体力が著しく低下している終末期などを除いて、基本的にはほとんどの高齢者の方がトイレで排泄ができますが、介助を必要とする利用者は多い傾向にあります。利用者一人ひとりに合ったサービスを提供するためには基本の理解が重要です。
今回は「排泄介助の基本とポイント」についてお伝えします。皆さんの介護の質の向上にご活用いただければ幸いです。
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目次
排泄介助の基本
排尿のケア
尿失禁の種類
- 腹圧性尿失禁
- 切迫性尿失禁
- 混合型尿失禁
- 溢流(いつりゅう)性尿失禁
- 機能性尿失禁
高齢者の尿失禁の頻度は極めて高いといわれています。しかし、「尿失禁」とひと口に言っても、その種類や原因は様々です。
なかには加齢に伴うものだから仕方がないとして、治療をせずに放っておくことで身体に負担をかけるものもあります。医師などと相談し、指示を受けながら、利用者の尿失禁の状態に合わせて援助をすることが大切です。
排便のケア
排便に適した姿勢
排便は座って、前屈みで行うことで、腹圧をかけやすくなります。また、便の通り道が開いた状態になるため、排便しやすくなります。
排便に適したタイミング
一般的には、食事をした直後で、大腸や副交感神経が活発に働いている朝食後が適しています。利用者の状況を確認し、排便のリズムが整っていない場合は、朝食後に行ってみましょう。
座って排便することの重要性
座って排便することで便意を取り戻し、自力排泄につながる可能性があります。
便意を取り戻すことは、便失禁の減少につながり、介護負担の軽減にもなります。そして、何よりも利用者ご本人の快適さが、おむつ交換とは格段に違ってきます。座位がとれるのであれば、寝たきりの利用者でも、できるだけポータブルトイレを利用していただきましょう。
便秘予防のケア8原則
便秘になると、身体的・精神的に様々な弊害をもたらします。
高齢者の場合、排便が週2回以下の方は、「便秘予防のケア」を実践していきましょう。
- 規則的な生活
- 規則的な食事時間
- 適度な運動
- 決まった時間の排便
- 座位での排便
- 十分な水分摂取
- 食物繊維の多い食事
- 市販の食物繊維飲料などの補充
下剤の服用や摘便といった特殊な方法は、医療の分野で判断・実施されるものです。下剤の服用は自力排便を妨げるなどデメリットも多いため、まずは我々介護従事者が、日頃から便秘を予防するケアを実施しましょう。
排泄介助のポイント
排泄介助を行うときの注意点
利用者の負担を理解する
- 精神的負担
- 自分の排泄するところ(排泄物・臭いなども含む)を見られるのが恥ずかしい
- 他人の世話になるのは申し訳ない
- 今まで当たり前にできていた排泄行為が自分ひとりでできなくなって情けない、辛い
- 身体的負担
- オムツの場合の身体的弊害(かぶれ、発赤、尿路感染、尿意・便意の喪失、など)
- 経済的負担
- オムツの場合、オムツを買うのにお金がかかる
羞恥心(恥ずかしさ)に配慮する
排泄介助では利用者の羞恥心に最大限の配慮をしましょう。
- 陰部の露出を最低限に抑えるためタオルをかける
- 排泄物は利用者の目に触れないようにする
- 排泄の最中は利用者から見えない位置に移動するなど
できるだけトイレでの排泄を促す
排泄、特に排便は座位姿勢を確保し、前かがみの状態でおこなっていただけるよう促しましょう。繰り返しトイレ(ポータブルトイレ)に座っていただくことで、薄れていた便意・尿意がよみがえるなど、確実に自立支援(ADL・QOLの向上)につながります。
オムツは漏れないように当てる
オムツをする方の場合は、排泄物が漏れないように注意して当てましょう。失禁は不快・不潔なだけでなく、精神面でも利用者にとって大きなダメージとなります。
また、衣類やシーツの交換などの不要な手順が増え効率性が落ちてしまいます。
- ギャザーは鼠径部にぴたりと当て、ゆるみがないようにする
- テープはオムツの中央を合わせ左右均などに留める など
陰部洗浄をしっかりと
陰部は不潔になりやすい部位です。特に頻繁に入浴ができない方には、陰部洗浄が効果的です。
- 微温湯(人肌より少し熱め)でしっかりと洗い流す
- 1日1度は石鹸を使用して洗浄する など
排泄介助を行う場合はより一層の配慮を
排泄介助を行う上で重要なことは、「羞恥心に配慮し、自尊心を傷つけないこと」です。利用者の自尊心を傷つけないよう、「安全」で「快適」で「清潔」な排泄介助を心がけましょう。
また、そのほかにも利用者の尊厳を守るために気を付けるべきことについて下記の記事で解説しています。