「介護職の求人はよく目にするけれど、40歳・未経験でも転職できるの?」「40歳からだと体力的にもキツイのでは?」と疑問に思っていませんか?
確かに20代のころと比べて体力は落ちていますが、介護職では、40代ならではの社会経験や人生経験が強みになります。むしろ、40代・50代が活躍できるのが介護業界です。この記事では、40歳・未経験で介護職への転職を考えている方に向け、一度は読んでおいてほしい事柄についてわかりやすく解説しています。
目次
介護の仕事とは?未経験でもわかる介護の仕事内容
介護の仕事とは、主にケアを必要とする高齢者の方が安心して暮らせるよう、身の回りのお世話や相談援助などを提供する仕事です。
介護福祉士やケアマネジャーは介護に関する資格のひとつですが、無資格・未経験の方が介護の仕事をする場合、「介護士」「介護職」という職種から始めることとなります。
介護職の仕事には「身体介護」と「生活援助」の2つがあり、具体的な仕事内容は以下のとおりです。ただし、訪問介護の場合、無資格だと身体介護を行うことはできません。
身体介護
- 洗髪や洗身などの入浴介助
- おむつ交換・トイレへの誘導などの排泄介助
- 着替えの手伝いをする更衣介助
- ベッドから車いす、車いすからトイレへ行く際などの移動・移乗介助
- 食事の用意が自分でできない、自分で食べられない方への食事介助
生活援助
掃除や洗濯、買い物や食事の準備など、身体に触れずに行える身の回りのお世話をします。通常、介護保険で行える生活援助のサービスは、利用者さんが自分でできないことが対象です。
40代未経験の転職におすすめの介護施設や事業所
40代・未経験で転職する場合、一般の転職と比べると介護職の求人数は多い傾向です。ただし、施設によって活躍する介護職員の年齢も異なるだけに、40歳からの転職には施設選びが重要だといえます。「訪問介護」「通所施設」「入所施設」の特徴とおすすめポイントについて見てみましょう。
訪問介護
訪問介護では、利用者さんのご自宅に直接訪問し、身体介護や生活援助に関するサービスを提供します。基本的に一人での訪問となるため、自分で判断・行動しなければならないのが特徴です。
[box05 title=”おすすめポイント”]
- これまで家事で培ってきた能力が活かしやすい
- コミュニケーションをとるのが得意な方であれば能力を活かせる
- シフト制なので希望の曜日や時間で働くことができる
- 実務者研修修了者や介護福祉士などの資格取得でキャリアアップも可能
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通所施設
デイサービスやデイケア、ショートステイなどの通所施設へ通ってくる利用者さんにサービスを提供します。入所施設に比べ比較的身体介護が少ないのが特徴です。
[box05 title=”おすすめポイント”]
- 基本的には夜勤の勤務がなくシフトも規則的なところが多い
- 日曜日がお休みの施設もある
- レクリエーションは企画から任されるため、自分のアイデアを採用してもらえる可能性がある
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入所施設
特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなどの入所施設に入居する高齢者の方にサービスを提供します。入居者さんは常に介護が必要なため、介護士としての技術や知識を学ぶ機会が多いのが特徴です。
[box05 title=”おすすめポイント”]
- 施設は休みなく稼働しているが、勤務はシフト制でパートや派遣社員も多く、出勤時間帯や休暇などの融通が利きやすい
- 夜勤専門(夜勤専従)で人材を募集している施設もある
- 介護職としてキャリアアップするための経験やスキルを積める
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40代から介護職に転職するメリット
40代・未経験で転職する場合、介護職であれば「同世代が多い」「これまでの経験が活かせる」「長く働ける」「働き方を選べる」などたくさんのメリットがあります。
年齢を重ねても仕事に困らない
社会保障審議会の『介護分野の最近の動向』によれば、75歳以上の要介護率が高くなる人口が2055年には25%を超えます。
また、総務省の『労働力調査』によれば、医療・福祉業界への就業者数はここ10年で約200万人も増えています。以上の2点からも要介護者は今後も増え、介護ニーズはさらに高まり続けるため、介護の職は年齢を重ねても仕事に困る可能性が低いでしょう。
介護職はこれまでの仕事・人生経験を活かせる
一般の求人情報でよく見かける「資格者優遇」の文字ですが、介護業界では「資格不問」「未経験可」と書かれている求人をよく目にします。その理由は、介護の資格がなくとも職種や業種に関係なく前職の経験や人生経験が活かせるからです。
前職がエステティシャンであれば、アロマセラピーやエステをレクリエーションに提案することができますし、運転手さんであれば利用者さんの送迎があるデイサービスなどで活躍の場があります。
働き方を選べる
介護職には正社員だけでなくパートや派遣といった働き方があり、自分のライフステージに合わせて選ぶことができます。たとえば「月曜と水曜だけ」「午前中だけ」「10時から16時まで」といった働き方が可能です。
ただし、介護施設の多くはシフト制です。施設によっては夜勤を求められることもあります。夜勤がないデイサービスなどでも、早番・日勤・遅番のシフト制で7時から出勤したり20時まで勤務したりすることもありますので、勤務条件は事前によく確認しておきましょう。
また、未経験・無資格の場合は日勤だけでなく夜勤や土日の勤務にも積極的に入れる方が求められるます。最初は勤務時間帯や勤務日を選ばすに経験を積み、慣れてきてから自分に合わせた働き方にシフトしていくと良いでしょう。
同年代が多い
一般企業では40歳ともなれば「ベテラン」としてキャリアを求められ、経験者でないと採用されにくいのが現状です。しかし、介護業界では40代でも未経験であれば「新人」として扱ってもらえます。
また、介護労働安定センターの『介護労働実態調査』によれば、介護労働者の年代は40代がもっとも多く、60歳以上の人も全体の2割を超えています。40歳からでも長く働け、同世代が多いのも介護職のメリットです。
両親や家族の介護に活かせる
40歳を過ぎれば、そろそろ自分の親の介護が必要になってくることがあります。実際に両親の介護をきっかけに介護の職を選ぶ人も少なくありません。
介護が必要な高齢者施設で働けば介護制度や仕組みが理解でき、知識や経験を積むことができます。両親やご家族の介護に活かせますし、施設選びにも役立てることができるでしょう。
景気に左右されず、安定した収入を得られる
女性の場合、たとえば40歳・正社員で他業種と給料を比較すると、決して高いというわけではありませんが、パートや派遣で比較すればそれほど悪くはありません。また、介護職として経験を積み、資格者ともなれば手当が加算される施設がほとんどです。
介護業界では介護職も管理者も年々、給料は増加傾向にあります。賞与も、制度の有無にかかわらず、パートであっても経営状況に応じて支給する事業所が7割を超え、他業種に比べ安定した収入を得ることができるといえます。
介護職のキャリアプランとは
介護の世界では、40代で未経験でもキャリアアップが可能です。10年、20年と長く働くのであれば、まずは国家資格となる「介護福祉士」を目指しましょう。
介護福祉士になるには、3年以上の実務経験が必要です。その後は、ケアマネジャーや認定介護福祉士など、自分がどのような働き方をしていきたいかによってキャリアプランを立てる必要があります。
また、資格を取ると給料面にも反映されます。施設や事業所にもよりますが、平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、無資格と介護福祉士では月給で5万円近い差があります。もちろん、資格を取ることでより責任のある仕事を任されますので、やりがいもさらに大きくなります。詳しくは以下のページも参考にしてみてください。
40代未経験の介護転職に求められること
介護の現場で求められる人物像は、同じ未経験者でも20代と40代では異なります。40代未経験の転職に求められるのは、主に以下の4つです。
- 若い世代にはない、社会経験が豊富な40代だからこその落ち着き
- 人生経験も豊富な40代だからこその高いコミュニケーション能力
- 過去の経験に捉われず、新しい職場・職種・業種に対応する柔軟性
- 上司や先輩が年下でも素直に指導や注意を受けられる謙虚さ
40代介護未経験の転職を成功させるポイント
40代・未経験での転職を成功させるには、2つのポイントがあります。成功の秘訣は、転職前に介護職員初任者研修を取得しておくことと、未経験者が働きやすく自分に合った職場を選ぶことです。
転職前に資格を取っておく
応募資格に未経験でも勤務OKとなっていても、できれば転職前に『介護職員初任者研修』を取得しておきましょう。初任者研修は介護職の入門資格となり、介護の基礎知識と介護技術を学ぶことができますので、安心して業務に入れます。
また、訪問介護の場合、無資格だと身体介護が行えません。事前に資格を取得しておくことで施設の選択肢も広がり、就職活動を行う際も有利になるはずです。
未経験者が働きやすい、自分に合った職場を見つける
募集内容に「未経験歓迎」となっていても、施設や事業所によりサービス形態や方針が異なるため、働き方が大きく変わります。実際に働いてみて、他のスタッフについていけず数か月でリタイヤしてしまうケースも少なくありません。そこで重要なのが、未経験者が働きやすく自分に合った職場選びです。
目安として研修制度や教育制度がしっかりと整い、時間や費用面で介護資格の取得をサポートしてくれる職場であれば、未経験者にとって働きやすい環境だといえます。
キャリアアップを目指すなら、特養など身体介護をしっかりと学べる職場がおすすめです。ただし、要介護度の高い利用者さんが多い職場は、未経験者にとってハードルが高く疲弊しやすいため、最初は要介護度の低い施設からスタートするとよいでしょう。
まとめ
まったく違う業種・職種への転職は不安が多いと思います。しかし、介護の世界は同世代の人が多いため、一般的な職場に比べ40歳・未経験でも馴染みやすく、分からないことも聞きやすい職場です。
人手不足だからと言って、誰でも採用されるわけではありませんが、「夜勤や土日も積極的には入れる人」「積極的に学ぶ意欲が高い人」は40代でも活躍の場が広がります。
介護の需要はこれからもますます増える傾向があります。介護職はやる気さえあれば70歳になっても働くことができるなど、メリットが多くやりがいのある仕事です。不安かもしれませんが、勇気を出して介護の世界へ飛び込んでみてはいかがでしょうか。