年次有給休暇管理簿とは?作り方や保存義務、罰則について解説

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年次有給休暇管理簿とは?作り方や保存義務、罰則について解説

従業員の年次有給休暇を管理する際に必要となる年次有給休暇管理簿。企業は年次有給休暇管理簿の作成および、3年間の保存が義務付けられています。

この記事では年次有給休暇管理簿に記載が必要な項目や記載の仕方、管理の方法までまとめました。紙・エクセル・勤怠管理システムによる作成方法について、それぞれのメリットやデメリットも解説しています。年次有給休暇管理簿の作り方で悩んでいる人はチェックしてみてください。


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年次有給休暇管理簿とは?

年次有給休暇管理簿とは、従業員の有休取得状況を管理するための書類です。従業員ごとに作成が必要で、有給休暇を付与した日や残りの日数などをまとめます。必要な項目を入れた表を作成すれば、労働者名簿もしくは賃金台帳と一緒に管理することも可能です。

企業には、この年次有給休暇管理簿の作成と保存が義務付けられています。今のところ保存期間は有給休暇の取得義務が発生する期間と、その期間終了後の3年間です。

じつは2020年4月1日施行の民法改正で消滅時効期間が延長されたことで、年次有給休暇管理簿の保存期間は5年に変更されています。現在は経過措置として、3年が適用されていますが、今後5年に延長されるタイミングがありますので気をつけましょう。

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年次有給休暇管理簿の作成が必要な労働者の範囲

企業は、年10日以上の有給休暇を与えている従業員ごとに、年次有給休暇管理簿を作成しなければなりません。1年につき10日の有給休暇を付与できる従業員は、以下に該当する方です。

  • 雇用された日から6ヶ月以上経過+全労働日の8割以上出勤
  • 条件を満たしたパートタイムなどの短時間労働者

上記の従業員のなかには管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。また、短時間労働者は以下の画像において黒枠で囲んだ部分に該当する従業員が対象となります。

週所定労働日数 1年間の所定労働日数 継続勤務年数
6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月
4日 169日~216日


7日8日9日10日12日13日15日
3日 121日~168日 5日6日6日8日9日10日11日
2日 73日~120日 3日4日4日5日6日6日7日
1日 48日~72日 1日2日2日2日3日3日3日

引用:年5日の年次有給休暇の確実な取得|厚生労働省

管理簿の作成を怠らないためにも、付与日数に関するルールをしっかり覚えておくことが大切です。また、従業員に有給休暇を付与したタイミングで管理簿を作成すると抜け漏れがなく管理できるでしょう。

年次有給休暇管理簿に記載が必要な項目

管理簿に最低限必要な記載事項は、「基準日」「日数」「時季」の3つです。以下のような表にしてまとめます。

年次有給休暇取得日数表
引用:年5日の年次有給休暇の確実な取得|厚生労働省

それぞれどんな内容を記載すべきか、次に詳しく説明していきます。

記載項目①基準日

「基準日」とは、有給休暇を付与した日付を指します。企業は、基準日を軸とした1年以内に5日の有給休暇を取得させなければいけないので、管理簿の中でも特に重要な項目です。必ず忘れずに記載するようにしてください。

有給休暇は1年ごとに付与されるため、入社した年と翌年とで有給休暇の付与した日付が異なる場合、基準日が2つ存在することになります。その場合、基準日の欄に2つ日付を記載します。

従業員ごとに基準日が異なると、管理する担当者の負担は大きくなります。記事の後半で基準日の効率的な管理方法を解説しているのでぜひ参考にしてください。

記載項目②日数

「日数」とは、基準日から1年の間に従業員が使った有給休暇の日数のことです。半日の場合は「0.5」で計算します。

勤続2年目以降で基準日が2つ存在する場合は、1年ごとの取得日数を入れてください。それぞれの日数を記載することで、年5日の取得義務を果たしているか確認できます。

もっとわかりやすく管理したい方は、有給休暇の残日数や、前年度の繰越日数なども入れるとよいでしょう。

記載項目③時季

最後に「時季」とは、実際に従業員が有給休暇を取得した日付のことです。日付のみの記載でも問題ありませんが、下記のように細かく時間が入れられる欄を設けると、半休や時間単位での有給にも対応しやすくなります。

引用:年次有給休暇取得管理台帳|厚生労働省

ただし時間単位で使った有給休暇は、取得義務化の対象とならないため注意しましょう。また、時間単位での有給休暇を取得するには事前に労使協定の締結が必要で、年5日までしか使用が認められていません。

年次有給休暇管理簿の作成方法3つ!指定の様式は?

管理簿を作成する主な方法は、紙・エクセル・勤怠管理システムの3つです。指定のフォーマットはありませんが、先ほど解説した「基準日」「日数」「時季」を必ず入れるようにしてください。厚生労働省が公表している「年次有給休暇取得管理台帳」も参考にしましょう。

次に紙・エクセル・勤怠管理システムによる管理簿の作成方法について、メリットとデメリットを紹介します。

紙に直接記入する場合

まず、紙に記入するやり方です。たとえば厚生労働省の参考様式を出力して、手書きで記入していきます。

この方法はエクセルや勤怠管理システムと違い、ITの知識がない方でも運用できる点がメリットです。ソフトが必要ないので、パソコンを持っていなくても管理できます。

一方で、手書きの場合一枚一枚対応が必要となるため、時間を要してしまう点がデメリットといえるでしょう。従業員の数が多いほど、担当者の負担は増えます。さらに紙を保管するスペースも必要です。

エクセルで作る場合

次に、表計算ソフトのエクセルで管理する方法です。厚生労働省の「年次有給休暇取得管理台帳」はエクセルの数式が組み込まれているファイルですので、ソフトさえあればそのまま使うことができます。

エクセルであれば、数値を入れるだけで、自動計算できるため、紙に比べて入力の手間を減らせるでしょう。従業員のパソコンにエクセルのソフトが入っていれば、各自で入力してもらうことも可能です。

ただし誰でも操作できる分、書き換えられるリスクがあります。もし誰かが誤って書き換えてしまった場合、修正にも時間を要するでしょう。

勤怠管理システムを使う場合

最後は、年次有給休暇管理簿の作成機能が搭載された勤怠管理システムを使う方法です。有給休暇の申請機能や、未取得の従業員に対する通知機能などがあるシステムを使えば、管理がぐっと楽になります。

勤怠管理システムなら自動で付与日数や、残日数を算出してくれるので、計算ミスを防げる点がメリットです。従業員の数が多い企業ほど、導入する利点があるといえるでしょう。

ただし導入にあたって費用がかかります。初期費用だけでなく、月額料金が発生するシステムもあるので、よく確認するようにしましょう。ITに慣れていない方はサポート体制が充実しているかも選ぶときの判断材料のひとつです。

年次有給休暇を上手に管理するコツ

最後に、年次有給休暇が管理しやすくなる基準日の設定方法を解説します。従業員ごとに基準日がバラバラでは、管理が大変です。以下の方法で統一することで管理漏れをなくし、有給休暇の取得義務に違反しないようにしましょう。

基準日をひとつにまとめる

まず、すべての従業員の基準日を、同じ日に合わせる方法があります。たとえば2年目以降の社員から、基準日を年始の1月1日、年度初めの4月1日などわかりやすい日付に統一していきます。

上記は従業員の多い大手企業や大規模な採用を行う事業所でよく用いられる方法です。人数が多いほど管理は煩雑になる傾向にあります。基準日をまとめることで有休管理の負担が軽減され、管理ミスを防ぐことができるでしょう。

ただし2年目以降の基準日を前倒しにする場合、期間の重複が生じます。その際の数え方は以下の記事を参考にしてください。

基準日を月初に統一する

全社員で基準日をひとつにまとめるのではなく、グループに分けて月初に統一する方法もおすすめです。この方法は中途社員の多い職場でよく用いられます。

中途採用は入社日がバラバラになりやすいので、基準日も従業員ごとに存在することになります。たとえば4月に複数の方がそれぞれ別の日にちで入社する場合、10月1日に統一することで複数の社員を同じ基準日で管理できます。

年次有給休暇管理簿に関する罰則は?

年次有給休暇管理簿の作成と保管は企業の義務ですが、違反したからといって罰則はありません。ただし年5日の有給休暇を従業員に取得させていない場合は、労働基準法第120条により、従業員ひとり当たりにつき30万円以下の罰金が科されます。

従業員に必ず有給休暇を取得させるためには、現在の取得日数を正しく把握することが大事です。そのために年次有給休暇管理簿の作成が必要になります。各事業所で管理しやすい方法を選んで、上手に運用していきましょう。

従業員が年次有給休暇を取得できるよう正しく管理しよう

企業には年次有給休暇管理簿を従業員ごとに作成し、保管する義務があります。従業員に確実に有給休暇をとってもらうためにも管理簿は必要なので、しっかり管理していきましょう。そのためには、担当者の負担を減らせるよう、正しく運用でき、かつ管理しやすい方法を模索することも大切です。

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