食事は単に栄養を摂取するというだけではなく、お客様にとって楽しみのひとつです。存分に楽しんでいただけるような工夫をしましょう。
また、1日1500kcal以上の摂取を目安に低栄養にならないように注意しながら提供しましょう。
今回は「高齢者の食事:味付け・盛り付け・配膳・環境整備」についてご紹介いたします。皆様のお食事の提供にご活用頂けたら幸いです。
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目次
味付け・盛り付けの工夫
(1)減塩の工夫
・減塩醤油をだしで割って使用 ・レモン・しょうが・酢・香草などを使用 ・1つだけしっかり味付けし、それ以外を薄味にする |
味覚が鈍って濃い味付けを好むようになった高齢者の場合、高血圧の原因となる塩分の取りすぎが心配されます。
食事量は年とともに減る傾向ですが、70歳以上の人の1日の食塩摂取量は30~40歳代の人とほぼ同じとの統計結果もあります。
(2)揚げ物の工夫
・エビ・イカは弾力があるため、細かく刻んで、かき揚げにする ・衣は薄く仕上げる ・天ぷらは天つゆに浸してやわらかくする |
(3)汁物の工夫
・片栗粉を使用しトロミをつける ・市販のトロミ剤を使用する |
汁物やスープのようにさらさらした液状の料理は、口から喉に入ってくる為むせやすいです。むせて咳き込むと食事がつらく感じることや、体力を消耗してしまいます。
(4)視覚の工夫
高齢者の中には肉料理、お寿司、卵焼きなどがそのままの大きさだと食べづらい方もいます。そんな時はキッチンバサミ等で小さく切ります。
ただ、食べやすいとはいえ、最初から小さく切った料理を出されてしまうと食事の楽しみが半減してしまいます。切る前に「こんな料理ですよ」ときれいな盛り付けを見せると、それだけで食事の楽しみのひとつになります。
(5)食事介助の工夫
自分で箸やスプーンを持ってお食事ができる場合は、自立支援のためにも介護者が食べ物を入れる介助はなるべく最小限にしましょう。
食欲を感じてご自分で食べ物を口に運ぶ行為は、自立して生きる意欲にも繋がります。
食事介助を補ってくれる介護用品を随時取り入れ、食欲を保ち、引き出す配慮をしましょう。
配膳の工夫
お客様に食事を提供するときは、少しでもおいしく食べていただけるように、配膳の工夫を心がけましょう。
(1)おいしく食べられる雰囲気作り
・旬のメニューを取り入れ、季節感を感じていただく ・食膳が見える位置(約30cm以内)に置く 好きな順番で、彩りを楽しみながら食べられます。 ・きれいな飾り付けを見せたり、食材を目の前でほぐしたり切る お客様に食材の形を見てもらったり、匂いをかいでもらったりして どんな食材かを認識していただけるようにしましょう。 |
(2)安全への配慮(視覚障害、認知症の方への注意点)
・「ここにおかずもありますよ」「おつゆはまだ熱いですよ」等、注意を向けるような声かけをする ・食器の位置や配列を一定にし、混乱を招かないようにする ・食器が動かないように、滑り止めのついた食器やマットを使う ・危険な物を近くに置かない (つまようじ、食べられない飾り、熱い汁物、わさび等) |
食事環境を整える
(1)お客様の目が覚めているか確認をする
しっかり目が覚めていない時やボーッとしている時は、食欲が湧かなかったり誤嚥の危険性が高くなったりします。
生活リズムを整え、食事の時間を一定にする、食べ始める前に声かけをする等を行って確認しましょう。
(2)食事の姿勢に注意
健康な人でも、寝たまま食事をしたり、ギャッジアップしたベッドでもたれたまま食事をしたりすると、誤嚥の可能性があります。
快適に食事をしていただくためにも、できる限りベッドから離れてイスに座る等(座位姿勢)、前かがみの姿勢で食事をして頂きましょう。
(3)食事に集中しやすい環境を作る
あちこちに意識が向いてしまって食事に集中しにくい方には、食事中だけテレビやラジオを止めたり、食べるペースを落とすために、ゆったりとした音楽をかけてみましょう。
お客様の生活スタイルなどを考慮しながら、ゆったりとした気持ちで食事をとっていただきましょう。
まとめ
人が、健康的で自立し、尊厳ある生活を送るためには、衣食住にかかわる行為を適切に行う必要があります。
ADLが自立していれば、ほとんどの場合問題なくこなすことができるようなことでも、要介護状態になるとできなくなってしまうことがあります。
ご本人やご家族でお食事作り等ができない場合や施設内において自立した生活を支援するためにお食事の提供サービスがありますが、これらも人が健康的で自立し尊厳ある生活を送るためのサービスの一つですので、積極的に利用してお食事の時間を楽しんで頂く工夫を心がけて下さい。