介護現場で活かす!離設防止のポイント

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介護現場で活かす!離設防止のポイント

利用者の単独外出は命にかかわる重大な施設事故であり、特に夏季や冬季は気温や湿度などが体調に大きく影響します。また季節の変わり目のこれからの季節、さらに注意が必要です。
今回は「離設防止のポイント」についてご紹介させていただきますので、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も報酬改定を踏まえ、利用者への重要事項説明書の一部差し換えなどもあり、他事業所の訪問も増える時期です。リスクの見直しにご活用いただければ幸いです。

施錠を徹底する

気を付けるポイント

正面玄関はもちろんのこと、職員の出入り口、非常口、施設内のドアや扉のすべてが施錠されているか、居室の窓に付いているファスナーロックなども壊れていないか確認しましょう。

鍵が壊れたまま、思い切り力を入れないと閉まらないなどの不具合の場合には、上長に相談の上、速やかに業者に修理を依頼してください。

開けたら施錠を確認しましょう。

特に正面玄関の自動ドアから利用者が出るケースが多いです。また、職員出入り口などの自動ロックなどは過信せず、施錠の目視や音を聞いてください。グループホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の居室の窓は、利用者や清掃業者が施錠し忘れることもありますので、これも忘れずに確認しましょう。

極力正面玄関からの搬入は避け、自動ドアの電源は基本的には解除しないようにしましょう。

大型の発注品やボランティアの物品の搬入などで正面玄関の開錠時間が長くなってしまいがちです。合わせて受診の際に他の利用者のご家族が迎えに来られた際の一瞬の隙に、離設されることもあります。

搬入場所までの動線に問題なければ職員出入口を使用していただく、正面玄関から出入り、搬入する場合は単独外出のリスクを先方に伝え、まずはすべての荷物を玄関先に置いてもらってから一気に搬入するなど、外部からの来訪者にも協力していただき、できるだけ開錠時間が短くなるように工夫してください。

利用者の情報を施設の全職員で共有する

対応のポイント

独外出の約7割は利用開始1年未満の利用者です。

サービス担当者会議の時点では帰宅願望を確認ができていなくても、利用者は慣れない場所や人に接することで不安になったり、ずっとやってきた日課を思い出して帰宅願望につながることもあります。サービス利用し始めの時期は、認知症や帰宅願望の有無を問わず、全体会議などで利用者の情報を事務職や厨房を含む全セクションで共有し、サービス利用中は利用者の個別に適合した所在確認を行ってください。

帰宅願望を否定するとますます不安になります。

まずは利用者の訴えに傾聴し、不安の原因を探ったり、話題を変えるなどして気分転換をしていただくことも効果的です。
利用者の訴えも聞かずに「帰れない」「今日は迎えが来ない」「席に座ってて」などのお声がけは、利用者をさらに不安にさせたり、信頼をなくし、スピーチロックの不適切ケアにも繋がる可能性がある対応です。

たとえば「何かお困りですか?」とのお声がけから、帰りたい理由や不安に思っていることを聞き出せれば、それを取り除いたり、質問を重ねていくうちに、話が弾む話題で安心感を与えるなども効果的な対応のひとつです。
利用者それぞれに効果的なお声がけや対応方法も施設、事業所の全職員で共有しておきましょう。

万が一に備えて

対応1:カギ、ファスナーロックなどが施錠できているか
・全職員にカギ、ファスナーロックなどの重要性を周知できているか
・故障があったらすぐに上長に報告、業者へ依頼、修理できているか

対応2:利用者の写真を管理できているか
・写真は入所またはサービス利用開始日に必ず撮影
・お誕生日には必ず写真を更新する

対応3:外出希望の利用者は申し送りと注意徹底
・朝礼や申し送りノートで申し送り
・利用開始間もない利用者は要チェック

対応4:捜索のため地図準備
・半径3キロ程度のマップを作成(昭文社の折り畳み地図)
※赤ペンで町丁目および幹線道路などを区切る

・折り畳み地図のエリア分け、エリアに対応する道路地図コピーは、事前に準備しておく

対応5:年1回全体会議で研修を実施
・毎年の離設事故の傾向を周知
・予防・対策ができているか確認

対応6:来客対応の徹底
・インターフォンモニターのみで玄関の開錠は禁止!
・来客名簿への記入
・来客者プレートの装着

対応7:ベッドは窓から60㎝以上離す
・ベッドや棚を踏み台にして外に出ないようにのルールの徹底

事業所全体で防止に取り組みましょう

離設は「職員による不十分な施錠」が主な原因ですが、施錠の徹底、利用者情報(帰宅願望が出る時間帯・傾向、納得していただけるお声がけなど)の共有を徹底することで防ぐことができます。

重大事故である「離設」を起こさない対策は、日頃からの職員全員の情報共有とリスクに対する意識が重要になります。季節の変わり目のこの時期、離設事故を防止するために、万が一に備えるポイントの確認を事務職や厨房職員も含む施設、事業所全体で確認し、防止に取り組みましょう。

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