財務省は、「介護サービス提供体制の効率性の向上の必要性」「業務の効率化と経営の大規模化・協働化」について2022年4月13日の資料で明記しました。
今回はその内容を踏まえ、令和6年介護報酬改定を踏まえた対応策についてご紹介します。施設や事業所の業務改善にご活用いただければ幸いです。
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目次
介護サービス提供体制の効率性の向上の必要性
介護業界の慢性的な人材不足の中で、満足なサービスを提供するには、少数精鋭の組織でも運営できる仕組み作りが必要であると考えます。それを可能にするためには、現場の効率化を推進し、ICTや介護ロボットを活用した「組織の仕組み作り」を進めなければいけません。
「少数精鋭で業務の効率化を図らないと財政が厳しい」「少数精鋭の組織で、上手に処遇改善加算を活用、モチベーションUPを」という国からのメッセージの表れではないかと思うのです。
業務の効率化
これも「仕組み作り」が重要です。「無理無駄の業務の棚卸」を行い、例えば幅広い業務ができるスタッフ(介護と厨房を兼務など)の採用、介護記録システムなどのICT化、介護ロボットの導入など、介護報酬改定を活かし、進めていくことが必要です。
現在のビジネスの世界では、契約も電子契約、業務管理もシステムで管理し、書類送付もメール添付やシステム上でのやり取りが多くなっているため、業務にかかる手間はもちろんのこと、印刷代、通信費といった面でも効率化されています。
介護業界も、他業界同様に世の中の流れについていかなければ、新たな人材の獲得がより難しくなっていくことが想定されます。
業界内の連携が重要
コロナ禍では、介護業界の小規模法人が特にダメージを受けました。感染した職員の代わりの職員を配置できない、近隣施設との助け合いができないなどが頻発し、残念ながら施設の閉鎖や休止が相次ぎました。その間、何より一番お困りになったのは利用者やご家族です。
コロナ禍だけではなく、災害時のBCPにおいても地域の近隣施設との連携が重要と言われていますので、施設内だけではなく、地域全体の連携も事業を継続していくために重要な要素です。
サービス業としての原点回帰の介護保険
2000年に導入された介護保険制度で介護事業者が「選ばれる」時代が始まったと感じました。「介護をしてもらえる契約」をする、という時代になったのです。
介護サービスの本質から、より満足してもらえるような介助を行っても、それを料金に転嫁できないのが現在の介護保険構造の現実です。
処遇改善加算はなぜ職員の数ではなく利用者の数に付くのでしょうか。一人当たりの報酬を増やすためには、より質の高いサービスをし、より多くのお客様のサービス提供して、少数精鋭でケアすることが必要となります。
これからは淘汰の時代が来ると考えられ、そのため介護事業を継続する闘いがすでに始まっていると自覚が必要です。
高品質のサービスに加えて少数精鋭で生き残るためには、ICT化、介護ロボット等の活用を行い、多様な人材で助け合いができるかどうかがその分かれ目になると考えます。
職員の給料を上げるための加算がなぜ売上につくのか
「最高のサービスを少数で提供できるチームにする」とは、単なる少数、という意味ではありません。キーワードは「少数精鋭」です。
処遇改善加算は、付加価値を生み出すために努力した職員に報いるためのものであると考えられます。その対価は、主観的に上乗せすることができないため、ひとりでも多くの利用者にサービスを利用してもらうという客観的な評価制度を取った結果ではないでしょうか。
そしてその得られた加算分は、少ない人数に分けるほどひとり当たりの割合が多くなります。つまり、多人数かつ経験の浅いチームよりも少数でスキルが高いチームの方が一人当たりの配分がより多くなるという仕組みです。
この定説の場合、スキルが高い集団は一般的に給与が高くなる傾向があるといえるでしょう。そして、比較して給料が高い職場には人が集まります。事業者側も、多数の候補者からよりスキルを持った方を選ぶことができます。そういった会社であれば、競争率が高く、向上心のある方が残ります。こういったサイクルを繰り返していくうちに、さらに競争のレベルは高くなり、優秀な人材が多い組織になっていきます。
こういったサイクルを促す仕組みが処遇改善加算なのです。
処遇改善加算という特殊な仕組みから読み取れる国のメッセージ
処遇改善加算という制度は会社の運営資金に利用することができない仕組みで、頑張った職員に報いるように、モチベーションが上がるように、良い競争が生まれるように、全額職員に還元しなければいけないものとなっています。
付加価値を生み出すために頑張ってくれた職員の努力の分は、会社は貯めておけません。すべて職員の給与に利用し、1円も残さずにきれいさっぱり使い切るというルールで、その中で「職員の頑張りに応じて差をつけて良い」ということになっています。
組織の利益には1円も回せない処遇改善加算という制度の本質を読み取り、どれだけ上手に活用するか、試されているといえるのではないでしょうか。
介護事業者のあり方
令和3年介護報酬改定に伴い導入されたLIFEは、今後軌道に乗ると比較対象ができ、介護サービスの標準化が進み、利用者やご家族、ひいては職員も質の高い介護事業者を選択する目安になります。
ICT化や介護ロボット導入などの選択肢がある昨今、昔からのアナログのやり方にこだわっていると、業務効率化どころか、偏った考え方で退化が進んでしまいます。
介護職員の介護職員処遇改善加算の取得要件として設定された基準の「キャリアパス要件」では「資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施するとともに、介護職員の能力評価を行う」旨が記載をされています。
コロナ禍においても職員が不安にならないように、e-ラーニングやzoomなどの研修も活用しながら、コミュニケーションを兼ねた研修実施で、介護職員等ベースアップ等支援加算や令和6年介護報酬改定の体制に備えてください。