採用活動を行っていると「面接の当日になってドタキャンされることが多く、費用と時間を無駄にしている…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。採用活動に費やす費用と時間は介護事業所にとって負担が大きいものです。効率良く優秀な人材を採用するためには、面接のドタキャンや辞退を減らすことが一つのポイントになるでしょう。
今回の記事では、応募者が面接をドタキャンしてしまう理由を考えながら、面接のドタキャンや辞退を防ぐ方法をご紹介します。
介護面接でドタキャンされた場合の損失
企業にとって面接当日のドタキャンは、採用候補者の母数が減るだけでなく、時間やコストの損失が発生するため頭の痛い問題です。
採用候補者の母数が減ってしまう
求人への応募が数十名あったとしても、面接のキャンセルが増えるほど採用候補者の母数が減り、優秀な人材が確保できる可能性は低くなります。
まして応募者が数名の場合、一人、二人とドタキャンや辞退が続けば、「誰でもいいから採用」しなくてはならないという状況につながりかねません。
採用コストが上がってしまう
一人の介護職員を採用するには、求人広告費やメディア出稿費以外にも以下のような採用コストがかかります。
- 採用担当者の人件費
- 面接担当官の人件費
- 電話対応など事務職員の人件費
医療・福祉業界の場合、中途採用おける1年間のコストは800万円ほどがかかると言われています。採用人数が減ってしまえば、一人当たりのコストが割高となります。また、採用者が決まらなければこれらの費用が無駄となり、採用コストはさらに上がってしまいます。
なぜ介護職はドタキャン・辞退が多いのか?
介護職の場合、ドタキャンや辞退が多いと言われていますが、その理由はどこにあるのでしょうか。
厚生労働省の調査(一般職業紹介状況(令和2年7月分)について)によると、介護分野の有効求人倍率は令和2年7月現在、3.99倍となっています。全業種の有効求人倍率が1.67倍なので、比較するとその差は歴然です。
求職者一人に対する求人数を示す有効求人倍率が高ければ、求職者にとっては売り手市場となります。つまり求職者は、多数の求人情報から応募先を選べる状態にあるということです。
応募者のなかには、とりあえず応募しておき、書類選考が通過してから事業所について調べ、面接に行くかどうかを判断しようという人もいます。そして、調べた結果「思っていたものと違う」とドタキャンすることもあります。
介護面接で応募者がドタキャンする理由
面接のドタキャンは、正社員・パートを問わず後を絶ちません。この問題を解決するには、まず応募者がなぜドタキャンをするのか、その理由を把握しておく必要があります。
ほかの事業所から内定をもらった
ドタキャンの理由として多いのが、「ほかの事業所から内定をもらった」というものです。ほとんどの転職者が、複数の施設や事業所に応募しています。第一志望から内定が出た場合や、第一志望ではなくとも早く内定が出たところに問題がなければ、他の選考結果を待たずにそちらを選ぶのは自然なことでしょう。
他社から内定をもらい、気持ちが転職先へ向いてしまうことで、面接辞退の連絡がおざなりになってしまうこともあります。
いずれにせよ、優秀な人材ほど複数の事業所から内定をもらう傾向にあります。そのため、人事担当者としては書類選考や面接の段取り等、スピード感のある対応が重要だと言えるでしょう。
応募後にもう一度考えて「やっぱり辞めた」となった
応募後に再考した結果、以下のような内容から「やっぱり辞めた」となるケースもあります。
- 求人内容を見直したら、仕事内容や条件などが希望と違っていた
- ネットの口コミで応募先の悪い噂や評判を見てしまった
- さらに条件の良い求人を見つけ、モチベーションが下がった
辞退の連絡をしようと思っていたが、できなかった
当日辞退の理由には、「面接に行くのが面倒になった」「履歴書などを準備するのが手間だった」など社会人として非常識なものもあります。採用担当としては「そもそも転職の意欲があるの?」と言いたくなるところです。
しかし、ドタキャンの理由には当日体調が悪くなった、事故に遭ったなど不測の事態が起き、どうしても連絡ができなかったというケースもあります。
ドタキャンされてしまうのは自社の魅力が伝わっていないから
「ドタキャンするような人材は採用したくない」という考えも当然だと思いますが、応募者がドタキャンする3つの理由から見えてくる一番の原因は「自社の魅力がきちんと伝わっていない」ということです。
他社で内定をもらった人でも、改めてこちらの魅力をうまく伝達できれば、意向を変えてもらえる可能性は十分にあります。むしろ、比較対象が明確になっていることで、自社のPRがしやすいとも考えられます。
採用担当者が今すぐできる、ドタキャン対策法
それでは、面接辞退を防ぐために採用担当者が今すぐできる具体的な対策方法を5つご紹介します。
応募者対応はスピーディーに
ドタキャンの理由のひとつに「企業側の対応が遅い」とあります。応募があったら、書類選考→結果の連絡→面接の日程調整といった流れをスムーズに、スピーディーに行うことが重要です。
求職者の状況や気持ちは1日1日と変わりますので、連絡が遅くなるほど求職者のモチベーションは下がり、優秀な人材ほど複数の事業所から内定をもらう可能性が高くなります。連絡が遅れたばかりに他社に取られてしまったという事態を避けるためにも、スピーディーな対応が求められます。
電話やメール、マナーを守って誠実に対応する
「企業の対応が悪かった」というのもドタキャンの理由のひとつです。求職者にとって、人事担当者は応募した施設や事業所の顔です。電話やメールのマナーがなっていなければ、相手に悪いイメージを与え、応募意欲は低下します。メールの場合、誤字脱字が多かったり、簡素で画一的な文章だったりする場合、こちらの誠意は伝わりません。応募者に対し「入社してもらいたい」という気持ちが伝わるような、誠実で丁寧な対応を心がけましょう。
今後のドタキャン対策として、「横柄な態度を取っていなかったか」「上から目線で対応していなかったか」という視点で採用過程を見直し、改めて確認しておきましょう。
また、面接の実施が決まったタイミングで、一度求職者に電話をして、現状の転職活動状況の確認や不安に思っていることがないかなどを話してみることもとても有効です。求職者との心理的な距離がぐっと近づき、面接をドタキャンされてしまう可能性が一気に下がります。
応募者からの質問には丁寧に答える
たとえ複数の事業所に応募している人でも、応募後、不安になったり、不明な点が出てきたりするケースは少なくありません。これまで人事の担当者として、応募者からの質問にどのような対応をしてきたか振り返ってみてください。
丁寧に回答することで、事業所の印象も良くなり応募者の面接への意欲も高まります。また、事前に質問などのやり取りが多い応募者ほど面接を辞退しないとも言われています。面接時の服装や持ち物など、想定される質問は事前に伝えておくと親切です。
面接の前日にも連絡を入れる
面接前日に連絡を入れることで応募者の志望度がわかる場合もあります。面接に来る意欲が高い応募者であれば、こちらの誠意を伝えるチャンスにもなります。そして、確認メールへの返事がなければドタキャンの可能性が高いことへの心構えにもなります。
万一、連絡をした際に辞退を告げられたとしても、当日ドタキャンされて時間をロスするという最悪の状態は回避できます。複数応募している応募者などは面接そのものを忘れている可能性もあるので、そのような事態を避けるためにも有効な手段でしょう。
応募者の来社の手間をできるだけ省く
応募者の「面倒くさい」と感じる部分をできるだけ省くこともドタキャン対策として有効です。以下のような工夫をしてみましょう。
- 面接の日程を複数提示し、応募者の希望に沿って対応する
- 日程変更の際の連絡先を伝えておく
- 面接場所の地図や最寄り駅を伝えておく
- 一次面接や面接前のWEB面談としてネットを活用する
- 面接回数を減らしできるだけ1回で内定を出すようにする
まとめ
ドタキャンの理由や対策をお伝えしましたが、一番大事なことは自社の魅力をしっかりと伝えることです。そのうえでドタキャン対策を行うようにしてください。
また、書類選考でどうしても会ってみたいと思った応募者であれば、連絡がなかったからマナー違反と決めつけず、「ご希望があれば面接日程の再設定も可能です」といった内容のメールを送ることで、採用の可能性に繋げることもできるでしょう。
面接の辞退者をゼロにすることは難しくとも、応募者への接し方や面接前日のフォローなどで「ドタキャン」は減らすことはできるはずです。また、面接前のWEB面談を実施することで、コロナ禍での来社という応募者の負担を軽減することにもつながります。