【連載1】看取り介護を考える:人生の最期に共通する自然経過

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いずれ誰しもに訪れる看取りの場面。そのときを出来る限り望ましい形で迎えるためには看取りに対する理解が大切です。長年在宅医として多くの看取りに接してきたエンドオブライフ・ケア協会理事、めぐみ在宅クリニック院長の小澤竹俊先生に人生の最期に共通する自然経過についてご解説頂きます。

看取りをきちんと行うために、人生の最期に対する理解が大切

皆さんは、人がどのように最期を迎えるか、想像できるでしょうか?

よくイメージされるのが、「何か一言家族に話をして、すーっと意識がなくなり呼吸が止まる…」といったドラマのシーンに出てくるような場面。
このようなことは、まずありません。

看取りに関わることが苦手という人の中には、医療・介護の知識や経験が少なく、人がどのように亡くなるのかを知らないと答える人が多くいます。

そこで、人生の最期に共通する自然経過について紹介したいと思います。

人生の最期に共通する自然経過とは

皆さんが、「自然経過」という言葉を聞いて思い浮かべることにはどのようなことがあるでしょうか。

春夏秋冬という季節の移り変わりも自然経過として良いでしょう。
生まれた赤ん坊が、時間とともに成長していくことも自然経過です。

実は、人の最期にもこの季節の移り変わりや赤ん坊の成長と同じように自然経過があります。

それは、徐々に食事量が少なくなり、徐々に横になる時間が増え、そして徐々に歩くことができる距離が短くなることです。

認知症や老衰の場合の自然経過

もちろん、病気によってその経過の速さは異なります。
認知症や老衰という病気では、その経過はきわめてゆっくりです。

2-3年前には自転車で買い物ができていた人が、今年になってから庭に出ることが精一杯になったとか、去年までは食卓まで歩いてきて食事をしていた人が今年になってから自分の部屋で食事をするようになった、というような経過です。

がんの場合の自然経過

ところががんという病気は、とても早い経過でお迎えが来ます。
年単位で徐々に変化するのではなく、わずか2-3ヶ月で急に体力が衰えていくように見えるでしょう。

ですから、がんにかかり、積極的な治療が難しくなり、やがてお迎えが来ることが避けられない状況のときには、急に食事量が低下したり、歩ける距離が短くなったりすることを想定して、様々な準備をしておく必要があります。

特に今までできていたお風呂やお手洗いに1人で歩くことが困難になる時期が来てしまうかもしれない。
そのときに、どこで療養をするのかは、大切な課題です。

静かで穏やかな最期を迎えるために

今は介護保険制度を利用して、ひとり暮らしの人でも、希望すれば自宅で最期まで過ごすことができる時代となりました。

皆さんの住んでいる場所では、どのようなサービスを受けることができるのかは、これからを安心して過ごすために必要な情報です。

そして、永年の看取りの経験から言えることとして、多くの人は、人生の最期はうとうとと眠るように過ごされ、静かに逝かれます。

たとえがんという病気であったとしても、適切な症状緩和の薬剤を使い、過剰な栄養を与えなければ、静かでとても穏やかな最期を迎えることができることを経験してきました。

避けることができない死が、これからの時代、穏やかであることをお伝えしていきたいと思います。

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