職場内教育(OJT:On the Job Training)は、日常の仕事の中で教育・指導を行うことにより実践力を高める目的があります。
職場の行動の基準は「報告」、「連絡」、「相談」の「ホウ・レン・ソウ」です。報告し、連絡しあい、相談しながら、職員同士のコミュニケーションをはかっていきましょう。
ご利用者と身近に接する職員一人一人の心やさしい気持と笑顔、そしてはつらつとした元気が、ご利用者に心地よさをもたらします。そして、職員自身が楽しく介護サービスにあたることが何よりも大切です。今回は、『職員へのOJT~身だしなみのチェックと介護保険、加齢に伴う高齢者の理解~』についてご紹介しますので、皆様のサービスの質の向上にお役立て頂けたら幸いです。
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目次
身だしなみのチェックについて
身だしなみは、相手に対する思いやりです。
相手は、身だしなみ(格好)から、この人はどのような性格かよい人なのか、悪い人なのか又、ベテランなのか新人なのかなどを知ろうとします。身だしなみから、人格と仕事の能力が評価されます。自分を正しく評価していただけるよう身だしなみを整えましょう。
清潔、機能的、TPOに気をつけ、ユニフォームを清潔に着こなしましょう。髪型、お化粧、アクセサリー、香料の使い方などは、それらが介護の職場で働くのにふさわしいか意識しましょう。評価するのは、自分でなくご利用者、ご家族という外部の方々です。あなたのその印象は施設の印象であり、会社の印象となります。気の緩みは、心の緩み、相手に誤解されない清潔感で心地よさを与えましょう。
[身だしなみチェックシート]
身だしなみに関するチェック項目 | ○ | 身だしなみに関するチェック項目 | ○ |
①清潔か?手入れは出来ているか? | ⑪鼻毛や髭は伸びていないか? | ||
②フケやにおいはないか? | ⑫口臭はないか? | ||
③前髪が目にかかっていませんか? | ⑬化粧は控え目で自然か? | ||
④肩にかかる長い髪はまとめてるか? | ⑭靴は汚れてないか? | ||
⑤ヘアカラーが不自然な色ではないですか? | ⑮靴のカカトを踏んでいないか? | ||
⑥決まったユニフォームを着用しているか? | ⑯ヒールが高かったり、靴が派手過ぎることはないか? | ||
⑦ユニフォームは自分のサイズに合ったものを着用しているか? | ⑰手は汚れていないか? | ||
⑧ユニフォームが汚れていないか? | ⑱爪は清潔に短く切ってあるか? | ||
⑨名札は適切な位置に付けているか? | ⑲香水や臭いの強い整髪料は使用していないか? | ||
⑩ポケットに物をいれすぎていないか? | ⑳華美なアクセサリーは付けていないか? |
介護保険制度について
国は高齢者が、介護が必要になっても、住み慣れた地域や住まいで尊厳ある自立した生活を送ることが出来るよう、質の高い保健医療・福祉サービスの確保、将来にわたって安定した介護保険制度の確立などに取り組んでおり、下記の「地域包括ケアシステム」の推進を基に3年に一度の介護報酬改定を進めています。
「地域包括ケアシステム」
- 医療との連携強化
- 介護サービスの充実強化(24時間対応在宅サービスの強化等)
- 予防の推進
- 見守り、配食、買い物等多様な生活支援サービス
- 高齢者住まいの整備
加齢に伴う高齢者の理解について
高齢者の総合理解
人間としての高齢者
私たちがケアを提供しようとする高齢者は、身体機能が低下し、寝たきりの状態や、脳梗塞などの後遺症による麻痺等の障害状態にあっても、または、認知症であったとしても、長い人生を歩んでこられた人生の大先輩です。また、その一人ひとりには、歴史があり、培われた知恵と意思をお持ちです。ケアする私たちとは年齢も体力も立場も異なります。その人が「自分らしくありたい」という内面的な要求と「他者と共に生きる」という社会的側面に於いては、高齢者も私たちも基本的には変わりありません。
加齢に伴う特徴と不安
①生活及び社会的側面
- 身体的な衰えを身近に感じる
- 仕事から離れ、社会的役割から離れる
- 家庭の中心的役割から離れる
- 身近な人との死を身近に感じる
- 経済的基盤が不安定になる
②身体的側面
身体各器官の老化による機能変化は免疫機能も含め全般的に機能低下する 傾向にありますが、個人差が大きく関与します。
主な感覚の変化について
- 視力の変化
カメラのレンズにあたる水晶体の屈折力や、厚さが調節し難くなり、近くの物が見え難くなります。 - 聴力の変化
高音は聞こえ難くなりますが、低音を聞き取る能力は比較的よく保たれています。 - 嗅覚の変化
匂いを感じる濃度は、成人と比較して2から15倍低くなります。物が腐った匂いに鈍感になります。 - 味覚の変化
塩辛さは成人の10倍の濃度でないと同じ辛さを感じない場合があります。甘みに対する能力は比較的保たれていることがあります。 - 触覚の変化
触ったときにそこに何かがあるかと言う感覚が低下します。危険な物を避ける機能も低下します。
③心理的側面
自己中心的、頑固保守的、抑うつ的、心気傾向などの特徴は必ずしも高齢者特有のものではありません。その人の生き方、生活の背景、価値観、病気との関連性など、置かれた環境により影響されているこが多いといえます。
夕刻になると「眠れない」「誰かそばにいてほしい」「家に帰りたい」などと気分が不安定になりやすくなります。薄暗い環境は心配事などが現実味を帯び、不安や焦燥感が増し、不穏傾向の引き金になるとおもわれます。
高齢者の病気の特徴
高齢者は、一人で複数の病気を抱えている場合があり、病気特有な症状が容易に現れ難いという特徴があります。
①一つの病気が悪くなると他の病気まで悪くなり、多病で全身の病気になり快復に時間がかかります。
②言葉による訴えが少ないため、食事が摂れなくなって初めて症状の悪化に気づくこともあります。
③薬の副作用が出やすくなっています。
④脱水症状を起こしやすく、そのことがきっかけとなり、せん妄や循環障害などを起こしやすくなります。
(例)病気特有な症状が現れ難い場合
①衰弱し、体力が低下している人の場合、うとうと眠っていることが多く、熱が出にくい傾向にあります。
②肺炎を起こしていても水分不足の場合、咳や熱が出にくくなっています。
③腹部全体が張っている状態を、腹痛が無いことから様子を見ていると、重症になっていることがあります。
まとめ
コロナ禍においてもオミクロン株の蔓延により、無症状の陽性者の方々の報告も受けていますが、基礎疾患をお持ちの高齢者は重篤化しやすいので、対応を急ぐ必要もあります。皆さんで正しい知識を持ち、情報共有しながら対応することが、職員とご利用者の互いの安心・安全のためにも必要ですので、ご指導の際も周知徹底されて下さい。