認知症介護基礎研修が2024年から完全義務化!対象者や免除される資格などを解説

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認知症介護基礎研修が2024年から完全義務化!対象者や免除される資格などを解説

2021年度の介護報酬改定で受講義務が課されていた認知症介護基礎研修が、3年の猶予期間を経て、2024年度から完全義務化されます。4月から、受講の対象となる無資格者の職員が新たに入職した場合には、入職後1年以内に受講させる必要があります。

この記事では認知症介護基礎研修の受講対象者や対象外となる有資格者、そのほかの免除者などについて詳しく解説します。認知症介護基礎研修eラーニングの受講方法についてもまとめました。


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認知症介護基礎研修とは

認知症介護基礎研修とは、認知症介護の基本を学ぶための入門的な公的研修です。日本における認知症の高齢者数は年々増加しており、2025年には約700万人にも及ぶといわれています。認知症介護の需要は今後さらに高まると予想されるため、ケアの質を底上げする目的で、2021年度の介護報酬改定において無資格の介護職員に対する認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。

認知症介護基礎研修と同じく介護の基礎が学べる研修として介護職員初任者研修もありますが、学習範囲が広いことから、認知症介護に特化した研修が必要であると判断されたことも義務化の背景のひとつです。

加えて、認知症介護の専門職員を養成する認知症介護実践研修において、未経験者や技能未熟者の受講が多いことも、認知症介護基礎研修の受講義務化を推し進めました。認知症介護実践者研修の前段階となる研修として、認知症介護基礎研修の必要性が高まっています。

2024年度から完全義務化

認知症介護基礎研修は2021年度介護報酬改定で受講義務化となり、3年間の経過措置期間が設けられました。本格的な受講の義務化は、2024年4月からです。

しかし未受講の人材を採用できないなど、雇用の要件となっているわけではありません。あくまで施設・事業所側に、職員に認知症介護基礎研修を受講させるための措置を講じる義務が課せられています。そのため、新しく雇用した職員が資格を持っていない場合は、受講までの猶予期間が設けられています。施設・事業所は1年以内に該当の職員に認知症介護基礎研修を受講させなければなりません。

受けないとどうなる?

対象となる職員に認知症介護基礎研修を受講させないまま働かせた場合、運営基準違反にあたります。運営指導の際に運営基準違反を指摘されると、改善指導を受け、改善報告書の提出が求められます。

介護職員初任者研修との違い

介護職員初任者研修は、認知症介護基礎研修と同じく介護の入門資格といえる基礎研修です。大きな違いは学習範囲で、認知症介護基礎研修が認知症介護に特化した内容が学べる一方で、介護職員初任者研修では介護業務全般の基本知識、技術などが学べます。介護職員初任者研修のカリキュラムには、認知症介護に関しての学習も含まれます。

また、受講対象者も異なります。介護職員初任者研修は介護に関わるすべての人が対象となる研修で、修了者はホームヘルパーとしても従事できます。一方、認知症介護基礎研修は認知症ケアに携わる方を受講対象としています。認知症介護基礎研修の修了資格のみでは、訪問介護事業所で働くことはできません。

認知症介護基礎研修の対象者と免除される資格

訪問入浴介護以外の訪問系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援を除いた、すべての介護施設・事業所で働く無資格の介護職員が受講対象です。訪問系サービス(訪問入浴介護を除く)では介護職員初任者研修などの資格を持つ介護職員が配置されているため、認知症介護基礎研修の受講対象から外れます。

具体的に受講が免除される資格や公的研修修了者は以下のとおりです。

【受講が免除される資格など】

  • 医師、歯科医師、薬剤師
  • 看護師、准看護師
  • 介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、訪問介護員養成研修一級課程・二級課程、
  • 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師
  • 管理栄養士、栄養士
  • 社会福祉士、介護支援専門員、精神保健福祉士
引用:認知症介護基礎研修とは| 社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター eラーニングシステム運営事務局

上記以外の資格で判断に迷う場合は、都道府県や市町村の担当窓口に確認しましょう。たとえば社会福祉主事任用資格は免除の対象とならないため、認知症介護基礎研修の受講が必要です。また、民間資格も免除の対象になりません。

そのほか、そもそも介護業務に従事しない職員や、養成学校などで認知症の科目を受講した人材も受講が免除されます。養成学校の卒業生に関しては履修科目証明書などで受講の必要がないことを証明できます。

外国人スタッフの受講義務は?

介護保険施設や事業所で介護に直接関わる外国人スタッフのうち、医療・福祉関係の資格を持っていない人材は、認知症介護基礎研修の受講義務が発生します。具体的には技能実習生や、特定技能の在留資格を持つ外国人が対象です。まだ介護福祉士の資格を取得していないEPA介護福祉士候補者にも受講義務があります。一方で介護福祉士の資格を持つEPA介護福祉士、在留資格「介護」などの人材は受講の対象外です。

特定技能や技能実習生は、就業先の施設・事業所にて認知症介護基礎研修を受講する必要があります。外国人スタッフが受講できるようシフトの調整を行ったり、受講料を負担したりなど必要な対策を講じてください。

認知症介護基礎研修eラーニングの受講動画は日本語以外に、補助テキストがついたやさしい日本語を選択できます。補助テキストは英語やベトナム語など、5ヶ国語から選べます。

認知症介護基礎研修(eラーニング)の受講方法

認知症介護基礎研修は介護現場で働く方々が受講しやすいよう、インターネットを通じて行うeラーニングシステムが採用されています。150分ほどの受講動画で学び、確認テストに合格すれば受講完了です。受講内容は以下のとおり、序章と4つの章で構成されています。

【受講内容】
  学習内容 学習項目
序章 認知症を取り巻く現状 わが国の認知症施策の動向(認知症施策推進大綱の概要)
第1章 認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方 はじめに
  1. パーソン・センタード・ケア
  2. 認知症の人への偏見・誤解とその解消
  3. 介護者の視点
  4. 認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援とは
第2章 認知症の定義と原因疾患
  1. 認知症とはなにか①・②
  2. 認知症の原因疾患:アルツハイマー型認知症の原因と主要な症状
  3. 血管性認知症の原因と主要な症状
  4. レビー小体型認知症の原因と主要な症状
  5. 前頭側頭型認知症の原因と主要な症状
第3章 認知症の中核症状と行動・心理症状の理解
  1. 認知症の中核症状と行動・心理症状の理解①・②
  2. 中核症状の生活への影響
  3. 中核症状が心理面に与える影響
  4. 行動・心理症状のとらえ方と出現原因
  5. 認知症の人にとっての環境①・②
  6. 健康管理①・②
第4章 認知症ケアの基礎技術
  1. 認知症の治療①・②
  2. 認知症の人の適切な関わり方
  3. 認知症の症状への対応
  4. 意思を尊重する支援方法とは①・②
  5. チームケアの基本
  6. 家族介護者の理解と支援方法①・②

引用:認知症介護基礎研修eラーニングの学習内容| 社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター eラーニングシステム運営事務局

確認テストは章ごとに5問ずつ用意されており、不合格だった場合でも何度も受けることができます。合格すると修了証書が発行されます。受講料は自治体により異なりますが、約3,000円です。

認知症介護基礎研修で無資格からスキルアップ

認知症介護基礎研修は、認知症介護の質を高める目的で開始された「認知症介護実践者等養成事業」において、介護初心者を対象とした認知症ケアを学ぶ入り口となる研修です。認知症介護の公的研修はほかにもさまざまあり、最終的に指導者までスキルアップできます。

以下のように、対象者ごとに「認知症介護実践者研修」「認知症介護実践リーダー研修」「認知症介護指導者養成研修」が設けられています。

認知症介護基礎研修の位置づけ
出典:認知症介護基礎研修とは| 社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター eラーニングシステム運営事務局

認知症介護実践リーダー研修以上を修了した人材を配置することで、一部の施設・事業所では認知症加算を算定できるようになります。また、認知症介護指導者養成研修を修了すると、地域や施設などで認知症介護の指導者として活躍できます。

認知症介護基礎研修を受講し、認知症介護の基礎を学ぼう

3年の経過措置期間が終了し、2024年4月から認知症介護基礎研修の受講が本格的に義務化されました。認知症介護に関わる、資格を持たない人材が受講対象となります。施設・事業所に該当する職員がいる場合は、雇用から1年以内に認知症介護基礎研修を受講させてください。受講料の負担や、受講させるためのシフト調整などは施設・事業所側の義務です。

また、認知症介護基礎研修を受講しても「きちんと自分の名前の入力がされておらず、受講が無効になった」、「期間内に対象職員に、認知症介護基礎研修を受けさせていない」などの事例も見受けられます。

入社11年が経過し、無資格等の職員で認知症介護基礎研修を終了していない場合は、介護労働者として配置ができなくなるため注意しましょう。

認知症介護基礎研修よくあるご質問(令和4年2月25日時点/東京都作成)には、「人員基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者については、義務づけの対象外です。受講は必須ではありません。一方で、義務づけの趣旨を踏まえ、人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わらない者であっても、当該研修を受講することを妨げるものではありませんので、受講については積極的にご判断ください。」と記載をされています。義務づけの対象外の職員においても、介護事業に関わる者として、または施設・事業所全体の認知症介護の質の向上において、受講を促すことは施設や事業所の顧客獲得においてもPRポイントになります。

今後、高齢化の進展により認知症ケアの需要はより高まることが予想されます。認知症介護基礎研修の受講を皮切りに、実践者研修やリーダー研修など上位研修の受講促進を視野に入れ、施設や事業所全体の認知症介護の質を高めていきましょう。

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