介護業界では、いまだに紙ベースで業務を行っていることが少なくありません。業務改善を目的としてICT機器やシステムの導入を検討する介護事業所は増えてきましたが、導入コストや職員の抵抗感などに課題があり、なかなかIT化を進められないという声も多いでしょう。
この記事では、介護現場におけるIT化の具体的な事例や進め方、IT化によって解決を目指せる課題などについてご紹介します。
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目次
介護現場のIT化とはどういうこと?
介護現場におけるIT化とは、ICTを活用して業務の効率化や職員の負担軽減を目指すことです。ICTとは、「ICT機器」とも呼ばれ、現場に導入する機器を指しています。
介護におけるICTの具体例
ICTの具体例としては以下が挙げられます。
- 介護記録やシフト作成などの業務効率化を行うシステム、ソフトウェア、クラウドサービス
- 見守りや移乗支援の機器
- 介護ロボット
- PC、タブレット、インカムなどの端末
業界におけるIT化の状況と進まない理由
公益財団法人介護労働安定センターの「令和4年度介護労働実態調査」によると、介護施設におけるICTの活用状況は「パソコンで利用者情報(ケアプラン、介護記録など)を共有している」が55.9%、「記録から介護保険請求システムまで一括している」が45.6%、「タブレット端末などで利用者情報を共有している」が32.5%、「いずれも行っていない」が19.3%でした。
ICTの活用は年々進んでいるものの、活用率はまだ低いのが実情です。その理由としては、ICT導入に必要なコスト負担が大きいこと、職員の知識やスキル不足などが挙げられるでしょう。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査」
介護現場におけるIT化の具体的な事例
介護現場では、たとえば業務の効率化を目的に、サービス提供記録の作成や介護報酬請求のできるタブレットを導入したという事例があります。訪問介護員は利用者宅から事務所に戻らなくてもサービス提供記録を作成できるようになり、記録業務にかかる時間を大きく削減することができました。
また、特別養護老人ホームで排泄予測システムを導入した事例では、排泄のタイミングを予測することでいち早くケアに当たれるようになりました。失禁前のトイレ誘導やおむつ交換などの業務負荷が軽減され、排泄のタイミングを事前に知ることで余裕を持った対応が可能になり、結果的にケアの質向上が実現できています。
そのほか、カメラやマイク、人感センサー、押しボタンなどの機能が備わった見守り機器を各部屋に配置した事例もあります。職員数の少ない夜間帯でもパソコンやスマートフォンで利用者の状況をリアルタイムに把握でき、何か異変などがあればメールで通知されるため、事故の防止に役立っています。
参照:介護サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き|厚生労働省
介護現場におけるIT化の進め方
介護現場でIT化を図るなら、以下の流れに沿って進めるとよいでしょう。
1.通信環境の整備
ICT機器を使用する際には、通信環境を整える必要があります。無線で使えるWi-Fiの場合は、同時に接続する端末の台数や、動画閲覧などの通信ボリュームを考慮する必要があるほか、建物の構造や周辺の環境など影響を受ける要素なども考えて設置しましょう。
2.自社の課題に対応したソフトウェアの選択
ICT機器を導入する前に、業務フローがどのように変わり、それによって自社が抱える課題がどのように解決されるのかを確認しましょう。
たとえばシフト作成や勤怠管理などのサービスを導入すれば、担当者の作業時間が削減されます。すると、その分現場のケアやアセスメント、評価にかける時間を増やすことができます。
バイタルデータや介護記録を一元化した場合は、利用者の情報を漏らさずスタッフ間で共有できるため、リスクヘッジやケアの質の向上が見込めます。導入の機会に見直しをすることで業務の効率アップが期待できるでしょう。
介護業界には、人員基準や加算要件など、特有の複雑な制度やルールがあります。定期的な制度の見直しもあるため、最新の制度に対応したクラウド型の介護専用シフト・勤怠管理ソフトを選択するとよいでしょう。
たとえば、シフト作成や勤務形態一覧表作成などの煩雑な業務を削減したい場合は、介護事業者専用のシフト・勤怠管理システムがおすすめです。たとえば「CWS for Care」なら介護事業者専用のサービスなので、シフト作成時の人員基準や加算のチェックはワンクリックで完了します。その他、職種の兼務や運営指導に必要な勤務形態一覧表の自動作成にも対応しているので、シフト管理にかかる時間を大幅に短縮できます。
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3.ICT機器の導入
介護現場にスマートフォンやタブレット機器、インカムなどを導入すると、記録や情報共有をタイムリーに行うことができるようになります。職員には使用方法の周知を行いましょう。
職員のなかには、ICT機器に苦手意識を持つ方がいる場合もあるでしょう。販売元の会社にも協力してもらい、使用方法をわかりやすく示したマニュアルを作成したり、使用方法や活用についての情報交換を目的としたミーティングを設けるなどの工夫が必要です。職員全員が使用方法を習得するまで、従来の運用と併用する期間を設けて、時間をかけて指導するとよいでしょう。
4.IT導入補助金の活用
IT導入補助金は、ITツールの導入経費の一部を補助する支援金です。類型によって差はありますが、30〜450万円の補助があります。対象となるITツールは、パソコンやタブレット、プリンターなどの複合機器やソフトウェアなどです。
初期費用が補助金で軽減されれば、IT導入のハードルが下がり、導入への近道になります。なお、IT導入補助金は返済不要の資金なので、要件に該当する場合は積極的に活用しましょう。
また、IT補助金以外にも都道府県・市区町村ごとでICTの補助事業があります。事業所がある地域のウェブサイトなどで確認しましょう。
介護現場のIT化で得られるメリット5つ
法令順守のための帳票整備に多くの時間を費やしたり、交代勤務の中おこる情報共有や連携に手間がかかったりするなど、介護現場で必要な業務には多くの課題があります。ICT機器を導入することで得られるメリットを5つ解説します。
1.情報共有や連携の効率化
厚生労働省の調査によると、ICT導入の効果として「情報共有がしやすくなった」という回答がもっとも多くなっています。次いで多い回答は「事業所内の情報共有が円滑になった」です。
IT化によって記録を電子化することで、情報共有のスピード感と質を向上させることができるため、ケアの質の向上が見込めます。また、ケアに必要な情報をタイムリーに確認できるため、リスクの軽減につながる利点もあるのです。
ICT導入の効果
2.事務作業の効率化
上記の同調査によると、ICT導入の効果として情報共有の効率化に次いで多いのは「入力済みの情報を他の文書でも利用できるようになった」「文書作成の時間が短くなった」という回答です。効果として、記録や書類作成などの事務的な作業が削減され、業務の効率化につながっています。
実際にどの程度の間接業務時間が削減できたかという設問に対しては、職員一人あたり「0〜30分」の回答がもっとも多く、次いで「30〜60分」となっています。IT化によって事務作業の効率化が達成できているといえるのではないでしょうか。
削減した間接業務時間
事務作業の効率化は無駄な残業を減らすことにもつながるため、事業所としてのメリットも大きいでしょう。また、各帳票で必要な重複記録の工数削減となり、さらなる効率化が期待できるとともに、令和3年介護報酬改定で明記されたBCP対策などの時間を確保することも可能になります。
3.動画コンテンツを利用した教育・研修
介護は対面でのサービス提供が基本なので、OJTによる指導が重要視される傾向があります。しかし、交代勤務制の職場では、職員全員が集まって行うミーティングや研修が難しい面があります。しかしOFF-JT(現場を離れて行う教育)に動画コンテンツを取り入れる方法で、このような課題を解消することができるのです。
動画コンテンツを視聴することができれば、業務の空いた時間に何度でも繰り返し視聴することができます。指導を受ける対象者が増えたとしても、感染症の影響を受けることはなく、指導する職員の負担軽減というメリットもあるでしょう。
4.職員の身体的負担の軽減
特にセンサーやリフト、ロボットなどのIT技術の活用は、職員の身体的負担を大幅に軽減します。重い物の持ち上げ、長時間の立ち仕事、利用者の移乗サポートなど、身体的に負担の大きい作業を支援することが可能です。
たとえば、電動リフトを使用することで、利用者の移動やベッドからの起き上がりをサポートし、職員の重労働を減らします。さらに、床に設置されたセンサーで利用者の動きを感知し、転倒などのリスクがあるときに職員にアラートを発する製品もあります。利用者へ常に注意を払っている職員の精神的な負担も減らすことができるでしょう。これらの技術の導入により、職員の労働環境が改善されるとともに、ケアの質の向上も目指せます。
5.生産性の向上による職員還元
事務的な業務の見える化をすることで、無駄な残業がなくなり、人件費削減と生産性を向上させます。収益が増えることは、職員としてもメリットが大きくなり、インセンティブ制度導入などの可能性も出てくるでしょう。職員還元があることで、モチベーションアップの効果が期待されます。その積み重ねが職員満足度の向上や、職員の定着や採用につながります。
介護現場のIT化は職員満足と顧客満足にもつながる
介護現場でもIT化は進んでいるものの、コスト負担や職員の知識・スキル不足などの課題から、まだまだ活用率は低いのが実情です。しかし、IT化は業務効率化に貢献するほか、教育・研修に活用したり職員の負担を軽減させたりする効果も期待できます。その結果、職員および顧客の満足度を高めることにもつながるでしょう。
IT化を進めるにあたって導入しやすいものには、パソコンやタブレット端末などのICT機器です。その他、現場負担の大きいシフト・勤怠管理や勤務形態一覧表作成に専用のシステムを活用するのもおすすめです。
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