なぜ手書きなの?介護記録を電子化するICT導入のポイントとは

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なぜ手書きなの?介護記録を電子化するICT導入のポイントとは

手書きの介護記録を卒業して電子化を進めたい、IT機器導入で業務効率化をはかりたい!でもどう進めたらよいか分からない…本記事ではそんな悩みを持つ事業所に、ICT導入のメリットや進め方、活用方法までをガイドします。補助金の説明もありますので参考にしてください。


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なぜいまだに介護記録が手書きなのか

介護事業所では、いまだに介護記録を手書きでおこなっているところが多い印象があります。

しかし、令和3年度の調査では、ICT機器を活用して介護記録をはじめとする利用者情報を共有している事業所は52.8%で、およそ半数程度であることが見てとれます。前年度は50.4%で微増しており、ゆるやかではではありますがICT化は進んでいるといえるでしょう。

出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和3年度『介護労働実態調査』結果の概要について」より

サービス形態別でみると、入所系の施設が71.1%ともっとも「利用者情報の共有をICTで活用している」割合が高く、居住系や在宅系の事業所の数字が低くなっています。そして「いずれも行っていない」と回答した事業所は、全体の22%にのぼります。

介護業界は他業種と比較すると、圧倒的に紙ベースでの書類のやりとりが多い業界です。契約書に始まり、ケアプランや計画書などさまざまな様式がありますが、紙で交付することが当たり前の流れになっていました。そのためか、介護記録も手書き方式が当然といった空気感がありました。

介護業界にICT化が浸透しにくい理由としては、従来から人と人とのふれあいを大切にする業界だからともいえます。介護現場では、電話やメールで間接的に対応するよりも、直接の対面、介助を求められることが往々にしてあります。

そして利用者を既往症などのデータとしてとらえずに、全人的なケアをめざすような教育が施されていることもあり、非言語的な情報に価値をおくことが推奨されています。それが結果的にICT化の遅れを生み出し、手書きの記録や帳票整備から抜け出せない要因かもしれません。

いずれにしても、介護記録は利用者の状態を共有し、よりよいサービスの提供のためには欠かせないものです。介護記録の書き方で迷ったときには、以下の記事を参考にしてください。

関連リンク:介護記録の書き方と効率的に書くコツ!(例文付き)

手書きの記録を電子化するには?

手書きの記録を電子化するためには、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのIT機器の活用が求められます。IT機器を活用するためには、インターネット環境や介護ソフトなどの導入も必要です。

また介護ソフトやIT機器を操作するために、職員への指導も必要になるでしょう。職員のなかには、IT機器に対して苦手意識を持つ人もおり、時間をかけて丁寧に指導をすることが求められます

介護現場でIT機器を導入する際には、以下の記事も参考にしてください。

介護現場におけるICT化のメリット・デメリット

介護現場でICT化をすることによって、さまざまなメリットが生じます。その反面、介護現場でICT化が進まないのは、デメリットを解消することが難しいということも理由のひとつです。どのようなメリットとデメリットがあるのかを比較してみましょう。

ICT化のメリットとは

介護現場のICT化には、メリットが多くあります。

  • 情報共有がリアルタイムでできる
  • シフト作成などの事務作業軽減
  • 業務効率化によってケアの時間が増える
  • 社会的な話題やPR効果(採用活動など)
  • ペーパーレスが目指せる
  • 過去の記録がケアに活かせる
  • 勤怠・労務管理の一元化ができる
  • LIFEの対応ができる
  • 介護記録からヒヤリハット報告書の記載などの、重複記録の記載が削減できる

ICT化のメリットの多くは情報の一元化と業務効率化によるもので、それによって現場業務に時間が割けるということが最大のメリットといえるでしょう。電子化された記録は情報の抽出が簡単にできるので、紙の記録にすべて目を通し、探すよりも大きく時短ができます。

また近年ではLIFEへの対応も求められるようになり、電子化のメリットは事業所の収益にも影響しつつあります。

ICT化のデメリットとは

介護現場のICT化を妨げる要因となるデメリットを見てみましょう。

  • コストがかかる
  • 運用までの手間がかかる
  • 反対する職員が出ることが想定される
  • 加算取得が難しくなる

ICT化のデメリットとして真っ先に挙げられるのが、導入にかかるコストの問題でしょう。パソコンやタブレットなどの購入費をはじめ、インターネット環境や介護ソフトなど、初期費用がかかってしまいます。小規模の事業所であれば、なかなかICT化に踏み切れない場合もあるかもしれません。

また職員のなかには、IT機器に対する抵抗感が強く、ICT化に反対する人も少なくないでしょう。そのようななかで無理に進めてしまうと、職員の不満が、場合によっては退職につながる危険性もあります。それを回避するためには、慎重に共有、指導をしながら、場合によっては手書きと併用しつつ、時間をかけて進めていくとよいでしょう。

ICT導入のための具体的な進め方とは

ICT導入をスムーズにおこなうためには、移行のための準備を入念におこなうことが重要になってきます。ソフトウェアやハードウェアの準備、職員への共有・指導だけでなく、ケアマネジャーや利用者、ご家族への周知なども必要になります。

記録の電子化を進めるうえで重要なことは、現在の業務においてどのような課題があるのかを明確にすることです。課題に対して、記録の電子化がどのような役割を果たすのかを明らかにするためにも、課題抽出は事前におこなうようにしましょう。その上で、どのような介護ソフトを使用すれば課題が解決されるのかを検討するとよいでしょう。

勉強会や指導を行いやすい環境

IT機器に対して苦手感の強い職員に対しては、マンツーマン体制で勉強会をおこなうなど、指導、理解をしやすい環境を作ることが大切です。ICT化に積極的な職員を中心として、ICT導入の担当者やチーム編成を行うと、勉強会の計画を立てやすくなります。若手のデジタルネイティブ世代に役割を割り振ることで、世代間の交流も生まれます。

タブレットやスマートフォンを使う場合は、「電源を入れる」や「メールを開く」などの基本的な操作から、本人の習熟度に合わせてゆっくり指導するのがポイントです。わかりやすい簡易的なマニュアルを用意するのもよいでしょう。

普段パソコンに触れていない人の中には、キーボード入力が難しく感じる人もいるため、音声入力の活用もおすすめです。

補助金の申請も効果的

ICT化にあたって必要となる初期費用は、補助金を申請することでまかなえる可能性があります。

インターネット環境やIT機器の整備のために一時的に大きな資金が必要となるため、小規模な事業所にとっては大きな負担になってくることでしょう。補助金を活用することで、その負担を軽減することが可能です。

東京都では「デジタル機器導入促進支援事業」をおこなっており、補助上限額が最大260万円で、対象となる経費も幅広くなっています。自治体によって補助の内容が異なる場合があるため、ホームページ等で最新の情報を確認してください

出典:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和4年度デジタル機器導入促進支援事業」より

補助金は、事前に定められた予算の範囲内での補助実施であり、申込みが多数あった場合は補助の対象にならない場合があるため、早めの申請をおすすめします。また申請期間も短いため、ベンダーとの連携も重要となります。

ICT化で手書きの介護記録を卒業しよう!

介護現場でICT化に取り組むことで業務の効率化を生み、現場の優先業務に注力できるようになるため、結果的にケアの質が向上しやすくなります。

介護記録の電子化は、パソコンに限らずモバイル機器を活用することもできます。介護記録を書くためにファイルのある場所へ行く必要がなく、その場でタブレットやスマートフォンを用いて記録を入力することができるのです。現場の状況をより具体的に伝えるために写真撮影によるリアルタイムな情報共有ができるため、関係者間の連携もスムーズになるでしょう。

介護記録を電子化することは、介護現場の業務効率化やサービスの質の向上においても大きなメリットがあるといえます。質の高いケアを実践し、コロナ禍で巻き返す、激しい競争の中で生き残るためにも、手書きの介護記録を卒業し、業務効率化だけでなく円滑なコミュニケーションを検討してみるとよいでしょう。

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