでしょうか。「2019年介護施設夜勤実態調査結果」によると、正規職員の夜勤手当の平均額は以下の通りです。
- 2交代制勤務:6,125円(前回調査時はは5,747円)
- 3交代制勤務:3,317円(準夜勤、前回は3,290円)/4,242円(深夜勤、前回4,190円)
ただし、3交代勤務は有効回答数が全体で11施設と非常にサンプルが少なく、1施設当たりの金額の過多で平均額が大きく変動するため、参考値です。
2交代制を採用している施設の種類別で、最高額・最低額を紹介しましょう。
最高額のうち、もっとも高かったのは老健の15,157円で、もっとも低かったのは短期入所の7,957円です。
7,000円以上の差があり、施設によってかなりの違いがあることがわかります。また、最低額はグループホームと短期入所で、わずか1,500円でした。
夜勤専従という働き方もある
介護施設には、夜勤専従という働き方があります。これは、日勤、早出、遅番、夜勤といったさまざまな形態のなかで、特に夜勤を専門とするスタッフのことです。
日勤者と入れ替わりで夕方から翌日の朝にかけて働き、16時間勤務(1時間休憩)になることが多いです。なお、労働基準法では「原則として1日の勤務時間は8時間」と定められていますが、夜勤専従の場合は長時間勤務が基本のため、変形労働時間制が適用されます。これは、「1週間の労働時間が40時間を超えていないときは1日8時間を超えて労働できる」とするものです。
夜勤専従者は、1週間の総労働時間が40時間を超えないようにしなければなりません。調整のため、夜勤明けと次の日は休みになるなど休日が多くなり、1ヶ月当たりの出勤日数はおよそ10日程度となることが一般的です。ただし、3交代制の介護施設であれば1回あたり8時間程度の勤務となるため調整の必要がなく、日勤者と同じように1ヶ月に20日程度は勤務日があります。
夜勤専従の働き方がおすすめな人
夜勤はつらいイメージがある人もいるでしょう。しかし、夜勤専従にはさまざまなメリットがあります。たとえば、1ヶ月10日程度の勤務で日勤よりも高い収入を得ることができ、生活リズムも整いやすい点などです。以下に述べる人は、夜勤専従で働いてみるのがおすすめです。
- 少ない日数でなるべく多く稼ぎたい人
- 夜型で、夜に働いて朝や昼間はゆっくり過ごしたい人
- プライベートの時間を充実させたい人
夜勤専従者の場合、1週間に出勤する回数は2~3回程度です。2交代制勤務で16時間程度の夜勤をする場合、夜勤明けの日とその翌日は続けて休みとなり、1日半以上の時間を自由に過ごせます。昼間の時間を有効活用すれば、副業をしてさらに収入を得るといったことも可能です。
効率よく稼ぎたい人におすすめ!
介護の夜勤の内容や手当について理解できたでしょうか。夜勤専従になると、勤務日数のわりに日勤よりも高い収入を得ることも可能です。効率よく稼げる仕事を探している人、プライベートの時間が欲しい人などは、介護の夜勤専従という働き方もおすすめです。また、現在介護職で働いていて待遇や給料に不満がある場合、別の施設に転職することで解決する可能性があります。夜勤の手当が充実している施設で給料アップを目指してみてはいかがでしょうか?