介護現場に活かす!動画撮影などと高齢者虐待防止

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介護現場に活かす!動画撮影などと高齢者虐待防止

虐待や身体拘束は、普段の職員の何気ない行動から起こります。特に介護現場においてはICTの普及により、iPadやスマートフォンに、不穏状態にある利用者について後日医師に相談するという理由から動画撮影を行い、「医師の指示とご家族の同意なく利用者の様子を動画撮影したことが虐待にあたる」と行政より指導がされている事例もあります。

今回は「動画撮影などと高齢者虐待防止」についてご紹介しますので、皆さんの業務改善にご活用いただければ幸いです。


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「高齢者虐待」の捉え方と対応が必要な範囲について

高齢者虐待防止法では、広い意味での高齢者虐待を「高齢者が他者からの不適切な扱いにより権利利益を侵害される状態や生命、健康、生活が損なわれるような状態に置かれること」と捉えた上で、高齢者虐待防止法の対象を規定したものということができます。

また、地域支援事業(包括的支援事業)のひとつとして、市町村に対し、「高齢者に対する虐待の防止及びその早期発見のための事業その他の高齢者の権利擁護のための必要な援助を行う事業」(介護保険法第115条の38 第1項第4号)の実施が義務づけられています。

市町村は、高齢者虐待防止法に規定する高齢者虐待かどうか判別しがたい事例であっても、高齢者の権利が侵害されていたり、生命や健康、生活が損なわれるような事態が予測されるなど支援が必要な場合には、高齢者虐待防止法の取扱いに準じて、必要な援助を行っています。

高齢者虐待の定義

介護施設従事者などによる高齢者虐待に該当する行為

身体的虐待高齢者の身体に外傷が生じ、または生じる恐れのある暴行を加えること
介護・世話の 放棄・放任 (ネグレクト)高齢者を衰弱させるような著しい減食または長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること
心理的虐待高齢者に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応その他高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと
性的虐待高齢者にわいせつな行為をすることまたは高齢者をしてわいせつな行為をさせること
経済的虐待高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること
参考資料:厚生労働省「1.高齢者虐待防止の基本」

iPadやスマートフォンに、不穏状態にある利用者について後日医師に相談するという理由からの動画撮影は、心理的虐待、性的虐待、介護・世話の放棄・放任、高齢者の尊厳の軽視にあたりますので、注意が必要です。

行政から虐待と指導された具体的な内容

【概要】

医師に相談する際に用いる目的で認知症且つ不穏状態にある利用者の様子を動画にしたものの、施設の独自判断で行っていた。

(医師の指示無し・ご家族の許可なし)かつ、実際には撮影しただけで、医師への相談には用いることなく動画保存されていただけであった。

【行政の指導内容】

高齢者の尊厳の軽視および事故防止や必要なケアのない状態での撮影および外部流出の可能性が高い状況での動画保管に対し、心理的虐待、性的虐待および介護・世話の放棄・放任に該当すると判断。経営者・管理者の責任において、再発防止策を全職員が関与する形で行うこと。

施設・事業所で行うべき対応

利用者について医師に相談すること自体は必要なケアであって問題ありませんが、その手段としての動画撮影が医師の指示とご家族の同意のないまま行うと不必要な対応(=虐待)と判断される場合があります。医師・ケアマネ・ご家族などに日々の様子や不穏状態を相談する場合はまずは口頭にて行い、医師の指示とご家族の同意があった場合のみ、記録にも残し、行うようにしてください。

また、原則、個人携帯の現場への持ち込みは控え、ロッカー管理を行うよう周知してください。医師の指示とご家族の同意があった場合のみ、施設や事業所のiPadなどの端末を使用し、不用意・不必要に利用者を撮影しないでください。

撮影可能なケースは、「個人情報の取扱いに関する同意書」に基づき、ご家族やケアマネジャーへの様子共有のためのモニタリングや、施設アカウントSNSなどでの写真使用を許可されている場合などに限ります。

個人情報の取扱いに関する同意書参考文章例

個人情報の第三者提供

弊社によるサービスの提供にあたって連携をする介護サービス事業者、居宅介護支援事業者、医師・医療機関などに対して提供する場合があります。

職員に周知徹底しよう

先にご紹介をした「厚生労働省「1.高齢者虐待防止の基本」」のなかの「4.2留意事項」には、

  • その1 虐待に対する「自覚」は問わない
  • その2 高齢者の安全確保を優先する
  • その3 常に迅速な対応を意識する
  • その4 必ず組織的に対応する
  • その5 関係機関と連携して援助する
  • その6 適切に権限を行使する

と記載されています。

今回ご紹介した内容は、必ず、施設・事業所の正職員・非常勤職員に周知徹底してください。

特に職員個人の私的利用のための撮影は一切禁止とし、それが発覚した場合は法人として厳正に対処する必要があります。もし見かけた場合はその場で注意するか、上司などに相談し、職員一人一人が間違った行動をしないように日頃から繰り返し声がけも行ってください。

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