施設や事業所の「衛生推進者」は原則的に管理者などがなります。用紙に施設や事業所名と衛生推進者の氏名を記入して掲示しますが、衛生管理体制を整備することは、働きやすい労働環境のために重要です。今回は、「衛生管理と自主点検」についてご紹介させていただきますので、皆さんの業務の見直しにご活用ください。
目次
衛生推進者を決めましょう
「衛生推進者」とは
社員の安全と健康を確保し、快適な職場環境づくりを推進する者のことです。
各拠点の「衛生推進者」とは
原則、管理者や管理者任命した方が衛生推進者になります。衛生推進者の氏名を紙に明記し、拠点内に掲示するか、いつでも確認できるところへ保管しておきましょう。
例:「東京訪問介護事業所 衛生推進者 関東 花子」
≪安全衛生推進者の資格要件≫
1、大学または高等専門学校を卒業し、その後1年以上安全衛生の実務を経験した者
参照:安全衛生推進者養成講習|公益社団法人東京労働基準協会連合会 中央労働基準協会支部
2、高等学校または中等教育学校を卒業し、その後3年以上安全衛生の実務を経験した者
3、学歴によらず、5年以上安全衛生の実務を経験した者
4、厚生労働省労働基準局長が定める講習を修了した者
5、その他厚生労働大臣が定めた者
基本的には、管理者ならばこの資格要件を満たしているとみなされます。
「衛生推進者」の主な任務
- 拠点の職員全員に健康診断受診を推進し、管理すること
- 職場環境を衛生的に保つよう指導すること
健康診断
健康診断は、必ず受けましょう。当社で必要な健康診断には、下記の3つがあります。健康診断を受診しないと、法律違反となりますので必ず受診しましょう。受診の費用は、入社時・定期健診(基本項目)ともに会社負担です。
入社時の健康診断
すべての社員は、入社時に健康診断を受診しなければなりません。ただし、過去3ヶ月以内に受診している場合は、改めて受診する必要はありません。
定期健康診断
- 社員:年1回、必ず定期健康診断を受診しなければなりません。
- パート職員:週の労働時間が30時間以上の方は、年1回、定期健康診断を受診しなければなりません。
特定業務従事者の健康診断
月に4回以上夜勤に従事しているすべての社員(パート職員も含む)は、定期健康診断とは別に、年にもう1回「特定業務従事者の健康診断」を受診しなければなりません(つまり、半年に1回健康診断を受けるということ)。ただし、検査項目のうち、胸部エックス線については、年に1回とします。
受診結果は拠点で管理します
検査結果は各拠点に郵送してもらってください。受診後、3週間ほどで本人用と会社保管用の検査結果が医療機関から送付されます。
- 本人用・・・本人に渡す
- 会社控え用・・・個人情報保護のため、拠点の鍵のかかる棚に保管
※会社は健診結果を5年間保存する義務があります。
≪受診結果の保管(ファイリング)方法≫
健康診断の結果については、毎年増えていくものなので、他の人事関係書類とは別にファイリングしましょう。ファイルのはじめに「受診者リスト」をつけて、誰がいつ健康診断を受診したかわかるようにしておきましょう。
2次検査(精密検査)について
- 医療機関より再検査の通知があった場合は、本人に受診を促すようにしてください。
- 検査結果の保管:本人宛てに届いた2次検査結果のコピーを拠点で保管してください。
- 受診者への対応
異常の所見があった方については、3ヶ月以内に再検査などにより、医師の意見を聞き、必要に応じて就業場所の変更、労働時間の短縮などの措置を講じてください。
※会社は医師の意見を勘案し、適切な措置を講ずる義務があります。
運営状況の自主点検
適正な運営ができているか、自主点検でチェックしましょう
年に1度、管理者などを中心に自主点検を行ってください。
自主点検は、自分の施設や事業所が適正な運営をしているかどうかを全面的に見直す、年に一度の大掃除のようなものです。
行政のホームページに掲載されている各サービスに用意されている自主点検表を使い、必要な帳票の運用状態や職員の勤務状況など、隅々まで確認し整備してください。
情報公表の項目のなかに、「年に1回の自主点検を行なっている」という項目があります。きちんと自主点検を行うことで、この項目にマルがつきます。
不備が見つかったら・・・
自主点検で万が一不備が見つかったら、大至急改善するようにしましょう。また、不備になってしまった原因を見つけ、今後適正に運営していけるよう対策を立てることが大切です。
年間計画へ入れて自主点検を行おう
自主点検は、最低でも年1回行うこととし、事業者自らが定期的に点検を行うことで、適正な事業運営および介護サービスの質の向上務めることができます。適正に自主点検を行うことにより、コンプライアンスなどの適正化を図り、安心・安全・安定した業務遂行ができますので、年間計画に入れて行うようにしましょう。