介護事業のコンプライアンス~違反と業務管理体制~

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介護事業のコンプライアンス~違反と業務管理体制~

皆さんは介護保険制度の中で利用者にサービスを提供しています。そして利用料金の7~9割を国に請求し、事業が成り立っています。したがって、介護保険法や事業に伴う様々な法律に沿ったサービスを提供するのは当然のことです。

今回は『介護事業のコンプライアンス~違反と業務管理体制』をご紹介します。

皆さんの施設や事業所においての入職時や年1回以上に行う法令遵守研修の際にご活用を頂けたら幸いです。


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コンプライアンス違反とは

コンプライアンス違反とは

コンプライアンス違反の発生要因

「人が不正行為をする際には3つの要素がある」という不正のトライアングル理論をアメリカの犯罪学者D.R.クレッシー氏が導き出しました。

3つの要素とは、不正を行うための「動機」、不正を行う「機会」、不正を行うことを「正当化」のことで、これらが揃うと人は不正行為をしてしまうとされています。

以下の例を参考に考えてみましょう。

身体拘束・虐待

例)介護現場で人手が足りず(=動機)、車いす用テーブルがあったため(=機会)、利用者の転倒防止が目的なので問題ないと思った(=正当化)

会社ルールの未実施(報告

例)失敗を隠したい(=動機)、事故や苦情が発生してしまったが事実は自分しか知らない(=機会)、会社に報告を上げると自分も含め事業所の評価が下がってしまう(=正当化)

金銭事故

例)お金が無くて困っている(=動機)、会社の小口現金・預金・現金領収などは担当の自分一人しか把握していない(=機会)、一時的に借りるだけで、締め日には返金すれば良い(=正当化)

コンプライアンス違反を起こさないために

不正行為を防ぐために、それぞれの要素に対し防止策をまとめました。

「動機」を作らせない防止策

「動機」が私生活に関わることであれば会社側が立ち入ることはできず、完全に排除することは難しいとされています。

それでも、コミュニケーションを頻繁に取り、同僚や部下が何を考え、何に悩んでいるかの感度を磨いておくことが大切です。

「機会」を与えない防止策

業務の専門性が高く担当者以外の職員は内容を把握できていない、業務に関する権限が特定の職員に集中している、などの場合や、そもそもそういった状況にならないには、ダブルチェックや会社ルールの形骸化などを進めることが大切です。

「正当化」させない防止柵

「機会」や「動機」があったとしても「正当化」できなければ不正行為は起こりにくいものです。従って、不正行為を「正当化」できないような意識改革が重要になります。

自分の仕事の内容を他人に見られるのを嫌がる、隠ぺい工作のため早期出勤、残業、休日出勤が目立つ、不正発覚を恐れるため部署異動を拒むなど、同僚や部下の違和感に気づけるような関係性づくりが大切です。

相談出来る環境の構築により解決策を見いだし、不正行為を未然に抑制する働きかけが非常に有効となります。

業務管理体制について

業務管理体制について

業務管理体制の理解

業務管理体制とは、不正事案の発生防止の観点から、事業者が関係法令や社内規程などを遵守し、会社の掲げる理念や倫理に沿って適正な事業運営を行うための組織としての仕組みのことです。

また、全ての事業者で「法令遵守責任者(※)」の選任が定められており、事業者自ら法令遵守の方針を策定し(Plan)、方針に沿って規程や体制を整備し(Do)、定期あるいは随時評価及び見直しをし(Check)、必要に応じて改善活動に取り組む(Action)必要があります。

サービス提供における法令遵守の意義及び重要性を認識し、業務管理体制の整備・確立、有効性の評価を行う担当者のこと

不正が起こらないための職場環境づくりを心掛けよう

不正が起こらないための職場環境づくりを心掛けよう

「風通しの良い」とは、風が吹き抜けること(吹き抜けているさま)とその具合を表す言葉ですが、「風通しの良い職場環境」と置き換えると、

・包み隠さず相談・報告ができる職場

・会社の案内・情報、事業所内での情報共有・意思の疎通と円滑に図ることができる職場  と考えることが出来ます。

日頃から、施設・事業所全体で『見て見ぬふりをしない ・日頃から誠実に ・正直に包み隠さず』といった環境構築に取り組むことで、コンプライアンス違反が起きにくい職場にすることができるのではないでしょうか。

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