【完全ガイド】介護現場のIT化・導入の手順

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介護現場のIT化・導入の手順

介護現場は紙ベースでの業務が多いため、IT化を進めることで大きく業務改善の期待が出来ます。ICT機器やシステムの導入で便利になることは理解していても、職員の抵抗感やコストなど、さまざまな課題があるのが現状でしょう。

本記事では、IT化で解決できる介護現場の課題を解説し、導入の手順を具体的に説明しています。補助金についても説明していますので、導入を検討している施設や事業所、導入後の効果を知りたい人はぜひ参考にしてください。


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介護現場のIT化で解決できる5つの課題

介護現場のIT化で解決できる5つの課題

法令順守の帳票整備に多くの時間を費やし、交代勤務の中で情報共有や連携に手間がかかるなど、介護の現場には多くの課題があります。IT機器を導入することで改善が見込まれる課題5点を解説します。

1.事務作業の効率化

厚生労働省の調査によると、ICT導入の効果として「間接業務の時間が削減された」という回答がもっとも多くなっています。次いで多い回答が「業務管理が効率化された」です。効果として、事務的な作業が削減され、業務の効率化につながっているといえるのではないでしょうか。

ICT導入の効果

ICT導入の効果
出典:厚生労働省老健局「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ

同調査内の別のデータでは、記録の電子化やクラウド化によって記録に要する時間が減っているという結果が示されています。その反面、記録が充実しているという回答も多く、記録に関する業務効率化が実感できていることがうかがえます。

削減した記録業務時間

ICTによって削減された記録業務時間
出典:厚生労働省老健局「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ

実際にどの程度の間接業務時間が削減できたかという設問に対しては、職員一人あたり「30~60分」の回答がもっとも多く、次いで「0~30分」となっています。

削減した間接業務時間

出典:厚生労働省老健局「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ」N=2553事業所

注目したいのは、1時間以上の削減ができているという回答が全体の3割以上を占めているところです。180分以上と回答した事業所も1割に達しており、IT化によって事務作業の効率化が十分に達成できていることを示しています。

業務効率化によって無駄な残業を減らすことにもつながるため、事業所としてのメリットも大きいでしょう。また、重複記録の削減にもつながり、さらなる効率化が期待できるとともに、令和3年介護報酬改定で明記されたBCP対策などの時間を確保することも可能になります。

2.情報共有や連携の効率化

IT化によって記録を電子化することにより、情報共有がスムーズになったと回答した事業所は7割近くにのぼっています。

情報共有

ICT導入後の情報共有
出典:厚生労働省老健局「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ

介護保険施設内における情報共有の状況としては、「バイタルデータ」や「サービス提供記録」などの回答が圧倒的に多くなっています。

情報共有のスピード感と質が向上することで、適切な対応が可能になり、ケアの質の向上が見込めます。また、ケアに必要な情報をタイムリーに確認できるため、リスクヘッジにつながる利点もあるのです。

介護保険施設における情報共有の状況

介護保険施設における情報共有の状況
出典:厚生労働省老健局「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ

居宅系サービス事業所における、計画書のデータ連携の状況を見てみましょう。ほぼ3/4の事業所で、自法人内事業所との連携が取れていると回答しています。

居宅系サービスにおける居宅サービス計画のデータ連携の状況

居宅系サービスにおける居宅サービス計画のデータ連携の状況
出典:厚生労働省老健局「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ」N=1861事業所

これは、法人内で同じソフトウェアを使用していることが良い情報連携をもたらしているといえるのではないでしょうか。IT化促進の流れの中で、導入する事業所が増えていくことにより、他法人事業所の割合も比例して増えていくでしょう。

3.動画コンテンツを利用した教育・研修

介護は対面でのサービス提供が基本なので、OJTによる指導が重要視される傾向があります。しかし、交代勤務制の職場では、職員全員が集まって行うミーティングや研修が難しい面があります。しかしOFF-JT(現場を離れて行う教育)に動画コンテンツを取り入れる方法で、このような課題を解消することができるのです。

動画コンテンツを視聴することができれば、業務の空いた時間に何度でも繰り返し視聴することができます。指導を受ける対象者が増えたとしても、感染症の影響を受けることはなく、指導する職員の負担軽減というメリットもあるでしょう。

4.IT技術活用による職員負担の軽減

日本福祉大学の研究調査によると、介護職員の腰痛有病率は70%以上となっており、身体的な負担が非常に高いことがわかります。介護職員の負担を軽減するためには、センサーやリフト、ロボットなどのIT技術の導入が効果的でしょう。

5.生産性の向上による職員還元

事務的な業務の見える化をすることで、無駄な残業がなくなり、人件費削減と生産性を向上させます。収益が増えることは、職員としてもメリットが大きくなり、インセンティブ制度導入などの可能性も出てくるでしょう。職員還元があることで、モチベーションアップの効果が期待されます。その積み重ねが職員満足度の向上や、職員の定着や採用につながります。

介護現場に導入したいITツールと導入手順

介護現場に導入したいITツールと導入手順

介護現場にITツールを導入する際に、まず何から始めたらいいのか迷う方も多いことでしょう。介護現場によって必要になるツールには差がありますが、一般的に重要度の高いものを紹介します。

通信環境の整備

一番最初に考えるべきは、通信環境を整えることでしょう。Wi-Fiで無線化する場合には、建物の構造や周辺の環境など影響を受ける要素を考えて、適切にチャンネル設定をする必要があります。同時に接続する端末の台数や、動画閲覧などの通信ボリュームを考慮した設定が望まれます。

自社の課題に対応したソフトウェアの選択

ICT機器を導入した場合、自社が抱える課題がどのように解決されるのか、業務フローがどう変わるのかを検討しましょう。シフト作成や勤怠管理などにかける時間を削減すると、現場のケアやアセスメント、評価にかける時間を増やすことができます。バイタルデータや介護記録を一元化することで、リスクヘッジやケアの質の向上も見込めます。導入の機会に見直しをすることで業務の効率アップが期待できるでしょう。

介護業界には、人員配置基準や加算要件など、特有の複雑な制度やルールがあります。定期的な制度の見直しもあるため、最新の制度に対応したクラウド型の介護専用シフト・勤怠管理ソフトを選択するとよいでしょう。

たとえば、シフト作成や帳票出力などの煩雑な業務を削減したい場合、介護事業者専用のシフト管理システム「CWS for Care」ならそれらをワンストップで作成してくれます。情報の一元管理によって、面倒な作業をカンタンにおこなえるのが大きなメリットです。介護業界に特化した勤怠管理システムで、面倒なシフト作成の手間を大きく削減してくれます。

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ICT機器の導入

介護現場にICT機器を導入すると、記録や情報共有をタイムリーに行うことができるようになります。スマートフォンやタブレット機器を購入し、職員に使用方法の周知をおこないましょう。

職員の中には、タブレット機器などの使用に、苦手意識を持つ方がいる場合もあるでしょう。システムの会社にも協力してもらい、使用方法をわかりやすく示したマニュアルを作成したり、システム導入に前向きな職員から指導を受けたりする工夫が必要です。職員全員が使用方法を習得するまで、紙の記録と併用する期間を設けて、時間をかけて指導するとよいでしょう。

IT導入補助金の活用

IT導入補助金は、ITツールの導入経費の一部を補助する支援金です。類型によって差はありますが、30〜450万円の補助があります。対象となるITツールは、パソコンやタブレット、プリンターなどの複合機器やソフトウェアなどです。

初期費用が補助金で軽減されれば、IT導入のハードルが下がり、導入への近道になります。

導入後の運用継続による効果

出典:厚生労働省老健局「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ

実際に補助金を受けた事業所がどのような効果を感じているか調査した結果を見てみます。

令和元年度にICT導入をして2年間運用した事業所の回答が、表の右側のグラフになります。全体的な効果として約3/4の事業所が、「間接業務の時間が削減された」と回答し、業務効率化を達成しています。次に多いのが「支援の質が上がった」、「直接ケアに当たる時間が増加した」という回答でした。

これらの結果から、本来の業務である現場の介護により職員が注力できる環境になったということがいえるのではないでしょうか。結果的に事故防止やスムーズな多職種連携につながり、利用者満足度向上も見込めるでしょう。介護事業所のIT化には、このようなよい循環を生みだす効果があります。

IT導入補助金は返済不要の資金なので、要件に該当する場合は積極的に活用しましょう。

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介護現場のIT化は職員満足度や顧客満足度にもつながる

介護現場のIT化は職員満足度や顧客満足度にもつながる

介護の現場にITを導入することは、職員事務負担軽減につながり、本来のケアプランの内容に沿った業務が行えるようになり、顧客満足度向上にもつながります。さまざまな問題を抱える介護業界も、IT化促進の流れで解決の糸口がつかめる可能性もあります。

一番大事なことは、業務効率化による労働状況の改善や人材確保、利用者に対するサービスの質を向上させて、QOL向上の働きかけをすることです。それこそが、本来の目的であることを見失わないようにしましょう。

介護事業所のIT化にあたっては、本来の目的をもう一度再確認して、施設や事業所に合った適切なIT機器やシステムの導入をされるようにしてください。

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