サービス提供責任者を辞めたい!転職前に後悔のないよう考えるべきこととは

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サービス提供責任者を辞めたい!転職前に後悔のないよう考えるべきこととは

サービス提供責任者は、ケアマネジャーと訪問介護員(ヘルパー)の間をつなぎ、利用者さんの介護をコーディネートする重要な役割を担っています。やりがいのある仕事である一方で、利用者さんのケアを中心に行う介護職とはまた違った責任があり、「辞めたい」という気持ちになることもあるでしょう。転職の2文字が頭をよぎった際、勢いで転職をしてしまい、後悔しないためにも、今考えるべきことをこの記事ではお伝えしています。

サービス提供責任者を辞めたいと思うよくある理由

サービス提供責任者(サ責)は訪問介護における責任者であり、利用者さんの自立した生活を支援するためにヘルパーを統括します。責任がある立場だからこそ、悩みも多く、「辞めたい」という声が聞かれることもしばしばあります。サ責を「辞めたい」と思う、よくある理由の事例をみていきましょう。

休みがとりにくく残業が多いため、家庭との両立が難しい

利用者さん宅への訪問から事務作業、ケアマネジャーとの連絡、ヘルパーへの指導など、とにかく業務範囲が広く量が多いのがサ責です。利用者さんの生活は365日休みなく続いているので、土日、祝日や年末年始、お盆なども常に利用者さんや登録ヘルパーの体制について気にかけておく必要があります。

自分でも訪問を担当している場合は、サ責の仕事に加えてヘルパーとしての業務もこなさなければなりません。記録などは時間外対応になることもあるでしょう。何人もの利用者さんを限られたヘルパーでまわすため、担当ヘルパーが休みのときには急きょ代理で訪問することもあります。仕事量が多くスケジュールが安定しにくい点は、家庭との両立が難しいと感じる要素です。

体力的にしんどい

サ責は訪問介護計画書の説明や状態確認、ヘルパー同行などを担うこともあります。利用者さんの家から家へと雨の日も暑い日も寒い日も何軒も移動しなければなりません。

利用者さんが動きやすく、かつ介護がしやすいように整えられた施設での勤務環境とは違い、それぞれの自宅の環境や利用者さんの状態に合わせて介助する必要があり、とにかく身体を使うことが多い仕事です。急な訪問やヘルパーからの報告・相談、会議などで休憩時間がとれない日もあり、体力的なしんどさが辞めたいと感じる理由にあがります。

関わる人間が多く、ストレスが大きい

自分より年上や訪問介護の経験が長いヘルパーも多く、改善してほしい点を指導しにくかったり、スケジュール調整を相談しにくかったりすることがあります。なかなかこちらの希望通りに進まないことも多く、悩みのタネとなります。
ヘルパーだけでなく、利用者さんや利用者さん家族、ケアマネジャーなど関わる人も多くなるので、関係づくりがうまくいかないと、人間関係のストレスが辞めたい理由になることもあります。

ケアの仕方の違い、考え方の違いが埋まらない

そもそも事業所のケアの方針と自分の考え方が違うことや、働くうちに経営面がみえてきて経営方針に疑問が出てくることもあります。管理者や経営者と話をしても考え方の違いが埋まらないままだと、働き続けることが辛く感じてしまうといった場合があります。

業務内容に対して給与が見合わないと感じる

業務内容の多さやストレスなど、負担が大きいわりには給与が安いと感じてしまうと、辞めたいと思う原因になります。(サービス提供責任者の月平均給与は223,276円となっています)

周りから評価されにくい

訪問サービスを円滑にまわすために、事務所で行う作業も多いのですが、ヘルパーからは「事務所でずっと座っている」、利用者さんからは「あまり訪問に来ない」と思われることもあり、仕事が評価されにくいと感じることもあります。

サービス提供責任者を辞めたいと思ったら、初めに考えること

業務に一生懸命取り組んでいるからこそ、人間関係や業務の多さ、体力的なしんどさ、家庭との両立のしづらさなどで「辞めたい!」という気持ちが生まれることもあるでしょう。しかし、「思っていたのと違う」「これならヘルパーとして働いていたほうがまだいい」と勢いだけで辞めてしまうと後悔することもあります。いま一度、サービス提供責任者として働くメリットも見直してみましょう。

正社員として働くことができ、訪問ヘルパーよりも給与が良い

サービス提供責任者は正社員で雇用されることが多く、訪問ヘルパーとして働くよりも一般的に給与が高いというメリットがあります。

平成30年度介護労働実態調査(介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書)によると、サービス提供責任者の月平均給与が223,276 円であるのに対し、訪問ヘルパーは198,732 円で、月平均24,500円程度高くなります。
(注)月収は、賞与、残業代、休日出勤手当を除き、通勤費等毎月決まって支給される各種手当を含む。

キャリアアップを図ることができる

それぞれのヘルパーの能力や利用者さんに合わせて訪問の担当者を采配するので、マネジメント能力が身につきます。ケアマネジャー、ヘルパー、利用者さんとうまく関係をとりながら、サービスを円滑に進めていくコミュニケーション能力も高まります。責任者として、取りまとめや上に立って人を動かす経験は、仮に転職をする場合にも有利になる場合があるでしょう。

業務が大変な分、やりがいがある

訪問ヘルパーとして利用者さんと関わるだけではなく、事業所全体のマネジメントを担うので、多岐にわたる業務や広い視野で訪問介護を経験できます。大変な分、やりがいを感じられるのがサ責です。

それでも辞めたいと思ったときの4つの選択肢

サ責のメリットを踏まえても、やっぱり「辞めたい」と思ったときに参考となる選択肢を4つ挙げていきます。

介護士とは別の道へ進む

介護職を辞めて全く違う分野に進むという選択肢があります。その場合は経験がない分野に飛び込むことになるので、覚悟と情報収集、新たな勉強が必要です。

サービス提供責任者を辞めて訪問や施設の介護士として働く

サービス提供責任者としてではなく、もう一度介護士として訪問介護事業所や介護施設で働くという選択肢があります。業務内容は利用者さんのケアが中心となるため、ある程度安定した勤務時間で働くことができ、家庭との両立も図りやすくなります。

自分の条件に合う他の職場を探す

サービス提供責任者としてのやりがいを感じ、仕事は好きだけれども、今の職場では給与や休日規定、指導体制などが自分に合わないと思う場合には、自分の条件に合った他の職場を探すことも選択肢のひとつです。

今の職場で改善策を相談する

  • 利用者さんとのトラブルが多い、無断欠勤するヘルパーに指導をしても改善しない場合は管理者に相談し、管理者からヘルパーに指導してもらう
  • 利用者さんからの苦情を再三受けており、手を尽くしても状況が変わらないのであれば、管理者や担当のケアマネジャーに相談し、対応策を練る
  • 自分の知識不足であれば、本やネットなどで情報を得て勉強する

など、悩みに対する改善策を打てるのであれば実行してみるのもひとつです。

転職を決意した場合に成功させる方法

今の状況を打破する解決策として、転職を選択した場合には次の注意点をチェックしておきましょう。

今の事業所を辞める前に転職先を決めておく

仕事を辞めてしまうと金銭的な面や仕事を失ったという不安感から、次を早く探さなければという焦りが生じ、冷静に見極めることができなくなります。焦って職場の条件を妥協しないためにも、今の職場を辞める前に転職活動を始めましょう。

自分が一番大切にしたいものは何か、優先順位をつける

すべて自分の条件通りの職場は見つかりにくいものです。今、何を一番優先したいのかをはっきりさせておくと職探しがスムーズに進みます。業務内容にこだわりたいのか、人間関係を重視するのか、指導体制が整っていることか、給与が高いことか、今の自分の中での順位をつけておきましょう。 

事前にしっかり調べる・確認する

幾度も転職をするのはマイナス要素となります。事前にしっかりと転職先について調べ、情報収集することが大切です。入念に下調べをすることで、転職してからの「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防ぐことができます。

求人情報やホームページだけで判断できない部分は見学に行く、1日体験をする、面接時に質問するなどしっかりと確認しておきましょう。

介護職以外ならこれまでの経験が活かせる仕事を探す

介護職以外の仕事に転職する場合には、経験がないぶんハードルが上がります。介護職として培ったコミュニケーションや知識、考え方など、自分を活かせる仕事を探しましょう。

今の自分の状態と気持ちを客観的にみて整理しましょう

サービス提供責任者は、責任の大きい仕事であるゆえ、辛いと感じることも多く「辞めたい」と悩んでいる方もいるはずです。4つの選択肢のうち、どの選択肢を選ぶにしても、後になって「あのときこうしていれば」と思わないためには、自分の今の状態と気持ちを客観視して、じっくりと考えることが必要です。「今、自分はなぜ辞めたいと思っているのか」、「解決するためにはどのような方法が最適か」を整理して、最善の方向に進むための準備をしましょう。