令和3年介護報酬改定から義務化となったBCP策定ですが、それに伴い研修や訓練も行わなければいけません。今回は「BCP研修・訓練(感染症)」についてご紹介させていただきますので、皆さんの業務にご活用いただければ幸いです。
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目次
BCPとは
BCP=BUSINESS CONTINUITY PLAN
自然災害や感染症などの緊急事態が発生したときでも、利用者に介護サービスの提供を継続できるように計画をしておくことです。
介護サービスは、要介護者やそのご家族などが生活を送るうえで必要不可欠なものです。
自然災害や感染症の流行といった不測の事態が発生した場合でも、利用者に対し、安定的にサービスが提供できるよう、あらかじめ対応策を決めておくことが重要です。
BCP研修・訓練とは
BCPの研修・訓練は、介護施設としての事業を継続するための訓練・研修です。
年間研修計画に組み込み、年2回実施ください。なお、感染症対策の研修と訓練は、感染症BCPと同日での開催も可能です。
ここからは、BCP研修・訓練(感染症)の事例を記載します。
感染症BCP訓練の訓練事例
【初動対応】
- ゾーニングの確認、エリアの振り分け方
- 職員の移動経路、消毒清掃方法の確認、消毒液の設置場所
- ガウンテクニック・グローブテクニックの確認
【事業継続】
- 感染拡大防止の対応
- 策定した業務復旧目安に沿って、事業を継続できるか確認する
- チェックリストに基づいて事業継続の可否を確認する
- 出勤可能職員の確認
- 備蓄品の確認(マスク、ガウン、キャップ、使い捨て食器など)
- 近隣施設への応援
※ゾーニング、消毒・清掃の詳細はクリップラインを参照してください
※施設にて感染症が発生した想定で、ゾーニングや職員の動線、物資・人員の確保について確認をしましょう
※感染症は新型コロナウイルスに限定せず、インフルエンザやノロウイルスなども想定してください
備蓄の準備・確認(主な確認ポイント)
- 必要物品が必要数あるか
- 必要物品が揃っているか
- 使用期限は切れていないか
- 故障していないか
- 有事の際に使用できるか
- 必要なものがあれば追加する
- 不要なものがあれば削除する
《BCP研修》マニュアルの読み合わせによる内容理解と役割の確認
- 施設や事業所にて策定した「感染症対応マニュアルと業務継続計画書」の内容理解をし、各自の役割分担を再確認ください。
- 記載内容に修正(役割・担当者変更など)があれば、更新を行ってください。
- 医療機関情報についても、変更がないか確認する
- 入退職・人事異動などで変更がないか確認する
改訂履歴の更新
- BCP研修を通じて、役割分担や担当者名に変更があった場合、改訂履歴を更新し、再度保存してください。
- 更新した日付
- 更新の主旨 ※担当者変更など
- 更新者の役職と氏名
業務継続計画未策定事業所に対する減算
令和6年介護報酬改定では、業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入がされました。
感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症若しくは災害のいずれかまたは両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算するという内容です。【告示改正】
業務継続計画未実施減算
(施設・居住系サービス 所定単位数の3.0%を減算、その他サービス 所定単位数の1.0%を減算)
以下の基準に適合していない場合。
・感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定すること
・当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずること
※令和7年3月31日までの間、感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算を適用しない。訪問系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援については、令和7年3月31日までの間、減算を適用しない。
業務継続計画未策定減算について
問 164 業務継続計画未策定減算はどのような場合に適用となるのか。
(答)
・感染症若しくは災害のいずれかまたは両方の業務継続計画が未策定の場合、かつ、当該業務継続計画に従い必要な措置が講じられていない場合に減算の対象となる。
参考:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1225、厚生労働省 報酬改定の留意事項通知、厚生労働省 業務継続に向けた取組の強化等(改定の方向性)
・なお、令和3年度介護報酬改定において業務継続計画の策定と同様に義務付けられた、業務継続計画の周知、研修、訓練及び定期的な業務継続計画の見直しの実施の有無は、業務継続計画未策定減算の算定要件ではない。
新年度に入ってからも「BCP作成で不安がいっぱい」「BCPの作成内容に不足はあるが、どのようにしたらよいかと迷うとことが多い」というお声も多くの施設や事業所の皆さまから聞かれています。
減算の有無にかかわらず、義務化の認識を持ってBCP策定と研修、訓練を行ってください。